2010年12月11日土曜日

ロビン・フッド

(ROBIN HOOD)

 『ロビン・フッド』と『三銃士』と『怪傑ゾロ』はどうして何度も映画化されるのか。欧米人にとっての『忠臣蔵』のようなものか。
 それにしても、またしてもリドリー・スコット監督とラッセル・クロウ主演の映画である。しかも歴史劇。

 どうもラッセル・クロウに剣を持たせてリドリー・スコットが監督すると映画が一本出来るらしい。
 よし。次はラッセル・クロウをダルタニアン……は無理か。せめてアトスくらいにして、『三銃士』を撮りましょう(笑)。

 さて、ロビン・フッドは伝説上のキャラクターなので、映画によって設定はまちまちである。色々なロビン映画を見比べながら設定上の差を楽しむのも面白い。
 基本的な定型はこんな感じ(↓)。

 弓の名手で、イギリスのノッティンガムのシャーウッドの森に住むアウトロー集団の首領。実在性に関しては確実な資料は存在せず、何人かの実在の人物の伝承が複合して形成された可能性が高い。十六世紀以降、リチャード一世(獅子心王)時代の人物となり、リチャード一世が十字軍遠征に赴いている間にジョン王の暴政に反抗した人物として描かれるようになった。 (by ウィキペディア)

 私の知っているロビン・フッドと云うと、1991年の二本の『ロビン・フッド』がメインです。ケヴィン・コスナーのロビンと、パトリック・バーキンのロビン。
 あとはショーン・コネリーが晩年のロビンを演じた『ロビンとマリアン』なんてのもありますが。
 とりあえずメル・ブルックスの『ロビン・フッド』はここでは忘れよう。
 さすがにダグラス・フェアバンクスとか、エロール・フリンのロビン・フッドは観たことない(汗)。

 で、歴代ロビン・フッドに今回、新たなロビン像が追加されました。
 ラッセル・クロウのロビンはなんちゅーかオヤジで野性的で力強いのはいいが、その反面、爽やかさとか若さとかが全然ありません。当然と云えば当然だが。

 その他のキャラクターの設定も大胆に脚色──と云うか、作り替えられていて、本当にコレが『ロビン・フッド』なのかと疑いたくなります。うーむ。そもそも伝説なんだし、フィクションなのだから、どう書き替えてもいいと云えばいいのですが……。
 一応、仲間にはウィル・スカーレットや、リトル・ジョンや、タック坊がいるし、マリアンや、ジョン王や、ノッキンガム公もいるので、メンバー的に欠けていることは無い。

 でも基本は「圧政に反抗した人物」の筈である。
 だから敵は──映画によっては異なるが──ノッキンガムの悪代官だったり、ジョン王その人であったりするワケですが……。
 今度のロビンの物語は英国内だけで収まらず、フランスからの侵略者と戦うのである。フランス王フィリップと戦うロビン。うーむ。ジョン王は置いてきぼりである。ノッキンガム公に至っては端役もいいとこ。
 なんじゃこりゃ。

 見どころはドーバーの海岸でフランス軍の上陸部隊との合戦シーン。
 ジョン王に反抗する各地の地方領主を説得し、軍勢をまとめあげたロビン達が祖国防衛の為に駆けつけるという構図である。
 なんとなくメル・ギブソンの『ブレイブハート』を彷彿としました。時代背景は全く異なりますが。

 もうひとつ『キング・アーサー』にも似ている。『キング・アーサー』と云えばジェリー・ブラッカイマー製作のイマイチな歴史大作ですが、一般ウケを狙うあまり歴史考証を無視したかのような発言が興醒めでした。
 実はこの『ロビン・フッド』でも言及されているのであるが……。

 十二世紀末の英国にあって「自由の為に戦おう!」ってのは、どうなんでしょね。

 どうにも歴史考証を無視したかのようなセリフが興醒め。米国ではこれがウケるのだろうか。歴史を何だと思っているのだ。
 史実という点で云うと、もうひとつ。危機が去った後、ボンクラなジョン王が映画のラストで「ある声明」を発する。
 パンフレットには「これが〈マグナ・カルタ〉の制定である」と解説されているが、嘘つけ。

 〈マグナ・カルタ〉とは「ジョン王の権限を制限する為の憲章」だったのだが、ここでのジョン王は「王は神と教会以外の約束に縛られるものではない」と正反対のことを云うのである。
 つまり〈マグナ・カルタ〉の制定と廃止がほぼ同時に行われている(笑)。
 ロビンや地方領主達が要求した文書が〈マグナ・カルタ〉で、それを一旦は受け入れる振りをしながら、フランス軍さえ退けてしまえば約束なんぞ反故にしたのだ。
 端折り過ぎなのでは……。

 かくしてロビン達の要求は突っぱねられ、逆にロビンは反逆罪で指名手配。マリアンや仲間達と共にシャーウッドの森に逃れ……。
 そして遂に「圧政に立ち向かう反逆者」ロビン・フッドが誕生したのであるという流れになっている。こりゃ前日譚だったのかッ。

 本筋はここからではないか。続編はあるのか? 多分、無い。

 配役は豪華なんですけどね。
 ケイト・ブランシェットのマリアンはなかなか。年齢的にラッセル・クロウと釣り合いが取れている。他にもウィリアム・ハートやら、マックス・フォン・シドーなんかが脇を固めていてイイ感じなのにねえ。

 英国人であるリドリー・スコットとしては、『キングダム・オブ・ヘヴン』に続いて、この『ロビン・フッド』で十字軍時代を描いておるワケですが、これって三部作か何かになるのだろうか。
 CGを駆使した背景とかは『グラディエーター』の頃から素晴らしいのですが。特に「木造だった頃のロンドン橋」がいい。

 まぁ、やっぱりイマイチかなあ。
 いい加減、リドリーには歴史劇なんぞ止めてSFに戻ってこいと云いたい。『エイリアン5』の企画はどうした。さっさと撮り始めんかい。
 でも最近のリドリーが撮る『エイリアン』と云うのは期待できるものなのか。不安だ。

●余談
 パトリック・バーギンとユマ・サーマンが主演した方の『ロビン・フッド』は何故DVDにならないのだ。ついでにメル・ブルックスの『ロビン・フッド/伝説のタイツ男』の方も一緒にDVDリリースして戴きたい。




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