2011年12月19日月曜日

ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル

(Mission : Impossible / Ghost Protocol)

 三作で一区切りついたかと思っていましたが、まだまだ続くのかこのシリーズは。もはやタイトルから番号が取れてしまいました。「4」なのに。
 当初は『ミッション:インポッシブル』すら付ける予定は無かったそうな。シリーズの看板に頼らないという自信の現れなのか。
 「ゴースト・プロトコル」だけだと、『攻殻機動隊』と勘違いしそうですが、ラロ・シフリンのテーマ曲が流れれば問題なし。今回の「導火線に火が付くオープニング」の演出はなかなかダイナミックでした。始まる前に見せ場をダイジェストで披露してくれるのがTVシリーズ風です。

 監督は『アイアンジャイアント』、『Mr.インクレディブル』、『レミーのおいしいレストラン』等のアニメで知られるブラッド・バード。基本的に上手なストーリーテラーなので、実写かアニメかという点にあまり差異はないみたいです。
 そして今作でもトム・クルーズがIMFの諜報員のイーサン・ハントを演じておりますが、メンバーの方は入れ替わりが進んでおります。サイモン・ペッグが準レギュラーに昇格しました。
 そして新たにジェレミー・レナー、ポーラ・パットンが加わっています。
 私としては序盤で大活躍して、あっさり退場されてしまったジョシュ・ホロウェイが一番カッコ良かったと思うのデスが、もう出番は無いのか。惜しい。

 さて、ロシアの核ミサイル発射コードが盗まれる事件に端を発し──盗んだのはIMFですが、更にその上前を何者かにはねられる──、続いてミサイル発射装置までもが強奪される。犯人は行きがけの駄賃にクレムリン宮殿を爆破し、その嫌疑がイーサンにかけられる。
 踏んだり蹴ったりですな。
 おかげで合衆国大統領はIMFの存在を抹消する「ゴースト・プロトコル」を発動。イーサン達は組織の支援なしに、単独チームで自らの嫌疑を晴らす為のミッションに挑まねばならなくなる。
 これはアレか。ジェイムズ・ボンドが〈殺しのライセンス〉を失効されるのと同じか。スパイ映画のひとつのパターンなのでしょうか。
 そして事件の黒幕である〈コバルト〉は、核戦争を誘発させることで、崩壊した世界の上に真の平和が訪れる信じている狂気の人物でした。当節のスパイ映画として、特定の個人やグループが国家安全保障を脅かすという設定になってしまうのは、やむを得ないか。

 前提となる設定からして、いろいろとツッコミ処が見受けられて楽しいです(笑)。
 そもそもIMFがロシアの核発射コードを盗む時点で、〈コバルト〉に情報が漏れてますよ。
 いろいろとヤバい代物を立て続けに盗まれて、一番面目立たないのはロシアの諜報機関である筈なのに、本作ではロシアの捜査官(ウラジミール・マシコフ)に見せ場はまったくありません。それでいいのか。
 祖国の危機だろう。もっと頑張れ。
 最初からイーサンを犯人と決めつける勘違いをした上に、あろうことかモスクワの路上でイーサンとIMF長官(トム・ウィルキンソン)の乗る車をいきなり銃撃したりします。おいおい。
 おかげで唯一、頼りになる人だった長官を誤って射殺し(他国の政府高官なのにいいのか?)、イーサンを取り逃がし、事件解決の足を引っ張ってばかりいる。
 いくら主人公を窮地に陥れる演出だからと云っても、何という不甲斐なさ。

 なんでしょうかねえ。
 世界的核戦争の危機を前にして、アメリカもロシアも無いというのは判りますが、そこまでロシア当局を蔑ろにしていいのか。
 「アメリカの核発射コードが盗まれ、ホワイトハウス爆破容疑で追われる」という設定にしても良さそうなものデス。その方がイーサンが頑張る動機としても説得力が出そうだし。
 でもホワイトハウスはローランド・エメリッヒ監督の『インディペンデンス・デイ』で一度粉砕されているしねぇ。何か別の建物を壊したかったのでしょうか。
 クレムリン宮殿という歴史的建造物を惜しげも無く粉砕してくれる場面は大迫力で、それはそれで見せ場ではあります(当然、CGですが凄い)。

 組織の支援が受けられないとは云っても、今まで「当局は一切関知しない」状況の中で任務を遂行してきたのだから、むしろいつものことでは。どちらかと云うと、各種小道具の類を「ありものだけ」で何とかしなければならない方がピンチと云えます。
 でも結構、間に合わせの割にハイテク満載なのは御愛敬か(ヤモリ仕様の吸盤手袋とか、コンタクトレンズ型カメラとか、すごいハイテクだ)。
 便利なアイテムを駆使しつつ、肝心な時に故障する急場を機転と体力でしのいだり、簡単な衣装で早変わりの変装をしてみせたりと、ハイテクとローテクの使い分けが巧いです。

 そして舞台は特に意味なくアラブ首長国連邦のドバイへ。
 判ります。登りたかったのね、〈ブルジュ・ハリファ〉。さすが世界最高八二八メートルの絶景。
 ここで『スパイ大作戦』定番の、騙しの芝居が入ります。別にドバイでやらなくても、どこでもいいようなものですが、本作は観光映画でもありますから(笑)。
 敵の殺し屋達との取引で一芝居打つ場面よりもむしろ、そのあとにやって来るドバイ名物(?)砂嵐の来襲の方が興味深いです。アラブ諸国って、どこでもこんな感じなのか。
 あっと云う間に視界が悪くなって、緊迫した追跡劇に拍車が掛かる。このあたりは背景設定の特徴を活かした演出で、なかなか面白いです。
 特に砂嵐をバックに全力疾走するイーサンの勇姿。頑張ってますねえ。

 本作では他にも、赤の広場で全力疾走して爆風に吹き飛ばされたり、シリーズお馴染みな場面が用意されています。毎度の事ながら、スタント無しで頑張るトム。もちろん〈ブルジュ・ハリファ〉の窓にへばりつくのもトム。
 でも本作では、シリーズ名物「宙吊りの刑」に処せられるのは、ジェレミーの方でした。
 毎回、誰かが「宙吊り」になると云うのはお約束か。なんでそんな変なシチュエーションが繰り返されるだ。トムの個人的な趣味か(きっと気に入っているのね)。
 第一作で宙吊りが出たときには、『トプカピ』へのオマージュでもあり、緊張もしましたが、もはやギャグですな。
 今回はワイヤーを使わず、磁力で宙吊りになるという、更にトリッキーなシチュエーション。

 物語の舞台も〈コバルト〉を追って、インドはムンバイに(これも特に意味なしか)。
 華やかなパーティ会場での正装も披露しつつ敵を追うと云うのもお約束。
 出遅れていたロシア捜査官御一行様も駆けつけてきて、怒濤のクライマックス。
 そして発射される核ミサイル。世界滅亡へのカウントダウン。弾頭無効化コードの発信は間に合うのか──。
 よくあるパターンと云ってしまえばそれまでですが、奇を衒わずにアクション映画の王道を行く演出がなかなか好ましいです。必要以上に小道具に頼らず、最後は体力勝負の肉弾戦。

 傷だらけになりながらも、またしても世界を救うイーサンでした。
 ラストで過去のメンバーもチラッと登場してくれるサービスが嬉しいですね。ルーサー(ヴィング・レイムス)もお元気そうで何よりです。
 思いがけずジュリア(ミシェル・モナハン)も登場してくれましたが、やはりスパイの非情な世界は所帯持ちではツラいのか。愛する女性を残して夜霧の中に鮮やかに消え失せるイーサン。
 次回作──当然、五作目もいくでしょ──でもサイモンやジェレミーに続投してもらいたいところデス。いや、いっそジェレミー主演でスピンオフを制作してもいいかも。


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