2011年7月3日日曜日

マイティ・ソー (3D)

(THOR)

 日本では北欧神話の雷神の名前はドイツ風に「トール」と表記するのが一般的だと思いましたが、ここは英語発音のまま「ソー」なのか。なんか間が抜けているように感じられるのですが、いいのかなあ。
 「ソア」とか「ソール」と云う表記の方がまだマシに思えるのですが……。

 そー。

 ともあれ、マーヴェル・コミックスのヒーローの中でも、一番古風で神秘的なキャラですね。神話の神様だしな。これが「アベンジャーズ」の一員となるワケで、まずは単体での映画ですね。『アイアンマン』>『インクレディブル・ハルク』>『アイアンマン2』と続くシリーズの四本目か。
 『アイアンマン2』のラストシーンからちゃんと続いている。コールソン捜査官(クラーク・グレッグ)もしっかり登場してくれています。

 世界観が神話そのままではなく、SF的な解釈が施されているあたり、ちょっと嬉しい。アスガルドもヨトゥンヘイムも、宇宙のどこかにある惑星という描写。北欧神話にある通り、九つの惑星がスターゲイトというか超空間ネットワークで結ばれているという設定。このスターゲイトの名前が「ビフロスト(虹の橋)」というのもいいですね。
 今作ではアスガルド、ヨトゥンヘイム、ミッドガルド(地球)の三つまでが描かれております。そのうちヴァナヘイムとかムスペルヘイム、ニヴルヘイムなんて惑星も登場させてくれるのですかね(是非、続編を)。

 冒頭、地球上に於いて戦われた神々と巨人達の戦いが壮観です(短いシーンですが)。主神オーディンが威厳たっぷりで勇ましい。さすがアンソニー・ホプキンス。
 相当の激戦だったらしく、巨人族から力の源である「箱」を取り上げ、巨人らをヨトゥンヘイムに封じ込めたが、オーディン自身も負傷し、隻眼となったことがサラリと語られる。幼い二人の息子、長男ソーと次男ロキに戦の思い出話をするオーディン。子役の少年達がなかなかイメージに合っていて可愛いです。
 そして数千年後のアスガルド。さすがに老いて引退を考える歳になったオーディン(神様とは云え長命だなあ)は長男ソーに王位を譲ろうとするのだが……。

 アスガルドの背景美術がなかなか美しい。『タイタンの戦い』のオリンポスとはまた違った趣ですが、神々しくて雰囲気たっぷり。遠未来的SF都市のようでもある。特に名前を呼ばれませんが、あの都が「ヴァルハラ」なのでしょう。

 老いた父王に二人の息子。兄弟同士の愛憎劇という実にシェイクスピアぽい設定にケネス・ブラナー監督の演出がピタリとハマってます。さすがに巧い。
 特に最初のうちのソーの無鉄砲さと傲慢さがいい感じで、度が過ぎてオーディンの失望を買っちゃうあたりの芝居は流石デス。ホプキンスの方も名演技。

 主役のソーはクリス・ヘムズワース。リメイク版の『スタートレック』でカーク船長のパパ役だった人ですね。『パーフェクト・ゲッタウェイ』でも脇役でしたが、遂に堂々の主役ですね。劇中で披露してくれる筋肉美が見事です。
 でもどちらかと云うと、私は次男ロキの方が気に入りました。トム・ヒデルストンは馴染みのない役者さんですが、華々しい兄の影に隠れた弟という役が巧いです。
 脳天気で脳みそまで筋肉なバカ兄貴とは対照的に、頭脳派で策略家。出生の秘密まで持っていて(実は巨人の血を引いている)、密かに苦悩するという影のある役。悪役ではありますが、これは憎めない。
 兄への愛情と嫉妬の板挟みになるあたりで、もうロキを主役にしてもらいたい。スピンオフ企画は無いのかしら。

 二人の息子のうち、一人は考えが足りず、もう一人は考え過ぎて、どちらも父親の真意を汲み取ってくれないというのは悲劇ですね。心労のあまり倒れてしまうアンソニー・ホプキンスには同情してしまいます。

 オーディンの妻、フリッガ役がレネ・ルッソでした。最近、映画出演から遠のいておられましたが、お元気そうで何よりデス。相変わらずお美しい。
 浅野忠信がソーの家来である三戦士の一人、ホーガン役。おお、ちゃんとヘムズワースと芝居をしている。しっかり出番がある。寡黙な戦士なので台詞は少ないが……。
 『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』の松崎悠希みたいなことは無いぞ。
 でも、三戦士にはあまり出番が無いので活躍できないのが残念デス。
 それからナタリー・ポートマン。『ブラック・スワン』で産休に入ったと思っていたのですが。まだ一本、撮っておられましたか。

 「アベンジャーズ」にリンクする設定が色々と散りばめられているのは御愛敬。
 セルヴィック教授(ステラン・スカルスガルド)が、「知人のガンマ線科学者」に言及したり(ハルクですね)、バートンと云う名のシールド隊員が登場したりする(別名ホークアイ)。
 うわ。ホークアイが登場したよ。しかも『ハート・ロッカー』のジェレミー・レナーが演じている。今回は顔見せだけでしたが(笑)。
 原作者スタン・リー御大もカメオ出演しておりました。地面に突き刺さったソーのハンマー──「ムジョルニア」てのは発音しづらい。「ミョルニル」でも同じですが──を引っこ抜こうとしてトラックを壊してしまうお爺ちゃんの役。

 傲慢さ故に過ちを犯した主人公が故郷から追放され、少しずつ学んで人間的に成長していくというのは宜しいが、映画だと学習過程がかなり短縮されてしまうのはやむを得ないか。打ちのめされた後、急に素直になってしまう。性格が単純であるが純朴なのでしょう。原作通りではあるか。
 原作通りと云うと、大食漢であるという設定や、女性の手に口づけするという古風な性格もちゃんと描写されています。字幕では判りづらいが、多分、喋り方も古風なのではないか(原作のコミックスではそうなっている)。吹替版にちょっと期待したいです。

 そして映画として完結させる為には、追放されっぱなしと云う訳にもいきませんね。倒れたオーディンに代わって全権を握ったロキの策略で、ヨトゥンヘイムの巨人がアスガルドに侵入するという事件が発生。主人公としては、故郷の危機に際して帰還せねばならない。
 結構、壮大な物語ですが、ほとんど異世界での事件なので、地球上ではニューメキシコの田舎町しか映らないのはやむを得ないか。本格的な活躍は次回作以降になるのですかね。

 北欧神話から引用された設定が随所にあれど、物語に直接関係ないと説明しないという演出は潔いですな。
 玉座に座ったロキが、オーディンの槍を持っていたりする。クライマックスの兄弟対決では、雷槌ムジョルニアの一撃を軽々と受け止めてしまうほど強力な槍である。
 あれはやっぱり「グングニル」なんだろうなあ。さすが神槍。
 他にも、序盤で鎧兜に身を包んだオーディンが馬に跨がって登場する印象的な場面があります(ほんの一瞬ですが)。アンソニー・ホプキンスの勇姿が素晴らしいが、あの一瞬だけ映る馬は、やはり「スレイプニル」とか云うのだろうか。

 そう考えていくと、宝物庫の番人として設定された「デストロイヤー」は、名前だけ惜しい。もう少し北欧神話ぽいネーミングにはならなかったのか。「バーサーカー」でも「ベルセルク」でもイイけど。デザインは格好良いのに、名前だけ残念。

 結局、ロキはロキで、アスガルドの為に最善と思われる手を打とうとしていたのだと判るのですが、策略が過ぎて誤解されていたというのが哀しい。そんな策略、フツーは欺されるというか、誰だって誤解するわ。頭の回りすぎる人にも困ります。
 目覚めたオーディンに「それは違うぞ」と諭されますが、なんかここでも誤解が生じたようで、父親から拒絶されたと勘違いしたのか、自らアスガルドを去ってしまう。
 兄弟の断絶は深まる一方か。簡単に和解されると物語は終わってしまいますが。

 かくして一件落着となりますが、物語はまだまだ続くようで。
 堂々と「ソーは『アベンジャーズ』で帰ってくる」と予告まで付けられていました。

 例によって例の如く、長々と続いたエンドクレジット後にまた次回作への布石が打たれております。今回は登場しないのかと思っていたら、ちゃんとニック・フューリー長官(サミュエル・ジャクソン)も登場してくれました。
 ナニやら得体の知れないアイテムを披露してくれますが、これが次作の『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』に繋がるワケですね。
 その次はいよいよ『アベンジャーズ』本編に突入するのか。ホントにそんなオールスター・キャストな映画が出来るものなのか。楽しみですが、ちょっと不安。




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