私もその一人ですが。
とりあえずTVシリーズの設定をめちゃくちゃ簡潔に説明してくれる冒頭の戦闘シーンがイカす! かなり脚色していますが(笑)。
仁王立ちするアレハンドロの勇姿がキョーレツ!
TVシリーズから観てきた人には一見の価値ありと申せましょう。
まぁ、そのようなお遊びから始まったが、内容的には実にオーソドックスなSFでした。
予告されていたように〈来るべき対話〉が遂に到来する。ガンダムの物語で、異星人とのコンタクトを描こうという大胆な展開である。
人の革新をファースト・コンタクトに絡めて語ろうというところが巧い。
しかし従前のファンの反応はどうであろうか。どちらかと云うと、我々のようなSF者の為に作られた劇場版のような気がするのだが、TVシリーズをきちんと観ていないとキャラの相関関係とか判らないし、SF者からすると「戦闘シーンが長すぎる」とか云われてしまうのであろう(実際、私はそう思った)。
当初、「宇宙怪獣と戦うガンダム」なんぞと云う無茶な企画を出してボツ食らったと云う割に、なんだかんだと当初の企画通りに実現にこじつけたという監督の無茶ぶりと云うか手腕に敬意を表します。
遂に到来する〈来るべき対話の刻〉。TVシリーズの時から予告されていた異星文明とのファーストコンタクト。ガンダムでこのネタができるのかとチト不安でありましたが、蓋を開けてみれば「非常にオーソドックスなSF」だったので逆に拍子抜けしました。
思えば、当初から思わせぶりだった「第一次木星探査隊の全滅」。もう木星に何かあるというのは判りきったハナシでした(笑)。
まぁ、その割にソレスタルビーイングのテクノロジーは異星文明とは何の関係もありませんでしたが……。うーむ、SF者としてはちょっと期待していたのですが。
逆にアレ全部、自分で発明していたというイオリア・シュヘンベルグの才能に改めて感服いたしました。大したものだ。
SF者として、異星人を安易なヒューマノイド型にしなかったことは褒めてあげたい。まぁ、当初の「宇宙怪獣」というコンセプトからすれば、ELSがあんな感じになるのは当然といえば当然か。
初代ガンダムの頃から、人間同士のコミュニケーション能力を増大させる〈ニュータイプ〉なんてのがありましたが、遂に人間同士から知性体同士にまでエスカレートしましたか。
『00』って初代から随分とかけ離れているように見えながら、基本には驚くほど忠実ですねえ。
しかしこの劇場版を観た若年層の反応が非常に気になる。上映終了後、口々に感想を漏らす声を聞くともなしに聞いたところでは──。
「あれ、どういう意味だったの?」だと。
うーむ。私にとっては「非常に明快かつヒネリ無しなくらいオーソドックスなSF」だったのになあ。オチの付け方にも疑問点などカケラもない。
もちろん、個人の嗜好によっては「面白い」と「詰まらない」に評価は分かれるでしょう。しかし「判らない」とはどうしたことだ。
一体、ナニが判らなかったのだ?
不定型の金属生命体が人類との意志疎通に成功した途端、「アノ形」をとることに何の不思議がある? 万国共通の平和の象徴でしょ?
私にしてみればオチが明快な分、そこに至る経緯が長すぎるとさえ感じられたのですが……。
まあ、カッコイイ戦闘シーンが目当ての人もおられるでしょうから、仕方がないとは思いますし。ただでさえ多すぎるレギュラー陣に加え、TVシリーズでは脇役だったキャラまでガンガン登場するこの劇場版は、ファン・サービスには手抜かり無しという印象です。
あまりにも大勢のキャラが登場し、物語の総決算をしようとするものだから、「ひょっとして終わらないのでは?」とも懸念しました。最近は多いですからね、平気で続編につづく、で終わる映画が。
でもなんとか決着がついて一安心。
実に安定した定番決着だと思ったのになあ。しかもエピローグがまたSF定番な「判っていても泣かせる」オチなんだがなあ。
若年層はSF読まないのか(汗)。
●余談
冒頭の「前回までのあらすじ」的紹介で流された痛快娯楽活劇『ソレスタルビーイング』が観たい(笑)。
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