2011年2月6日日曜日

ザ・タウン

(THE TOWN)

 監督、脚本、主演ベン・アフレック。
 ベンは俳優よりも監督の方に才能があるのだろうか。これはベンの監督作品としては第二作にあたる。初監督作品は『ゴーン・ベイビー・ゴーン』であるが、あちらよりはエンタテインメントな仕上がりのようデス。

 うーむ。自分で云うのもナンですが、ケヴィン・スミス監督の『ドグマ』とか『ジェイ&サイレント・ボブ/帝国への逆襲』なんて観ている所為で、ベン・アフレックとマット・デイモンについて正しい評価が下せていないのではないか。
 まぁ、アレはアレで楽しい映画なんですけどね(笑)。

 世間一般的にベン・アフレックと云うと『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』だねえと云う反応が返ってくるのですが、観ておりません(汗)。
 私の知っているベンは『パール・ハーバー』とか『トータル・フィアーズ』とか『ペイチェック/消された記憶』とか『デアデビル』とか……。
 あれえ? 俺の云うベンと他人の云うベンは別人なのだろうか。

 などと大ボケかます私の「ベン観」を打ち砕いてくれた映画かコレです(爆)。

 ジャック・ヒギンズの初期のハードボイルド小説を思わせる犯罪サスペンスですねえ(『死にゆく者への祈り』とか好きなんですよ)。
 舞台となるボストンの街が、割とイギリスぽいところがある所為もあるか。
 実はオリジナル脚本ではなくて原作付。
 原作小説『強盗こそ、われらが宿命』は翻訳で文庫本上下巻あるそうだが、結構脚色して巧くまとめているらしい。このあたりにもベンの手腕が表れているのね。

 実に渋い男たちのドラマである。
 プロフェッショナルな銀行強盗の仕事ぶりがいい。まぁ、荒事ではありますが。
 好みから云うと、強盗はもっとスマートに、相手に気付かれぬように済ませるというのが理想ではありますが──強盗と云うよりも泥棒やね──、やるときには手早く、誰も殺さず、片付けてしまうのがいい。
 殺しは極力避けるというポリシーを貫こうとするプロの強盗ではありますが、結構バイオレンス入ってます。

 ベン・アフレックが実に渋い強盗を演じている。親友が『ハート・ロッカー』でアカデミー賞受賞したジェレミー・レナーですよ。ジェレミーは今年のオスカーでも助演男優賞にノミネートされておりますな。
 ジェレミーは『ハート・ロッカー』よりもこちらの方が印象深い。

 強盗に入った銀行で人質に取った女性(レベッカ・ホール)が、たまたま自分たちの近所に住んでいたという偶然から始まるドラマが面白い。顔は見られていない筈だが確証がない。そこでベンが探りを入れる為にレベッカに接近し、恋に落ちていく。
 正体を隠しながら交際が始まる。実はレベッカは、ジェレミーの顔は見ていないが、首筋のタトゥーに見覚えがあって……。このあたりの描写はなかなかスリリングでした。

 ベンを追うFBI捜査官(ジョン・ハム)との頭脳戦も面白い。ただのバイオレンス・アクション映画ではないのである。
 犯人の目星は付いているのに証拠がない。そこでベンの周辺の人物から搦め手で捜査の網を縮めていく。ジェレミーの妹(ブレイク・ライブリー)を締め上げて兄貴と仲間達の情報を引き出そうとする。
 この捜査官が突きつける〈究極の選択〉がなかなかエゲつない。

 それから怖いのはギャングの元締めですねえ。
 普段は何の変哲もない街の花屋さんというのが、ギャップありすぎ。このあたりもヒギンズぽいのかなあ。
 私はミッキー・ローク主演の『死にゆく者への祈り』を連想してしまいました。あっちは葬儀屋がギャングのボスの表向きの商売だったが……。
 『イースタン・プロミス』ではロシア料理店のおやじがそうだった。
 やはり表向きの顔は必要なのか。

 フツーの花屋のおやじのくせに、後半は実に凄みを効かせた顔を見せてくれました。怖ろしい。
 ピート・ポスルスウェイトは今作が遺作となってしまったようです。惜しい人を亡くしてしまった。
 昨年は『タイタンの戦い』でペルセウスの養父となる一徹なオヤジだったり、『インセプション』にも出演していましたが、やはり『ユージュアル・サスペクツ』のコバヤシさんが思い出深い。

 個人的には、この映画からアカデミー助演男優賞候補を出せと云われたら、ジェレミー・レナーよりもピート・ポスルスウェイトを推したいところです。ノミネート前にお亡くなりになったから選ばれなかったのかなあ……。

 劇中で「警察の捜査方法に詳しいのね」と訊かれたベンが苦し紛れに「『CSI:科学捜査班』のファンなんだ」と言い抜けるシーンに笑った。やはり『CSI』シリーズは人気の犯罪捜査ドラマなんだねえ。

 しかし『CSI』のファンであるというのは、あながちデマカセでもなかったようで、逃走用に盗んできた車を乗り捨てる際の行動に感心した。
 事前に街の床屋の床を掃除して回収してきた毛髪を持参し、乗り捨ての際に車内に毛髪をバラ撒くのである。

 「街中のDNAを喰らえ!」

 ローテクではあるが、かなり有効な方法のように思える。
 こんなことをされては人物の特定に時間が掛かりすぎるだろう。ラングストン教授もテイラー捜査官もお手上げのような。これがリアルな犯罪捜査ドラマの功罪という奴なのか(笑)。

 結構、台詞の端々や色々なところに伏線が張られていて、巧みなドラマの展開に唸らせられました。巧い脚本だ。やるな、ベン。
 カーチェイスや銃撃戦の描写も迫力あるし、これはお薦めデスねえ。

 ボストンのチャールズタウンの名誉の為に、エンドクレジット後に但し書きが表示されるのが笑えました。確かにこのままだとチャールズタウンと云うのは悪の巣窟か、極悪犯罪都市な烙印が押されてしまわれそうですからね(笑)。

 そうか。再開発が進んで、もう映画のような雰囲気は薄れつつあるのか。ちょっと残念。




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