が、これが本当にリメイクなのかと云うと、ちょっと……。
あえて云うなら『PART2』と『PART3』のリメイクですかね。
冒頭、いきなり第一作のラスト・シーンの再現から始まる。
なんと数分で『13日の金曜日』第一作のリメイクは終わってしまった(爆)。
第一作はれっきとしたミステリ・タッチのサスペンス映画だったのに、マイケル・ベイはそんなもののリメイクなどするつもりがないことを宣言してしまった。
あくまでもこの作品は、「ホッケーマスクの怪人ジェイソン」が活躍する第二作以降のシリーズのリメイクなのである。うーむ。
でも、それならリメイクとは云わずに『13日の金曜日 PART.11』とかにしておく方が良かったのでは……。
つまり「リメイク」と云っている割に、細かい説明を省略しているのが気になるのである。観客はジェイソンが何者なのか知っているはずだという前提で、物語が進行していく。
なんだかなあ。
結果として、無敵超人ジェイソンがティーン・エイジャー共を片っ端から血祭りに上げていくだけの映画になってしまった。
大体、ジェイソンは喋らないので、殺人の動機とか、不死身な理由とか、さっぱり説明なしなのである。
しかも、もはや〈13日の金曜日〉である必然もない。とにかくクリスタルレイク近辺にやってきて、湖畔の静謐をかき乱す不埒な若者達を粛正しまくるのみ。
うう。単調だ……。
シリーズ初期のジェイソンは無口な分、死体を飾り付けたりする行動で表現するアーティスト(笑)ぽい部分もあったのですが、シリーズ後期に至ってはゴジラ並に無敵且つ不死身な点のみ強調され、感情も人間性も失ってしまった。
明らかに今回のジェイソン像は後者の方に近い。
製作サイドとしては、初期の感情の片鱗を覗かせたまま、後期の無敵状態と統合させようと試みたようではありますが……。説明不足なのでかなり中途半端になってしまいました。
ジェイソン、お前は何がしたかったのだ?
美術スタッフは割といい仕事しています。
登場する「どこかで見た納屋」とか「どこかで見たボートハウス」とか(笑)。きちんと再現しているのは素晴らしかったのですがねえ。
音響設計もいい仕事をしている……と云うか、劇場の設備が良すぎて、過剰に「音で驚かせる効果」が効いていました。
一応、このシリーズが確立した「お約束」を守ることには忠実。
即ち、「人目を忍んでエッチなことするバカップルから粛正される」とか「ひとりでフラフラ出歩く不用心な野郎から血祭りになる」とか。
ベタではあるが、王道です。
ラストシーンもベタベタですが……。
うーむ。そう云うことだけは外さないねえ(笑)。
理屈抜き(理屈無視?)に、ショッキングな映像と音響だけが突っ走った映画でした。潔いと云えば潔いのだけど。
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