2011年2月25日金曜日

恋とニュースのつくり方

(Mornig Glory)

 TVの報道番組を描いた映画と云うと『ネットワーク』とか『ブロードキャスト・ニュース』なんてのが思い浮かびますが、どちらもシリアス・ドラマでしたな。あと『グッドナイト&グッドラック』もあったか。このネタで「働く女性のサクセス・ストーリー」をコメディ・タッチで描こうというのは、割と珍しいか。
 まあ、邦題はいつものパターンというか『○○○と×××の△△△△』な題名にされてしまいましたが。

 弱小ローカル局で朝番組のプロデューサーだった主人公にもリストラの波が押し寄せる。あっさり解雇されてしまうが、彼女は諦めない。実にパワフルに再就職目指して就活しまくる。

 劇中、冒頭でイキナリ失職してしまった主人公に対して、主人公の母親が忠告する場面がグサリときます。

 8歳で夢を描くのは素晴らしいことよ。
 18歳になっても夢を持つことはいいことね。
 でも28歳でまだ夢を捨てずにいるのは恥ずかしくない?

 そんなお母さん。そこまで娘さんの努力に水を差さなくても(泣)。
 まあ、娘の方はそんな母の言葉にもメゲない。逆にそんな母の言葉を行動で打破していくワケで、それが素晴らしいのですが。
 しかし28歳で番組プロデューサーになれるものなんですかね。そんなところに突っ込んではいけませんか。

 そして遂に救い主が現れる。
 久方ぶりのジェフ・ゴールドブラムですね。NYの全国ネット局の報道部長役がハマってます。
 欣喜雀躍する主人公だが、押しつけられたのは低迷する朝番組だった。かつては人気番組だったが、いまや低視聴率にあえぎ、死に体の有様。
 しかし腐っても全国ネット。朝のワイドショーなら経験もある。勇んで現場を訪れた主人公を待ち受けていたものは……。

 いやもうTV局というのは、もともと雑多な人々が出入りする現場であるというのは承知しておりましたが、ここまでカオスなスタジオというのは見事だ。よくこれで番組を制作できているというくらい。予算も削られ備品もボロい。

 この映画はとにかくレイチェル・アダムスが演じる元気な主人公が好感持てます。ここまで前向きかつパワフルな女性なんて実在するのかと云うくらい。
 血中アドレナリン濃度が常人とケタ違いなのではと思わざるを得ない(笑)。
 めげない。怯まない。しかも、抜け目ない。

 番組のテコ入れに、かつての報道番組の重鎮ハリソン・フォードを起用しようとする。当然、ハリソンは歯牙にもかけない。そんなチャラい朝番組に出られるか、というわけである。
 しかしレイチェルはハリソンとTV局の契約書を調べあげ、弱点を突いてくる。頭の回転が速く、機転が効く。
 美人で愛嬌があって前向きで、時に狡猾に立ち回っても憎めないキャラというのは希有な素質ですな。

 だがハリソンと、番組の顔である先任キャスターとの相性は最悪だった……。
 こちらもお久しぶりのダイアン・キートンですね。お堅い報道一直線のハリソンに対して、バラエティ指向のダイアンでは水と油である。まあ、どちらもTV番組というものの一面ではありますが……。

 鳴り物入りでハリソンを出したが、ハリソンとダイアンのギスギスした関係が響いて視聴率はどん底。ジェフ・ゴールドブラムは番組の打ち切りを決定してしまう。
 まさに崖っぷちであるが、これで開き直ってしまった(笑)。
 死を宣告された人間に怖いものが無くなるように、ヤケクソになった企画のハジケっぷりが笑えます。
 巻き添え食らって突撃取材を命じられる気象予報士のおじさんがかわいそス。しかしこのおじさんが虐められる企画がウケるのだから、世の中わからないデスね(笑)。

 パターンな演出ですが、手堅い。
 脚本は『プラダを着た悪魔』のアライン・B・マッケンナ。働くお姉さんを扱った脚本は巧い。
 監督はロジャー・ミッシェル。この人の監督作品は今まで観たこと無い。『ノッティングヒルの恋人』が代表作か。『チェンジング・レーン』も未見だ(汗)。

 どん底まで落ちた視聴率が回復していく過程で、不和だったダイアンとハリソンの関係もそこそこ和らぎ、スタッフに連帯感が生まれていく描写は観ていて楽しい。
 そしてハリソンの報道魂が炸裂する州知事のスキャンダル取材。

 そして語られる頑固で仏頂面のハリソンの哀しい過去。仕事に追われ、家にいてもニュースをチェックしまくり、家族との会話がなく、休日もケータイで職場に呼び出される多忙な生活のおかげで家庭は崩壊してしまった。
 ハリソンの語る生活が、まさに今のレイチェルの図である。恋人との関係も破局寸前。

 やはり人間、仕事と休みのケジメはきちんと付けなきゃね──って、そういうのはちゃんとサボらず仕事している人の為の教訓デスね(汗)。

 撮影に際しては、本職のTV関係者に出演していただいたそうであるが、確かにスタジオの調整ブースにいる人たちにはリアリティがありました。
 特に名前は呼ばれなかったが、番組の進行を直接司る男性の動きがプロフェッショナルかつ優雅でした。まるでオーケストラ指揮者のように手を振りながら、音楽やカメラの切り替えにキューを出していく。実に見事な職人でした(出番は数カットしかなかったが)。

 結局、視聴率急上昇で番組は延命し、あり得ないくらい恋も仕事も充実しちゃうハッピーな物語ですが、底抜けに前向きなレイチェル・アダムスですべて許そう(笑)。

 劇中、ハリソンが街頭で通行人に呼び止められる場面が笑えた。「いつもTVで見てますよ。がんばって下さい」というのは、有名人にはありがちな出来事ですね。
 でもダン・ラザーと間違えられていたというオチに、ハリソンは憤慨していた。

 「この私がダン・ラザーだと!」

 よく判らぬが、それはきっとロジャー・ムーアをショーン・コネリーと間違えるようなものか(例えが古いね)。


恋とニュースのつくり方 (イソラ文庫)

▲ PAGE TOP へ

ランキングに参加中です。お気に召されたならひとつ、応援クリックをお願いいたします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村

ランキングに参加中です。お気に召されたなら、ひとつ応援クリックをお願いいたします(↓)。

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村