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2013年5月5日日曜日

仮面ライダー×スーパー戦隊×宇宙刑事
 スーパーヒーロー大戦 Z

(SUPER HERO TAISEN Z)

 東映特撮ヒーローもののクロスオーバー企画は止まるところを知らぬように見受けられます。過去の資産が沢山ありすぎデスね。
 仮面ライダーウィザードがメインの内は、うちのムスメらの食いつきもよろしいようで。
 『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』(2012年)で、行くところまで行ったような感じがしたのですが、それにまた続編が出来ました。確かに「オールライダー」と「オール戦隊」だけでは不充分だと書いた憶えもありますし、ここに「オール宇宙刑事」が入ってくるのは自然の流れですかね。
 しかしストーリーを優先させ、登場するキャラの扱いに大小が生じるのはやむを得ませんね。

 本作で主にクローズアップされるのは、現在活躍中のウィザードとキョウリュウジャー、加えて先代であるフォーゼとゴーバスターズ。宇宙刑事としてはギャバンとシャリバン(シャイダーはちょっと扱いが小さい)。
 これに何故かゴーカイジャーから只一人、ゴーカイシルバーが参入しております。まぁ、伊狩くん(池田純矢)は十文字撃(石垣佑磨)とも顔見知りですし、スーパー戦隊に詳しい設定なので、誰がどう登場しても「あなたは○○戦隊の××さん!」と全部、説明台詞で紹介してくれるので大変都合がよろしい。

 前作が、海東大樹(仮面ライダーディエンド)とジョー・ギブケン(ゴーカイブルー)の友情物語という図式となったように、本作に於いては伊狩鎧(ゴーカイシルバー)、十文字撃(ギャバン)、操真晴人(ウィザード)及び宇佐見ヨーコ(イエローバスター)の物語となるようです。
 面影堂に皆が一堂に会している図というのも、なかなか面白いです。特に時空を越えなくても全員、同じ世界にいるらしい。細かいところはスルーです。

 一方、銀河連邦警察では、先代ギャバンが長官に就任しておられます。一条寺烈(大葉健二)が長官席に座っている図というのも、感慨深いものがあります。
 先代長官だったコム長官役の西沢利明氏がつい先日、お亡くなりになりましたからねえ(2013年4月11日逝去)。『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』(2012年)では、まだお元気だったのに。あれが遺作となりましたか。
 謹んで御冥福をお祈りいたします。

 さて、今回は「魔法で宇宙が滅びる」という危機が迫り、銀河連邦警察が事態の収拾に乗り出すと云う展開です。
 冒頭、巨大な魔方陣が各地に出現し、空間をねじ曲げている様子が描写されます。
 海底で作業中だった潜水夫が、水中に現れた魔方陣に吸い込まれ……どこかの銭湯の湯船の中から現れる。ナンじゃそりゃ。
 『テルマエ・ロマエ』(2012年)のパロディなんぞしているうちは、まだ平和ですが、深刻な交通事故も起こり始める。銀河連邦中枢では、惑星同士が衝突するなんぞと云う事故まで発生しています(CGは豪快です)。

 この魔法の暴走は、地球にいる魔法使いが原因であると特定され、魔力を持つ者を抹殺するよう宇宙刑事に命令が下る。どういう調査が行われたのか存じませぬが、とにかくそうらしい。
 したがって、まずは操真晴人(白石隼也)の前に十文字撃が現れる。
 白昼堂々、ギャバンへの蒸着。本作は夜間撮影がないので、コンバットスーツが暗いところでキラキラ光る描写がありません。晴天の下では、やはりちょっと映えないか。

 その頃、ゴーバスターズのヨーコちゃん(小宮有紗)は休暇でいずこかのキャンプ場にいた。仲間と共にバーベキューを楽しもうとしていたが、ヒロムもリュウジも任務でドタキャン。そこへ謎の隕石が落下し、単独で落下地点へ向かったヨーコは、謎の物体を拾得する。
 隕石落下地点で見つけたものを、いきなり素手で触るという行為は危険です。『スリザー』(2006年)とか観たこと無いのか。人食いアメーバだったらどうするつもりだ、などと云うB級者の戯言もスルーです。

 謎の物体はある種のロボットであり、落下の衝撃で機能停止していたところを、ヨーコの修理で活動を開始する。意識を取り戻したボール状のロボットは自らを「サイコロン」と名乗る。
 しかし墜落のショックで、サイコロンは記憶を失っており、自分の出自も思い出せない。
 サイコロンの声は水樹奈々です。かわいいデス。
 とにかく、色々とツッコミたいところが散見されるのですが、基本的に「宇宙から落ちてきたロボットと仲良しになる」と云う流れに持っていきたいのだなというのは判ります。

 サイコロンがボール状で、脳を連想させるラインが入っていたり、どう見ても「もっと大きなマシンの部品ぽい」デザインであるのは御愛敬でしょう。うーむ。まるで『ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団/はばたけ天使たち』(2011年)のようだなんて云ってはイカンですね。
 そしてサイコロンを追って怪しげな怪人が現れる。

 一度は壊滅した大ショッカーは、魔法の力を得て「スペース・ショッカー」となって甦ったのだあっ。しかし魔法の力を得たのなら、「マジカル・ショッカー」とか「ショッカー☆マギカ」と名乗るべきなのでは。魔法なんだし。
 その上、追ってくるのが、あからさまにイカの怪人です。
 これがデザインが刷新された「スペース・イカデビル」。語尾に「ゲソ」とか付けて喋るのは止めてぇ(泣)。
 他にも、どう見てもお前は「スペース蜘蛛男」だろうとしか呼びようのない怪人も現れます。一緒にいるのは「スペース蠍男」や「スペース・サボテグロン」かしら。

 そうこうする間にも、魔方陣による被害は拡大し、銀河連邦警察は超次元砲を使用し、地球ごと魔力の源を一掃する作戦を立てる。地球人の一条寺長官としては苦渋の決断。
 ウィザードと一戦交え、相手が悪ではないと感じたギャバンは、一旦本部に戻って直訴するも決定は覆らない。宇宙刑事の資格を剥奪されながらも、ギャバンは単独で地球に向かう。
 刑事がバッジを返上して、民間人として事件を追う、と云うのがテッパンの筋書きです。
 そこへギャバンを阻止する為に、シャリバンが後を追ってくる。任務に忠実なシャリバンが悪役に見えます。仁藤くん(永瀬匡)曰く、「チョコバーの包み紙みたいなヤツだ」ですと。
 シャリバンはチョコバーか(笑)。

 紆余曲折の末、スペース・ショッカーの背後にいるのは、宇宙犯罪組織マドーであると判明する。魔法を暴走させているのはマドーだったのだ。
 はて。マドーって魔法を使う組織でしたっけ。まだ、フーマの方が不思議で魔法ぽいのでは。
 マドーの目的、それは魔王サイコを甦らせ、宇宙全体を幻夢界で覆う事である──と実に判り易く軍師レイダーが説明してくれます。本作でショッカーを率いているのはシャドームーンで、軍師レイダーと協力し合っている設定です。こいつらがどこでどう知り合ったのかは謎のまま。
 その為には何としても逃亡したサイコロンを回収せねばならない。サイコロンは魔王サイコの部品の一部だったのだ……なんて、もうバレバレですね。
 本作でレイダーを演じているのは本田博太郎です。〈平成ガメラ〉シリーズで演じていた斎藤審議官の役が忘れ難い。今回も独特の存在感を放っております。妙に色気がある人です。

 いつもならシャドームーンの他にも、ジェネラル・シャドウやジャーク将軍なんかが出てきそうなものですが、キャラが多すぎで省略されているのが哀しい。尺の都合は如何ともし難い。
 何しろ『仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE/みんなで宇宙キターッ!』(2012年)の宇宙鉄人キョーダイン(兄弟じゃなくて兄妹の方ね)まで登場しますから。
 単に「宇宙刑事」と「宇宙鉄人」で、語呂合わせなだけか。

 今回、多少なりとも出番があるのは最近のライダーや宇宙刑事にイメージ的に関係ありそうなキャラに限られています。
 例えば、ウィザードの相棒、仮面ライダービーストに助っ人してくれるのが、仮面ライダーアマゾン、響鬼、超獣戦隊ライブマン、星獣戦隊ギンガマン、獣拳戦隊ゲキレンジャー。
 皆さん、ビースト系と云うかケダモノ系のライダーや戦隊。まぁ、響鬼がケダモノと云うのは、強引な気がしますが(鬼ですけど)。

 宇宙刑事ギャバンに協力するのは、当然、仮面ライダーフォーゼとメテオ。以下、仮面ライダースーパー1、ディケイド、超新星フラッシュマン、特捜戦隊デカレンジャー。
 こちらはスペース系の皆さんです。でもやっぱりディケイドが混じっているのが強引。

 ひとつだけ不満を述べれば、ウィザードと魔法戦隊マジレンジャーの共闘がなかったことか。
 代わりにギャバンが持ってきた〈メタル・ヒーローのレンジャーキー〉で、海賊戦隊ゴーカイジャーが、メタルヒーローに豪快チェンジ。もはや理屈なんぞ知らん。
 ドラフトレッダー、ブルービート、ビーファイターカブト、ジバン、磁雷矢、ジャンパーソンが揃ってゴーカイガレオンバスター(メタル仕様)をブチかます。

 それからビーストが金色なので、キョウリュウゴールドと色が被っていると云うネタもあります。そして「カブる」と云われると出てくるのは、ビート・J・スタッグです。
 もう同人誌のネタをそのまま本家が映像にしてくれているようで、ファン・サービスの塊のような映画です(しかしそれでは同人誌の立つ瀬が無いのでは)。

 それにしても、かなり人数制限した上での「スーパーヒーロー大戦」だなぁ、と云う感じはしておりましたが、クライマックスのラストバトルで、残りの全員が駆けつけると云う展開です。
 初代の二人、ライダー1号とアカレンジャーが揃い踏み、その背後に残るライダーと戦隊がズラリと並ぶ図は壮観デス。「これが地球のスーパーヒーローだ!」
 しかしもはや誰が誰とまでは判りません。昭和組は特に扱いが小さいような。

 幻夢界が拡大し、地球を飲み込み、アンダーワールドを凌駕する世界が現出したお陰で、ウィザードの中からドラゴンが実体化すると云うのは、巧く理屈を付けました。ウィザードラゴンと、ギャバンの電子星獣ドルを並べて見せる為の屁理屈ですが、強引な力業です。
 一度は魔王サイコに取り込まれたサイコロンも、ヨーコの呼びかけで我に返り、ヨーコの元へ。魔王サイコはキョウリュウジンとウィザードラゴンの合体技にトドメを刺される。盛大に崩壊する幻夢城。
 「絶望に立ち向かうブレイブこそが希望だぜ」とはキョウリュウレッド(竜星涼)の弁です。

 最後は主題歌「蒸着 We are Brothers 」を熱く歌ってエンドクレジット。伊狩鎧と十文字撃の間にも友情が結ばれます。本作はこの二人が主役でしたね。

 さて、一件落着後そのまま終わってくれるのかと思いきや。「スーパーヒーローは彼らだけではない」と、暗闇の中に浮かび上がる、とあるヒーローの横顔。
 ほぼシルエットだけですが、パパ世代の誰一人として見間違えるはずも無い。人造人間キカイダーではありませぬか。
 では、次はキカイダーの劇場版か。01とハカイダーも復活か。ビジンダーとワルダーは、デザイン刷新を一考して戴きたいものですが……。
 それにしても、この路線は終わる気配がさっぱり見えませんねえ(笑)。




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