2011年6月11日土曜日

X-MEN:ファースト・ジェネレーション

(X-MEN : First Class)

 三部作以降、何故か続編よりも前日譚ばかり制作されていますが、何か理由があるのだろうか。
 『ウルヴァリン』が「X-MEN ZERO」で、今回はそれより以前なので「-1」とでも云うのか。あるいは、ここを起点にして新たなシリーズを……とか考えているのだろうか。なんかそんな感じがする。
 しかし製作が第一作、第二作のブライアン・ジンガーで、監督は『キック・アス』のマシュー・ヴォーンとくれば、特に心配することはありませんね。

 原作の初期エピソードの更に以前の、プロフェッサーXとマグニートーが知り合った頃の物語。時代は六〇年代初頭。若干、原作の第一世代とはメンバーが異なるのは仕方がないか。
 原作では、プロフェッサーX以下、サイクロプス、ビースト、エンジェル、アイスマン、マーベルガール(後のジーン・グレイ)と云う面子でしたが、映画化された三部作との都合上、サイクロプスやらアイスマンが使えないので、今回は他のメンバーを使っていますね。
 まあ、バンシーとかハボックとか、今まで映画化されていないメンバーがチョイスされているのは嬉しいです。三部作では『3』でやっと登場したビーストが今回はメインに近い。
 絵的にはエンジェルとサイクロプスのコンビ技は、バンシーとハボックでも再現できるワケですな。

 でも今回は教授(チャールズ)とマグニートー(エリック)が主役。
 映画の冒頭で、またマグニートーの生い立ち描写がありましたが、驚くほど第一作の冒頭に酷似している。いや、すごい。ナチスの収容所のセットが完璧に再現されている。
 今回はそこから更に、如何にしてマグニートーがナチスの研究所で能力を発現させていったかまで説明される。このあたりのマグニートーの描写が丁寧なのがいいですね。単なる悪役ではないという扱い。人間不信になるなという方が無理であろう。
 一方、チャールズの方はというと、実に恵まれた生活を送っている。少なくとも経済的な家庭環境は良好だ。
 しかし個人的には、テレパスの方が悪に染まりやすいと思うのですが。だって他人の思考を読み、行動を操ることができたら、フツーの人なら好き勝手に振る舞うでしょう。
 チャールズが善人でいられたことは奇跡に思える。
 ちょっと驚いたのは、チャールズとミスティークが兄妹同然であったという設定か。

 この映画は色々なところで今までの映画化作品につながるよう配慮されていて、シリーズを通して観ているファンへの配慮が随所に感じられます。
 セレブロ・システムの原型とか。
 Xファイターの原型とか。
 ハンクがビーストとなった原因。
 マグニートーのヘルメットの由来。
 チャールズの足が不自由になった理由。
 「恵まれし子らの学園」の発足。
 『2』でメインの悪役となるストライカー大佐までちゃんと登場しているのも嬉しい。
 説明がないのは、チャールズが如何にしてハゲたのかという理由くらいか(笑)。

 前三部作では、先に禿げてから車椅子になっていたが──そりゃパトリック・スチュワートなんだから仕方ない──、さすがにジェームズ・マカヴォイをスキンヘッドには出来なかったのか。本人はやる気満々だったらしいが。
 一応、台詞で「気苦労でそのうち禿げる」とか云わせてますけどね。

 セレブロ・システムを使って二人がミュータントの同志を集める下りで、ちょっとしたファン・サービスな場面もありました。
 ウルヴァリン(ちゃんとヒュー・ジャックマンだ)がカメオ出演していた(笑)。
 やっぱり一度はスカウトされていたのか。但し、たまたま機嫌の悪いときだったらしく、スカウトは失敗しちゃいますけどね。
 「失せろ」の一言で教授とマグニートーを追い返すウルヴァリンの図が笑えます。

 今回は共通の敵として、ヘルファイヤークラブの首領、セバスチャン・ショウが登場。演じるのはケヴィン・ベーコン。もうすっかり悪役が板に付きました。元はナチスの将校だったのか。
 ナチスを憎み、戦後はショウの行方を追ってナチスの残党狩りをするエリック。演じるのはマイケル・ファスベンダーですが、『イングロリアス・バスターズ』に出演しているときは「ミヒャエル・ファスベンダー」と表記されておりましたな。イアン・マッケランの若かりし日──と云われて観ると何となく似ている。
 ショウの悪事が米ソを煽って核戦争の勃発を狙うことだった為、米政府に協力していたチャールズ達と知り合うという展開が巧い。六〇年代と云う時代背景が巧みに物語に組み込まれています。
 キューバ危機は、実はヘルファイヤークラブの陰謀によるものだったのか。
 ケネディ大統領をはじめとする当時のニュース・フィルムの引用とかがリアルです。

 原題が“FIRST CLASS”なので、未熟なミュータント達が悪戦苦闘する様子が楽しい。やはり失敗しながら成長していくキャラの描写がいいですね。
 最初は飛べなかったり、コントロールが滅茶苦茶だったしていたのが、特訓シーンで上達していく。あのマグニートーですら、最初は未熟だった。チャールズのお陰でトラウマを克服し、強化されていく。
 『ファースト・ジェネレーション』を観てから第一作『X-MEN』を観ると、チャールズとエリックが互いに「友よ」と呼びあう理由が自然に理解できて、更に盛り上がることでしょう。
 他にもビーストとミスティークの淡いロマンスとかもある。キャラの心情描写も非常に判り易い。総じて脚本が巧いですね。

 だから思いは同じ筈なのに、すれ違っていく親友同士というシチュエーションにも納得がいくので、尚のこと哀しい。同じものを観ているのに、一人は光の当たる面を観て、もう一人はそれが落とす影を見ている。
 そして復讐の念に囚われたエリックは世界を救うが、ついにチャールズと袂を分かつ決断を下す。
 しかしそのままでいけば米ソの艦隊を全滅させることも出来たのに、チャールズが撃たれたのを見て、何もかも投げ捨てて駆け寄るエリックというのが、二人の絆を感じさせて泣ける。
 ラストでは遂に自らを「マグニートー」と名乗るエリック。かくして基本設定が完成して幕となるワケですが……。
 この新生『X-MEN』も是非シリーズ化していただきたい。でもマカヴォイが教授でいるうちは禿げないか。

 『ファースト・ジェネレーション』はマーヴェル・コミツクスの映画化の中では巧くいった部類でしょう。最近の映画化はどれも巧くいっている。やはり自社でスタジオを立ち上げて製作しているので、コントロールしやすいのか。
 ただ最近の「アベンジャーズ構想」はここでは出てきませんねえ。

 次なる映画化作品は今夏の『マイテイ・ソー』か。来年の『キャプテン・アメリカ』も楽しみです。




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