冒頭、ドイツ・テューリンゲン地方で発掘調査をしている鴻上ファウンデーションの調査隊の皆さんが怪物に襲われるところから始まります。発掘調査で目覚めさせてはいけないものを目覚めさせてしまった、と云うのはよくあることデスね。
目覚めたのはコアメダルを作り出した錬金術師達の中でも最凶の錬金術師ガラだった。
八百年前のドイツ──と云うと、十三世紀。神聖ローマ帝国の時代か。
十三世紀初頭のテューリンゲン地方と云うと、リヒャルト・ワーグナーのオペラ『タンホイザー』が思い起こされますが、実はオーズとタンホイザーの間にナニかあるのか……と云うようなことは全くなく、コアメダルは神聖ローマ帝国ともタンホイザーとも無関係でした。まぁ、言及されていないだけで、実はナニかあるのかも知れませんが。
「当時の王の命令でコアメダルは作られた」と、云われていますが、誰なんだ。
十三世紀初頭の神聖ローマ皇帝と云うと、オットー四世か、それともフリードリヒ二世か。TVシリーズの劇中でグリード達を率いていたのは、実はオットー四世だったのか。
最初の仮面ライダーオーズはドイツ人かッ(しかも皇帝陛下)。
──と云うような妄想を炸裂させても、さっぱり映画観賞の助けにはなりません。
時空を操るガラは鴻上会長と里中さんを拉致したまま、テューリンゲンの森林地帯と東京の土地を入れ替えてしまう。ドイツの人に訊いてみたいが、現代のテューリンゲンにそんな森林があるんですかね。ハイニヒ国立公園かしら。
さながらメダルの裏表のように新宿近郊とドイツの森林地帯を「円形にひっくり返して入れ替える」というのが壮大なオセロゲームのようです。
「街がひっくり返っていく」映像が『インセプション』に似ている気もしますが、スルーしてあげましょう。
東京に出現したガラは、コアメダルを求めてオーズを襲い、次いでグリード達からも強奪し、やりたい放題。映司くんはコアメダルが足りなくなって変身不能に。
更にガラは、人間の欲望を集め始める。下僕の使い魔ちゃん(荻野可鈴)を派遣し、人々に問題を突きつける。
「一生、髪型をちょんまげにするなら、五百万円差し上げます。イエスですか、ノーですか?」
イエスと答えると、現金で五百万円。しかし今後は帽子もカツラもNG。
うーむ。五百万円ではチト安い気もするが……。
イエスと答えた人の分だけ欲望がメダルに変換されていき、一定量が貯まると更に土地が「ひっくり返る」というシステムである。判ったような判らんような仕組みデスね。
最終的には世界全体がひっくり返って滅亡し、新たな世界が始まるそうですが……。深く考えてはイカンのでしょうが、不思議なシステムだなあ。
そうこうするうちにメダルは着実に貯まっていき、二度目のどんでん返しが発生する。今度は江戸時代の東京と現代の東京が置換される。
何故、江戸時代なのかは知らねど、映司やアンクは江戸時代の側へと転送されてしまう。
江戸時代でも開き直って営業する多国籍料理店クスクシエの知世子さんが素敵です(大奥フェア?)。
映画ならではの展開として、オーズに変身できない映司くんが、代わりにバースに変身したりしますが、やはり見所は松平健の登場でしょう。
徳川吉宗役であると云うことは存じておりましたが、これが『暴れん坊将軍』そのままであったとは。版権は大丈夫なのか。テレ朝の番組で東映だから問題ないのか。
「俺は貧乏旗本の三男坊、徳田新之助だ」
そのまんまか。火消しのめ組の皆さんも登場するし。何よりチャンバラが始まると『暴れん坊将軍』のBGMが流される。
ここまでやったら加納久通(爺)や、大岡忠相(越前)も登場させてもらいたかった。ヤミー相手に戦うなら火消し衆より南町奉行所に加勢してもらう方が有り難いと思うが。
『レッツゴー仮面ライダー』ではモモタロスからもコアメダルを取り出したので、今回もまたやるのかと期待しましたが、さすがに松平健からコアメダルは出てこなかった(当たり前か)。
上様コンボとかを期待したのですが。吉宗! 久通! 忠相! ♪う~え~さま~♪
代わりに将軍家に献上されていたというメダル三枚が登場。どういう経緯で海を渡って献上されたのか説明はない。
これが初登場の爬虫類系コアメダルで、コブラ、カメ、ワニのセット。
ブラカワニ・コンボ。あまり格好いいとは云えないが……。
笑ってしまうのは、やっぱりオーズがスキャニング・チャージで必殺技を繰り出す直前に、吉宗が「成敗!」と一喝するカットが入ることか。
時代劇ファンなら大喜びでしょうが、小さなお友達には理解できないのでは……。
うちのムスメは徳川吉宗を「オーズの御先祖様ね」と勘違いしていた(汗)。
まぁ、悪党を退治する正義の味方という意味でなら、精神的な御先祖様と云えなくもないか。
しかし爬虫類メダルがあるなら、爬虫類系のグリードもいる筈であるが……。ガラ自身がそれっぽい描写でしたね。ヤミーが倒され、遂にガラ本人が怪人化してオーズと対決する。
そこへ乱入してくる謎の火の玉。
不時着同然に現れた新たな仮面ライダー。宇宙飛行士というか、ロケット人間か。
「俺はすべてのライダーと友達になる男、仮面ライダーフォーゼだ」
客席のお子様達が騒ぎ出すのが、なかなか微笑ましい(笑)。顔見せ的に登場し、すぐに去っていきました。もう毎年のパターンですから。
戦闘シーンとしては、吉宗と共にヤミーを倒し、フォーゼと共にガラを倒すのですが、更に最後に巨大怪獣化したガラとのラストバトルが用意されていました。ここではグリード達もやってきて、自分達のコアメダルをオーズに託す。新たな敵の出現に、今までの敵味方が共闘するというのもお約束ですね。
遂にオーズの全八種コンボ揃い踏みという、夢のようなシーンがあります。
ガタキリバ・コンボで分身しておき、その分身が各々コンボ変身するという仕掛けですが、凄いねこりゃ。
しかしガタキリバとラトラータとタジャドルがいる上に、タトバ・コンボもいる。コアメダルって各種何枚あるのですか? 少なくともタカ、トラ、バッタは各二枚ないと辻褄が合わぬが……。
まぁ、細かいところはスルーしてあげましょう。熱く盛り上がる名場面ですよ。
人と人との繋がりが勝利の鍵だ──と云うところでハッピーエンド。
エンドクレジットに主題歌「手をつなごう」が流れますが、スクリーン上にはデフォルメされたアニメキャラが登場するだけでした。それはそれで楽しいエンディングではありましたが……。
できることなら主題歌のPVをそのまま流してもらいたかった。
DVD付のCDでは、お台場沖に浮かべた艀の上に盆踊りの櫓を組み上げ、上様スタイルの松平健と渡部秀、三浦涼介が唄って踊るという素晴らしい映像を観ることが出来ます。
バックダンサーは江戸っ子と現代人とリオのカーニバル風お姉さん達というワケ判らん映像ですが、実に楽しそうだ。三浦涼介のラップも素敵です(笑)。
● 追記
コアメダルについて友人から「同じメダルは三枚ずつある」という設定を教えて戴きました。TVシリーズ見続けていた割に、そのあたりの設定はスルーしちゃったようでお恥ずかしい。
そうか、タトバとタジャドルやラトラータが一緒にいても大丈夫なのかぁ。
む。しかしそうすると、同じコアメダルを一度に全部使ったら、どうなるのだろう?
それはコンボになるのだろうか。
例えば「バッタ・バッタ・バッタ」とか。そりゃ只の「仮面ライダー」か(笑)。
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