メジャーになる前の作品は観ておりませぬ。だから『乙女の祈り』とかもスルーしております。
本作を観ると、なんとなくハリウッド資本の大作を作らないときのピージャクとは、本来はこういう監督だったのかというのが伺えます。この印象、正しいのかな。
どうでもいいが、ピージャクがスリムになっている。『指輪物語』の頃のメタボなヲタ監督と云うイメージがもうない! どんな減量したんだ。
あの岡田斗司夫といい勝負である。なんでこんなに痩せちゃったんだ。別人じゃないか。
死んでしまった主人公が体験する〈死後の世界〉──と云うと、どうしてもリチャード・マシスン原作の『奇蹟の輝き』を思い出しますなあ。あっちは中年男性(ロビン・ウィリアムズ)でしたが、こっちは一四歳の少女。
〈死後の世界〉の描写と云うと、最新の特殊効果を駆使する映像が話題になりますが、噂に違わぬ素晴らしい映像が堪能できます。『奇蹟の輝き』から十二年か。技術の進歩ってスゴイね。
今回はCGのみに頼ることなく、様々なセットを駆使して、時空がねじ曲がった〈死後の世界〉を描いている。ハイテクとローテクの合わせ技です。これは巧い。
本作は愛する家族を失った一家の、愛と再生の物語です。
そして死者の方でも、家族をいつでも見守っているという感動の物語でもあります。
個人的には、あまりこの手のスピリチュアルな物語に涙するのはガラではないのですがね(汗)。
そして一級のサスペンス映画でもあります。
なんと云っても、主人公スージーは連続猟奇殺人鬼に殺されたのである。しかもごく普通の住宅地に、何食わぬ顔をして隣人面する男が犯人。
これは怖い。
〈死後の世界〉から現世を見守っていると、愛する家族が悲しむ有様と共に、自分を殺した男が逮捕されることなくのうのうと暮らしているのが判る。しかもその毒牙は、今度は自分の妹にも向けられそうな気配。
これは焦る。
のんきに成仏なんぞしていられない。なんとかしないと──というのが物語を盛り上げてくれます。
それにしても、この殺人鬼役のスタンリー・トゥッチが巧いです。平凡な外見から想像できない異常な隣人を鬼気迫る演技で魅せてくれます。
今年のアカデミー賞にも「助演男優賞」でノミネートされておりました。私としては、この人に今年のオスカーあげてもいいと思うのデスが。
他には、父親役がマーク・ウォールバーグ。アクション映画ばかりかと思っていましたが、なかなか好演しています。
母親役がレイチェル・ワイズ。この人も私はアクション映画の方の出演作しか知らないぞ(『ハムナプトラ』とか)。
祖母役がスーザン・サランドン。やっぱり、もうお祖母ちゃん役か!
家族の中で一番、ブッ飛んでるのがお祖母ちゃんというのが笑えます。実に型破りなお祖母ちゃんだわ。
そして何と云っても主役のスージを演じるシアーシャ・ローナンの愛らしさに尽きる。この娘は可愛い。今後は要チェックですね。
しかしサスペンス映画としての展開と、家族愛の物語が、あんまり咬み合っていないような印象も受けました。
〈死後の世界〉からは現世には手も足も出せないので、基本的にスージーは家族を慰めることも、警告を発することも出来ない。ただ見守るのみ。
最終的に隣人の犯行は警察の知るところとなり、スージーの家族にこれ以上の累が及ぶことはなく、そして殺人鬼には逮捕されるよりも無残な結末が用意されてはいるのですが……。
やはりスージーが積極的にこれらの展開に関与できていないのが欲求不満の原因です。
まぁ、悪人には誰が手を下さずとも、天がそれを許さないとも云えますが。天網恢々疎にして漏らさず。
最後に、スージーがこの世に残した未練を清算するのですが……。
うーむ。やはり一四歳の女の子だなあ。
「ソレ」が一番、心残りでしたか。
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