2011年9月19日月曜日

世界侵略:ロサンゼルス決戦

(WORLD INVASION : Battle Los Angeles)

 今年は何故か侵略SFもののB級映画がたくさん公開されますねえ。SF者としては嬉しい限り。
 『スカイライン/征服』に始まり『SUPER 8/スーパーエイト』、『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』、『モンスターズ/地球外生命体』。そしてこの『世界侵略:ロサンゼルス決戦』。今年はまだ『カウボーイ&エイリアン』もありますか(厳密には侵略ものとは云えない作品もありますけど、まぁ気にしない)。
 当初は『スカイライン/征服』より早い公開が予定されていたのに、東日本大震災の為に公開が延期されてしまいました。ナニがマズかったのか……。
 ちょっとだけ──ホントに僅かな──津波の場面があったのがイカんのか。海岸近くに隕石が落下して、野次馬とTVレポーターが衝撃で発生した波に呑まれそうになるという場面が……。

 正体不明の流星群が海洋に落下してから始まる異星人の侵略──と云うと、ジョン・ウィンダムの古典SF『海竜めざめる』のようですが、次第に侵略者の行動が明らかになっていくミステリ仕立てではなく、展開はもっとB級ぽい。
 侵略は「いきなり」で「あからさま」で「容赦なし」。もう思わせぶりな演出なんて皆無。
 開巻直後からテンション上げまくり。
 端折りまくった『インデペンデンス・デイ』な感じ。

 しかも、これはSF映画というよりは戦争映画ですよ。『スターシップ・トゥルーパーズ』並みのミリタリSFともいえる。
 テンションの上げ方も、熱いデス。
 海兵隊ばんざーいッ。エイリアンがナンボのモンじゃゴルァ、てなもんで(笑)。

 実際、SF的描写は極力抑え、手持ちカメラのブレまくり映像もリアルなドキュメンタリー指向の物語にした演出に、製作者の好みが判ります。
 ビーム兵器なし。バリアなし。どこまでも物理的な固体弾頭の火力のみで勝負しようという潔い侵略者さんです。
 だから奇襲を食らったとは云え、人類に反撃のチャンスはある。確かに敵は無敵っぽいけど、弾の当てどころが良ければ即死させられるし、宇宙船も撃墜可能なのです。
 このあたりにSFとしては如何なものかと思う反面、熱い血潮のタギる漢の映画となって、B級好きにはタマラぬ魅力がありますね。
 ロサンゼルスのサンタモニカ市街での戦闘がメインなので、土地勘のある人にはもっと楽しめるのでしょうか。多分、聖地巡礼が出来るのだろうなあ(でも実際のロケはルイジアナで行われ、背景に椰子の木を合成してLAに見せかけてあるそうですが)。

 主演はアーロン・エッカート。今までスーツ姿の役が多かったお方ですが、いきなり髪を刈り上げ、割れ顎突き出す鬼軍曹の役ですか。結構、軍人らしい体格と筋肉を披露してくれます。役作り、頑張りました。
 ベテラン軍曹がサポートを命じられる小隊長が、新米少尉で実戦経験なしというのもお約束。まるで『エイリアン2』のようです(少尉の末路まで同じか)。
 その上、ミシェル・ロドリゲス姐さんまで登場してくれるとは。もうこの手の役は姐さんの十八番ですね。

 敵のエイリアンも人型ロボット兵器を駆使しておりますが、後に単なる機械ではなく生体部品を使用したサイボーグ兵士に近い存在だと判る。
 何となくデザインが横山宏の「S.F.3.D.」と云うか、「マシーネンクリーガー」ぽい感じデスが、気の所為かしら。
 異星人については、とにかく侵略しに来たのだと云うこと以外は皆目判らぬことだらけ。人型以外にも型式の異なるタイプが散見されるあたり、複数の種族の混成部隊なのか。
 あまりはっきりと敵の姿を映そうとしないので、詳細は不明です。
 ついでに目的もはっきりしない。資源の略奪──恐らくは水資源──が目的らしいと推測されるものの、略奪する前に抵抗する現地人を制圧するのに忙しくて、略奪は二の次になっている。
 侵略者として、目的を見失っているような気がしないではないが……。
 SF者としては、あれこれとツッコミ入れたくなりはしますが、そんなクレームは聞く耳持たんと云わんがばかりの演出方針は実に清々しい。

 退役を間近に控えた軍曹。アフガニスタンで部下を死なせて唯一人生き残ったことに呵責を感じる日々。
 死なせてしまった部下の弟が、新たに指揮を執る部隊の中にいて、反抗的態度を取りつづける。戦争映画ではよくある設定がてんこ盛りですわ。
 敵が異星人である必要はあんまり無いですねえ。
 軍曹がかつての部下の名前や年齢や認識番号まで全部諳んじているという描写もお約束。でも男はこーゆードラマに泣くのデス。
 泣くでしょ? 泣け。

 分離も合体も自在な異星人の無人戦闘機やら、サイボーグ兵士の描写がなかなか面白いデス。
 無敵に思えた敵の戦力も、無人機に指令を出す中継基地を叩いた途端に、突破口が見えるというのも御都合主義か。ハイテクに頼りすぎた侵略者の末路──という描写は、アメリカとして自戒の念が込められて……いるわけないデスね。

 とりあえず反撃の糸口は掴めた。まだまだ形勢逆転とまでは云えない戦局ではあれど、人類の不屈の闘志はくじけやしない。さあ、LAを取り戻しに行くぜ。
 ──と言うところでエンド。
 燃える海兵魂に血をタギらせて劇場を後にしましょう。

 『スカイライン/征服』と「異星人の侵略」というネタがあからさまにカブっている上に全米公開時期がほぼ同時だったり、視覚効果チームがどっちの作品も同じだったりしたので、ソニー・ピクチャーズが訴訟を起こすとか起こしたとか聞き及びましたが、両方観た限りではそれほど似ているとも思えませんでした。どっちも同じ侵略SFだというくらいか。
 予算のかけ方からして『世界侵略:ロサンゼルス決戦』の方が段違いですし。

 監督は南アフリカ出身のジョナサン・リーベスマン。『第9地区』のニール・ブロンカンプ監督と同郷で同世代ですか。
 『テキサス・チェーンソー ビギニング』(2006年)とか『実験室KR-13』(2009年)の監督さんですが、今まで存じませんでした。次回作があのリメイク版『タイタンの戦い』の続編だとか(アレに続編が出来るとは)。これはちょっと楽しみです。




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