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2011年2月26日土曜日

マクロスF

恋離飛翼~サヨナラノツバサ~

 やはりマクロスはいい。SF者のアニヲタでいて良かった(爆)。
 しかしもはやこの映画はSFなのか。ほとんどミュージカルなのでは。
 気合いの入ったライブシーンが冒頭からガンガン流されます。これは前編の『虚空歌姫』と同じですが、今回はシェリルだけでなくランカちゃんのステージも描かれるので、この対比がなかなか面白いデス。
 セクシー路線のシェリルに対して、メルヘンチックなランカちゃん。
 新曲もたっぷり投入ですよ。「禁断のエリクシア」に「虹いろ・クマクマ」ですか。またサントラCDを買わせる気か。
 つい先月も「放課後オーバーフロウ」を買ったばかりだというのに(当然、この曲もクライマックスで歌われます)。

 しかし新曲ばかりではないですね。ちゃんと「ライオン」も「ノーザンクロス」も歌われますよ。実に惜しみない。
 前編もそうでしたが、こんなに沢山歌うのではそりゃ二部作にもなるでしょう。

 それにしてもフロンティア移民船団の中の街のデザインが、意図的にサンフランシスコを再現しているのは何故かと思っていたら、アルカトラズを出したかったからか。刑務所の中まで当時のデザインを再現するという凝りよう(笑)。
 スパイ容疑で投獄されたシェリルと、脱獄を手配させる為のランカの刑務所慰問ライブに笑いました。
 ついでにシェリルとランカで「監獄ロック」も歌ってもらいたかった(爆)。

 SFとしては、メインはファースト・コンタクトがテーマですが、今回は一次遭遇から先の段階、コミュニケーションと相互理解へと進んでいきますが、これも一筋縄ではいかない。相手は昆虫型のエイリアンですからね。
 『インディペンデンス・デイ』や『スターシップ・トゥルーパーズ』とはまたひと味違う。

 脳が小さいと心はないのか。虫や鳥や木々には心がないのか。
 なんか久しぶりに「心の内臓起源説」を聞きました。私が初めてこの仮説を扱ったSFを読んだのは、確か萩尾望都の『マージナル』でした。
 「子宮が考える」ってやつですね。

 初代マクロスの頃のようなセンス・オブ・ワンダーはありませぬが(それは俺が歳食ったからなのでは?)、実に手堅い。
 『ガンダム00』と同じく、異星生命体とのコミュニケーションが本筋ですが、SFアニメでは『マクロス』の方が元祖か。

 そして〈マクロス〉25周年記念作品──マクロス全部載せ──を標榜するのは伊達ではない。
 オールドファンであるほどに楽しく感じられる仕掛けが随所に散りばめられていてお勧めです。

 特に私、『マクロス・プラス』が好きなので、この劇場版で前進翼のYF-29の勇姿を拝めて大満足でした。
 クライマックスのアルトとブレラの空中戦が素晴らしい。おまけにイサムまで登場してくれるとは、これは嬉しい(声だけでしたが)。

 TVシリーズでは宙に浮いたままになっていた三角関係にキチンと決着をつけるあたり、劇場版の気合いが伝わってきます。このあたりも『愛・おぼえていますか』を彷彿としますなあ。
 長いシリーズを劇場版化するにあたって二部作として正解でした。端折りすぎず、適度に縮めながらも、オリジナルのシーンやストーリーの変更を盛り込みながら展開するドラマは、TVシリーズを知っている者でも楽しめるし、知らない者でも理解できる。しかも全編、完全新作。

 色々と補足説明が施されている部分はいいのですが……。
 逆にアイくんの正体がバジュラであったというのが判りづらいか。判って観ているからあの演出になるというのは理解できるのですがね。
 さりげなくチラチラと説明カットがあるにはあるが、あれではよく判らないような……。

 TVシリーズからのファンとしては、前作でナナセさんの出番が丸ごとカットされた件については云いたいこともあるでしょう(笑)。河森監督も、「後編では登場させます」と公約していたことではありますが……。
 えーと。出番、あれだけ?

 オズマ隊長とブレラでランカを奪い合う「お兄ちゃん対決」の構図とかは素晴らしかったのですが。実の兄 vs 義理の兄(笑)。

 この劇場版では、個人的に一番光っていたのはワイルダー艦長ですね。イカス。
 〈フォーメーション・ビッグウェンズデー〉が素晴らしすぎる。名前が付いているところを見ると、前にもこの艦長はやらかしているらしい(笑)。
 だからボビーのような古参メンバーはちゃんと判っている。名前を聞いたときからイヤな予感はしていましたが、やっぱりコレか!

 前半の「SMS慰安旅行」の場面は単なるファン・サービスではなく、ちゃんと伏線になっておったのですね。
 艦長がサーフィンしている場面がワンカットだけ挿入されている。

 この強引な大気圏突入シーンは心が震える。俺的に屈指の名場面だと思います。
 『ギャラクティカ』でもここまで無茶は出来まい(笑)。
 あのマクロスの巨体でやるのか。『交響詩篇エウレカセブン』へのオマージュ?

 「野郎共、波に乗るぞぉッ」

 いや。ワイルダー艦長、ここまで豪快な人でしたっけ?
 モニカさんは考え直した方がいいのではないか。それとも惚れ直したか?

 そして歌に始まり、歌に終わる。
 銀河に歌を。
 いやぁ、マクロスだなあ。
 エンディングのライブがまた想像力をかき立てます。クレジットのみ流れていく中をライブ音声が流れるという『愛・おぼえていますか』のパターンですが、あとになってディレクターズカット版で画が付いたりしないのか。

 小ネタですが、手塚治虫へのオマージュが感じられる場面は何だったのか。
 ブラックジャックやアトムやメルモちゃんが画面の隅に意味ありげに登場していたが……。




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