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2008年7月1日火曜日

イースタン・プロミス

(Eastern Promises)

 実に久々にデヴィッド・クローネンバーク監督作品。実は『ヒストリー・オブ・バイオレンス』未見だった(汗)。
 だから『デッドゾーン』とか『ザ・フライ』とか『イグジステンス』の監督が本格的なフィルム・ノワール撮っているのでちょっとビックリ(笑)。
 でも『ヒストリー~』は結構評判良かったから、割と期待していきました。

 期待に違わぬ出来でした。いや堂々たるフィルム・ノワール。
 渋い。実に渋い。と云うか地味。

 何故、こんなにも地味なギャング映画になるのだろうと観終わって考えていたら、拳銃が一発も撃たれていないからだと気がつきました。
 そりゃロンドンが舞台のギャング映画だからね。イギリスはアメリカのような銃社会じゃないのね。というかアメリカが異常なのだ。
 抗争は全てナイフ。忍び寄り、一瞬の隙を突いてブスリ。大抵の国じゃこっちのやり方の方が主流なのだろう。映画としちゃ『シューテム・アップ』式の方が派手で面白いけどね(笑)。

 それにロシアン・マフィアが余り悪事を働いていないように見える。
 物語の本筋は赤ん坊の争奪戦だし。
 よく考えると麻薬密売や人身売もやってるので司直の手が伸びるのは当然なのですが。

 これまでイタリアン・マフィアやアイリッシュ・マフィアを描いた映画は随分と観てきましたが(ジャパニーズ・マフィアも)、本格的なロシアン・マフィア映画と云うのは初めてでは無かろうか。
 独特な世界の描写がなかなか興味深い。
 しかしヤクザはどこの世界でもアットホームで家庭的な雰囲気を持っているのが笑えました。裏と表の顔を使い分けるボスが素敵です。ボルシチ、美味そうやなあ。

 しかし何と云っても主演のヴィゴ・モーテンセンが素晴らしい。
 サウナで襲われ、全裸で戦う体当たり演技(爆)。よくあのフルチン姿にボカシがかからなかったものだ(一瞬ですが)。
 競演のナオミ・ワッツとか、ヴァンサン・カッセルもイイ感じ。
 特にヴィゴだけでなく、カッセルも頑張ってロシア語を喋っていたりします。
なかなかネイティヴな発音ぽかった(よく判らぬが)。

 まあ、クライマックスにはチト違和感あるのですが。
 赤ん坊を殺そうとして殺せないカッセルの演技までは良かったのになあ。やはりあそこで赤ん坊を救いに駆けつけたヴィゴとナオミの姿に、突然狂気に駆り立てられるカッセルの演技が観たかった。
 DVD化された際には「別エンディング」として収録されないものか。


●余談
 そのあとで『ヒストリー・オブ・バイオレンス』観ました。
 いや、こっちの方が出来はイイんじゃね?


イースタン・プロミス [DVD]

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