怖れていたとおりの3D上映である。最近の流行とは云え、猫も杓子も3Dだわ。まぁ、ホラー映画なんてジャンルは真っ先に3D化される宿命ではあるか。
それにしてもTOHOシネマズでは追加料金まで値上げとは! (追加300円が400円にッ)
値上げなんてしたら逆に客足が遠のくような気がするのですが。やはり設備投資したが回収できるほど儲からなかったのかなあ。
例によって例の如く、特に3Dにする意味は感じられませんでしたが、毎年秋の恒例行事ですからな。皆勤賞狙いの私としては追加料金払ってでも観なければなりませぬ(義務)。
いや、でも原題には「ファイナル」とは謳われておりませぬが……。
ただの「SAW 3D」ではないか。
ホントに完結編なのか?
上映開始前に、とても親切な「これまでのソウ」のダイジェスト解説が流されます(笑)。もう連続ドラマのような扱いだ(実際、そうだけど)。
実は今までのシリーズには結構、生死未確認のまま放置されていた人々がいたという事実が興味深い。
確かに死んだと思わせるような演出ではありましたが、屍体が映るわけではなかったし、死亡が確認されていたこともなかった。そもそもただの脇役だった筈ではないか。
しかし「ただの脇役」を拾い上げて「実は……」と持ってくるのが、このシリーズですからな。前作の捜査官の同僚が次作の主役だったりする。
よもや第一作のラストで──(自主規制)──っちゃったゴードン先生まで引っ張り出してくるとは。もう七年前の犠牲者だった筈なのに(劇中での時間経過は一年未満と云うところだから、不自然ではないか)。
そうか。あのあと、あんな風に続いていたのか。
脚本化はつじつま合わせの達人だなあ(笑)。
今回は「殺人ゲームから生還した人々」をネタにしているので、前6作中から助かった人たちがゾロゾロ出てきます。第一作のゴードン先生の他にも、ほとんど名前も忘れた方々が〈ジグソウ生存者の会〉の集会に顔を出している。
ほとんど同窓会のノリである。さすが完結編……なのかなあ。
しかし〈生存者の会〉で一番目立っているのが、今作で初登場のショーン・パトリック・フラナリー。おお、今年は『処刑人2』に続いて主演作が二本も公開されるとは、頑張ってるねえ。メジャーに返り咲けるのでしょうか。
今まで有名俳優なんぞ起用しなかったシリーズに、初めて犠牲者に有名俳優を起用か。うーむ。何となく完結編であるという雰囲気が漂って来たよ。
今回もまた、複数プロットが同時進行するという形式になっています。
ショーンのゲーム進行と、前作から続いている〈ジグソウの後継者争い〉が交互に語られるわけですが……。
今回はジグソウ役のトビン・ベルの出番が少ない。今までなら、既に死んでいても回想シーンで元気な姿を披露してくれたわけですが、今回はドラマを収束させる為か、あまりファン・サービスに割いてくれる時間がなかったのか。
それがちょっと不満である。
それにしてもよく続いたシリーズだこと。『猿の惑星』並である。
制作会社はパート8かパート9くらいまで企画していたそうであるが、どういう経緯で7作で完結になってしまったのであろうか。せっかくギネスブックに「最も成功したホラー映画」として認定されたと云うのに(笑)。
即ちソレは『13日の金曜日』とか『エルム街の悪夢』シリーズを抜いていると云うことではないかッ。
あのジグソウが遂にジェイソンやフレディを押さえてホラー映画のトップに!
よもや。
ファンから愛され、穴のある設定にツッコミ入れられ放しだからこそ、続いたシリーズとも云える。
Q: 末期の悪性腫瘍患者が計画を立案したとしても実行に移せるのか?
A: 実は協力者(女)がいましたあッ。
Q: 女の協力者では、男性の被害者を何人も拉致したりできるのか?
A: 実はもう一人、協力者(男)がいましたあッ。
Q: 警察の情報がダダ漏れではないか。
A: 男の協力者は刑事ですうッ。
次から次へツッ込まれる度に次回作のネタに繋げていく脚本家の手腕と、それを毎年毎 年キチンと制作できるシステム。他のホラー映画と一線を画すとすれば、設定の妙よりもこの制作システムの確立だったのではないか。
ツッ込まれる度に、それが次回作へのネタとなっていく。素晴らしい循環システムですねえ。
更に今回は、「各種拷問マシーンの設定には犠牲者を生かし続けられるような医学的知識がないと、すぐに死んでしまうのではないか」というツッコミがあったらしく、それに対する回答が用意されています。
うわあ、強引。
と云うか、ネタバレですか。
しかし今回はシリーズの幕引きの為か、ホフマン刑事が超人化してしまった。こんなに凄い人だったとは(笑)。いやいや、こんなにしぶとい人でしたっけ?
今まで〈後継者〉にしては頼りないだの、〈真の後継者〉が他にいるのだだの、散々な云われようでしたが、これなら〈後継者〉として認定してあげられる……と思ったら、もう完結か。いや、残念。
うーむ。それでもまだ、これが最後の『ソウ』だとは思えない……。
だってホラ、まだ説明していないことがいっぱいあるでしょ。前作までの謎を明かす為に用意された回答が、次なる謎を呼んでいるじゃないデスか。
もはや脚本家の癖になってしまったとしか思えぬ。無意識のうちに次回作へのネタをばらまかずにはおれなかったのだろうか(笑)。
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