2010年12月30日木曜日

キック・アス

(KICK-ASS)

 いやもう、こりゃかなりイタい映画です。内容的にもギリギリだし。
 よく製作できたものだと思ったら、案の定インディペンデンス系の映画でした。そりゃメジャーな映画会社はこんな映画に出資しないだろう。

 アメコミ原作──と云うか、コミック執筆と撮影が同時進行だったそうなので、メディア・ミックスという方が正しいのか──の映画としては、抜群に面白いのですがね。
 見方によっては、チャールズ・ブロンソンの『狼よさらば』のアメコミ版と云えなくもない。過剰な自警団的行為を描いたものですから。

 フツーの人でもヒーローになれる。何故、やらない?
 皆が犯罪に見て見ぬ振りをすることに我慢ならなかった──という主張には非常に真摯なものを感じるのデスが……。あのコスプレをするのは勘弁してもらいたい(汗)。

 ここに登場する人物は誰一人、特別な能力など無い。一般人ばかり。
 したがって他のアメコミのヒーローに比べるとダサい。スマートではない。怪我ばかりしている。
 しかし凡人だからこそ、人一倍血を流さないとヒーローにはなれないのである。
 非常に厳しい教訓です。
 これを貫き通すには、鋼の意思か、さもなくば馬鹿であることが必要だ。

 登場人物がアホな格好で登場しますが、内容は真面目だし、リアルだし、並の社会派映画では扱いきれないテーマを抱えているので、もっとヒットしてもらいたいのですが、無理かなあ。劇場限定の公開だし、DVD化されてからカルトになるのが既に決まっているような映画です。

 主役のキックアスがアーロン・ジョンソン。ちょっと前に公開された、若き日のジョン・レノンを描いた青春映画『ノーウェアボーイ/ひとりぼっちのあいつ』で主役だった人です。なんかジョン・レノンを演じていたときより若返っているように見える(笑)。

 本当に十一歳のクロエ・グレース・モリッツがヒット・ガール役。うーむ。いたいけな少女の体当たり演技って凄いですね。この映画の中では一番過激で、一番たくさん人を殺す役なんだが……。
 子役時代から汚れ役を演じてみせるあたり、『タクシー・ドライバー』のジョディ・フォスターを彷彿とするのですが、将来大物女優になる気がする。
 既に次回作のリメイク版『ぼくのエリ/200歳の少女』が待機しているそうなので、早いところそっちも公開していただきたい。

 笑ってしまうのは、ニコラス・ケイジが出演していることであろうか。
 さすが自他共に認めるアメコミ・マニア。『ゴースト・ライダー』なんかより、断然こちらの方が光ってマスよ!
 ここでは子供達に混じって自らバットマンのパロディのような格好で登場する。いい歳したオトナが!
 一番、ヒーローぽい格好ですが、装備品はフランスの機動隊と同じものだそうな。そうかフランスの機動隊員はいつでもバットマンのコスプレが出来るんだな。

 あとはマーク・ストロングが悪役を務めているのが印象深い。この人は悪役が多いなあ。この前も『ロビン・フッド』で悪役だったし。
 『ロビン・フッド』で本当に頭をそり上げてスキンヘッドになっていたので、こっちの映画でもやはりスキンヘッドのままでした。しばらく髪は生やさないつもりなのか。
 それとも『ワールド・オブ・ライズ』や『シャーロック・ホームズ』の方がヅラだったのだろうか。

 映画の公開に先駆け、原作コミックスも翻訳出版されていますが、映画化が実に忠実に行われているのが判ります。ほぼそのまんま(笑)。
 いや、過激さではコミックの方が上か。映画の方はここまでスプラッタじゃなかったし……。
 さすがに十一歳の少女が火炎放射器でギャング共を焼き殺したり、逆にギャングが十一歳の少女の顔面を肉たたき(調理道具のアレね)でブッ叩くなんてのは、映像には出来るはずもない。
 映画では火炎放射器の替わりに、ガトリング砲でしたが。あまり変わらんか。
 でもその所為で、映画の方がラストでファンタジー化してしまいましたね。コミックの方は最後までリアル路線ですが。まぁ、あの展開もまたボンクラ男子の夢だしな(爆)。

 映画を御覧になったら、是非、コミックの方も読んでいただきたい。エグいです、ホント。
 コミックの方も続編があることを匂わせるラストでしたが、映画の方もやはり続編製作が決定したそうな。いやぁ、ドキドキですね。クロエちゃんが大人にならないうちに早く作って下さい。

●余談
 この映画を観て、ヒーローを志す人は(いるのか?)とりあえず青土社から出版されている『バットマンになる! スーパーヒーローの運動生理学』(青土社)を読むことをお薦めします。
 決してキックアスのように「形から入ろう」なんてしちゃ駄目デス。大怪我しますからね。その前に死ぬか。

 この『バットマンになる!』は大真面目に犯罪者と戦うヒーローになる為の手段を教えてくれます。
 誰もスーパーマンにはなれない──異星人じゃないし。
 誰もスパイダーマンにはなれない──蜘蛛の遺伝子なんて持ってません。
 誰もハルクにはなれない──放射能なんぞ浴びたら死にます。
 でも、バットマンにならなれるかも。彼だけは超能力無しで犯罪者と戦っていますからね。しかも銃を使わないので日本人でも出来るかも。
 やはり一般人が目指すべきはバットマンなのか(笑)。

 そう云えば『ウォッチメン』に登場するロールシャッハも、覆面が奇天烈なだけの一般人だったよなあ(でも一番ヒーローらしいというのが逆説的)。




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