本人も云っておられますが「自分は大作向きの監督ではない」のでしょう(笑)。
で、本作は大作ではない脚本勝負のサスペンス映画。脚本もトゥーヒー自身が書いています。
有名俳優はミラ・ジョヴォヴィッチのみ。あとはもうよく知らない人たち──いやいやいや、中堅どころの個性派俳優さん──ばかり。
しかしサスペンス映画は、その方がいいデスね。
誰が犯人か判らないのがサスペンス&ミステリーの醍醐味なのであって、有名俳優を起用した途端に、その人が犯人役だとバレバレになってしまうのはよろしくないのです。その意味では、ミラ姐さんすら、如何なものかと思うが。
全員無名では、それこそ華がないので難しいところです。
今回はハワイ観光の映画でもあります。
カウアイ島の大自然がこれでもかと展開され、オアフやホノルルでハワイを知った気になっていた自分には、結構新鮮でありました。
カウアイ島は自然保護の為に、許可無く立入が禁止されている保護区があるのですね。それが大自然のただ中で、助けの来ない逃げ場なしの状況を作っている。当然、ケータイなんぞという無粋なものは「圏外」です。
ハワイに新婚旅行に来たカップル達が遭遇する極限状況。
三組のカップルのどれかに殺人犯がいるという状況設定が巧いです。お互いに疑心暗鬼になる定番展開。大雨で保護区の外には出られず、予定日が過ぎるまでは助けも来ない。
風景が美しいことを除けば、定番すぎる展開──かと思いきや、後半で意外なほうへ物語が転がっていくので驚きました。
ヒッチコックがよく使う手法ですが、ただのサスペンス・ミステリにはしない。犯人が判ってお終いではない。
実は、かなり早い段階で犯人が割れてしまいます。
そこから今度は決死のサバイバル展開へなだれ込んでいく。
確かに、殺人鬼が誰か判っても逃げ場がないんじゃ、どうしようもないわな。
非常に意外な展開……なんだけど。
あとになって考えると、前半の疑心暗鬼の状況を強調する為の演出に矛盾があるような気がします。だって犯人はちゃんと「その中にいる」のだから、そいつが別の誰かを疑うシーンは矛盾ではないか。偽装の演技か?
でも他に誰も見ていないところで怯えてみせる演技って、誰に見せているのだろう。
その辺を除けば、伏線もしっかり張られているし(かなり強引ではありますが)、最初の新婚旅行に出かける前に撮影したビデオカメラ映像にもちゃんと意味があったりするのは巧いです。
冒頭の、本筋に入る前の前説部分までちゃんと見ておかないとね。
サスペンス映画としては佳作ですが、ラスト近くでカウアイ島の亜熱帯の海岸を必死の形相で駆け回る俳優さん達は、ほぼスタントなしの本人の演技。撮影前のトレーニングも厳しかったらしいデス。皆さん、お疲れ様でした。
● 余談
トゥーヒー監督の次回作の中には『リディック』の続編も含まれているらしいですが……。ホントにやるんですかね。
ヴィン・ディーゼル兄貴はやる気満々だそうですが(笑)。
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