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2010年12月29日水曜日

相棒2

警視庁占拠!特命係の一番長い夜

 例によって元ネタであるTVシリーズは一切、観ておりません。
 だから水谷豊のパートナーが何故に及川光博になっているのか判りません。寺脇康文はどこへ行ってしまったのか。殉職したのか?
 そのあたりには一切触れないので、逆に「こういうコンビの刑事モノなのだ」と納得して観ることが出来ます。もう十年も続いているシリーズを今更、追いかけるなんて出来ません(汗)。

 個人的には劇場版第一作目よりもこちらの方がしっかり作り込まれていると思いました。脚本が良い。
 ただまぁ、このヘンテコな副題は外してもらいたいよね。映画を観れば判りますが、警視庁占拠事件は冒頭ですぐに解決します。わざわざ「特命係の一番長い夜」なんぞと付けるほどのこともない。
 もっとも前作と同じく副題は宣伝用だけで、映画の題名はシンプルに『相棒2』でしたが。

 最初、予告編を観ただけの時は、警視総監を人質に籠城した犯人と全編にわたり対決するのかと思っていました。ケビン・スペイシーとサミュエル・ジャクソンの『交渉人』みたいに。
 それがあっさり強行突入と犯人の射殺で幕を下ろされてしまい、拍子抜けしてしまいましたが、そこからが本番だったのですな。

 被疑者死亡のあとから、その素性、動機、8年前に解決済みとされた事件に隠された真相……と、非常にミステリアスな展開を見せ始め、それが警視庁だけでなく警察庁と国家公安委員会まで関係していくのが面白いです。
 過去の事件が現在の警視庁内部の人事と人間関係に影響を及ぼし、組織内の権力闘争に利用されていく過程もリアルでした。
 特に岸部一徳が良い。

 派手なアクションと爆発は最初のうちに済ませてしまい、あとはもう推理に推理を重ねていく知的な展開が見事でした。海外ドラマに例えるなら米国製の刑事ドラマではなく、英国製の刑事ドラマという趣き。
 アクションが少なくなった分、地味ですが面白い。

 過去の事件が引き金になって……という筋立ては、前作でもやっていましたが、こちらの方が使い方が巧い。こちらを劇場版第一作にしてくれたら良かったのに。
 今回は前作の轍を踏まないように、脚本が最後まで踏みとどまりました。
 お涙頂戴に流されない!
 やった。誰もラストで大泣きしたりしない。
 素晴らしい。やれば出来るじゃなイカ。
 それだけで俺的査定プラス1ですよ(笑)。

 ただまぁ、逆にシンプルに感情移入できない物語になってしまったので、興行成績的にはどうなんでしょうね。単純な勧善懲悪の方が受けるのかしら。
 上映終了後、劇場内で女性客同士が「よく判らなかった」と話しているのが聞こえましたが……。うーむ。なんで判らないのかなあ。

 主役に敵対する立場の人たちが、一概に「悪」とは呼べない複雑な状況であるのがいいのに。
 公安の思惑、警察庁の思惑、すべてそれなりにポリシーが貫かれている。問題はその為に発生する犠牲を、必要悪と認めるか認めないかという立場の違いでしかない。どちらもそれなりに正義なのである。

 そんな状況の中で、自分の信じる正義を貫こうとする水谷豊と、「それがキミの云う正義なの?」と一笑に付す岸部一徳の対立がいいのですが。実は私、岸部一徳の描く未来の構想にはかなり共感できてしまうので、岸部一徳を応援したくなりました(笑)。
 一般的な女性客はその辺が気に入らなかったのだろうか。

 今回は公安が事件の背後に絡んでくる構図なので、「公安捜査員とテロ組織に潜入する情報提供者との関係」というのが描かれます。
 思い出されるのはNHKのドラマ『外事警察』ですね。
 この『相棒2』では、あそこまでドロドロの人間関係は描かれないので、物足りないと感じる方もいるでしょう(笑)。
 殉職した捜査員の家庭環境と人間関係はしっかり描かれるのに、情報提供者の背景の描き込みがあっさりしている、というのは認めよう。そこまでやっちゃったら尺が足りなくなるどころか、一般観客はドン引きしちゃうと思うが(笑)。

 登場人物も非常に多く、多分TVシリーズのキャラが総登場な上に劇場版用の新キャラまで追加されているので、描き込みが足りない部分もありましょう。
 しかし劇場版用新キャラの設定と人間関係が重点的に描かれているので、それでいいのではないか。
 レギュラー陣の中でも、今回は水谷豊と岸部一徳の対立が主軸なので、それ以外は云ってみれば全員脇役なのだし、それでいいのではないか。TVシリーズに思い入れがあると、逆にひいきのキャラがチョイ役なのが気に入らなかったりするのだろうか。

 ドラマの重厚さとしては、やはり第一作よりも、こちらの方が上でありましょう。
ラストシーンの切れ味の良さも良い感じデス。

●余談
 『外事警察』は映画化されないのかね。
 NHKのドラマだと『ハゲタカ』とか『ゲゲゲの女房』とか映画化されたから、やろうと思えば出来る筈なのだが……。
 やはりあの暗いドロドロな部分は一般受けしないのか。


相棒 ―劇場版2― (小学館文庫)

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