2011年2月6日日曜日

ウォール・ストリート

(Wall Street: Money Never Sleeps)

 「強欲は善である(Greed is Good)」は、映画の名台詞のひとつですね。
 強欲は善。強欲こそ人類進歩の推進力──まぁ、一理あるけど。

 あの伝説的拝金主義者ゴードン・ゲッコーが還ってくる(笑)。
 マイケル・ダグラスの風貌に年輪を感じてしまいます。

 予告編を初めて観たときは、『ブルース・ブラザース』のパロディ映画かと思いました。
 男が刑務所から出所する際に、保管されていた所持品をひとつひとつ返却されていくという場面。やはり最後の「携帯電話一台」で、ドンと置かれる電話機の巨大さに時代を感じてしまいますな。さすが80年代の携帯電話(笑)。

 この場面に限らず、前作の『ウォール街』(1987年)を観返すと、時代の流れを痛感します。一応、DVDで復習しました。

 『ウォール街』でも証券会社の職場が戦場であることには変わるところはないが、その風景がすごい。
 机の上に並んでいるコンピュータはどれもブラウン管で、数台おきに扇風機が設置されて風を送っている(熱いんだなあ)。しかも画面はコマンドライン入力である。まだ大型汎用機が全盛で、「パーソナルなコンピュータ」が企業の業務に浸透する以前である。GUIのない時代! したがってマウスが存在しない。おまけにキーボードは人を殴り殺せそうな程、重厚だ。
 そして証券マン達は全員、固定された電話で話している。さすが前世紀(笑)。
 IT技術の進化って凄い。
 しかし21世紀になっても、システムを動かすのが人間であるという描写が巧い。

 そして映画自体の基本的スタイルも変わらない。前作では主役はチャーリー・シーンでした。マイケル・ダグラスでは無いのである。
 今回はシャイア・ラブーフ。前作同様にマイケル・ダグラスに振り回される主人公であることが容易く予想される(笑)。

 しかし実はマイケル・ダグラスは今回はそれほど悪役ではない。うーむ。
 アーノルド・シュワルツェエネッガーが『ターミネーター』で殺人マシンを演じながら、続編では主人公の味方になったように、今回のゲッコーさんは実は割と「いい人」だったりする。まさか(笑)。

 このあたりの扱いの変化が最初はなかなか信じられず、そうは云ってもゲッコーは悪党なんだろと期待していたのですが……。
 前作のラストでチャーリー・シーンにインサイダー取引を暴露され、服役している間に考えが改まったらしい(笑)。

 オリバー・ストーン監督は、80年代にゲッコーが個人でやっていたことを、今では大手銀行が組織だってやっていると云いたいらしい。「今や強欲は合法」なのである。もうゲッコー個人の出る幕ではないのだ。哀しいが時代の流れか。
 その代わりにゲッコー以上の悪辣な投資銀行家として登場するのがジョシュ・ブローリン。ストーン監督の前作『ブッシュ』にも出演しておりましたな。
 マイケル・ダグラスのライバル役だったテレンス・スタンプは……もう引退しているのか、出番無し。

 宣伝では主演であるダグラス、ラブーフばかり前面に出されておりましたが、実は脇役が異様に豪華である。
 ブローリンの他に、フランク・ランジェラ、スーザン・サランドンがいる。そしてまさかのイーライ・ウォーラック! うわあ。

 シャイア・ラブーフのケータイの着メロが「続・夕陽のガンマン」だったのは、この所為らしい。しかし私は金融業界の映画なのだから、着メロにするなら「夕陽のガンマン」の方がいいと思うのですが。
 だって“The Good, The Bad And The Ugly”よりも“For a Few Dollars More”の方が金融業界ぽいでしょ(笑)。

 ところでチャーリー・シーンはどうしちゃったのか……と思っていたら、出ました! うーむ。チャーリー、老けたな。ますますマーティン・シーンに似てきたぞ(少しメタボぽいが)。
 ほんの一場面でだけのチョイ役でしたが。セレブの集まるチャリティの場面で、ゲッコーを見かけて声を掛けてくる。もう証券マンからは足を洗ったらしく、ブルースター航空の重役という立場で悠々自適らしい。
 前作を知らない人には意味のない場面ですが、私は安心しました(笑)。

 ドラマとしては、今回は2008年が背景。
 ビミョーに過去になっているのには理由がありました。もうお判りですね。
 ドラマの中盤で〈リーマン・ショック〉が発生するのである。
 しかし物語の流れとして如何なものか。とにかく、全く唐突に大混乱が発生する。説明無し。説明するまでもない大事件ではありますが……。2008年だし。

 他にも唐突と云えば、ゲッコーさんには息子の他に、娘がいたというのも初耳デス。
 前作では「三才の息子がいる」と云っておられたが……。服役中に息子は薬物中毒で亡くなっていた。『ウォール街』でショーン・ヤングと一緒に画面に映っていたあの子が。
 代わりにキャリー・マリガンが娘として登場している。このあたりの設定上の変更は些細なことか(笑)。

 色々あって一番の悪党、ジョシュ・ブローリンは破滅するのだが……。
 やはりラストでマイケル・ダグラスも本領を発揮してくれました。ゴードン・ゲッコーが完全にいい人になったなんて信じられませんからね(笑)。
 裏切り御免がこれほど板に付く人もそうはおるまい。

 しかし例えば『ハスラー2』でポール・ニューマン演じる老エディが「これがカムバックだぜ!」と云い放つ場面にはカタルシスを感じますが……。
 マイケル・ダグラスが同様に「カムバックだ!」と云うのは……。
 うーむ。この人はもうカムバックしない方が世の為、人の為なのではと思わざるを得ませんなあ(笑)。

 まあ、前作ほど金儲けにギラギラしなくなったのはいいが──金銭よりも人生では時間の方が大切だという発言もありますが──、やはりマネーゲームは生き甲斐なんですかね。
 一応、人生の先輩として幾つかの助言が出来るようになったのは進歩と云えば進歩なのか。

 「一山当てようという気持ちが悪を生む」

 そりゃ、自分のことでしょう!
 ところでコレ、三部作化なんてしないでしょうね?




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