『アイアン・ジャイアント』と『Mr.インクレディブル』のブラッド・バード監督作なので、一連のラセター作品とはひと味違います。私はどちらも好きですが、うちのムスメにはイマイチ受けが悪い。
ラセター作品の方が幼児には受けやすいのだろうか。バード作品はもう少しだけ対象年齢が上なのか?
料理人のアニメというと、日本人としては『ミスター味っ子』を想起しますが、さすがに料理を食って「うまいぞおおおおぉ!」と口から透過光を吐くような演出はなかった(当たり前だ)。
でも似たようなシーンはあって、辛口の料理批評家が思わずトリップしてしまう演出には笑った。ここは台詞の一切無い、画だけのシーンですが何をどう感じてるか判るのが巧いなあ(笑)。
私が観たのは日本語吹替版ですが、この料理批評家を家弓家正が吹き替えていた(元はピーター・オトゥール)。やはりベテラン声優の吹替はいいのぅ。
そして料理ドラマでは、最終決戦は料理人と批評家の試食対決となるのはお約束。原題である「ラタトゥイユ」とは、クライマックスで供される野菜煮込み料理の名前でした。よく判らんが田舎の家庭料理なのだそうだ。
なんで料理の名前が題名なのか──と思っていたら、あとでネズミ(ラット)の料理人の物語なので、料理の名前と引っかけたのであると知りました。そんなの日本人には判んねーよ(汗)。
料理を得意とする知人の解説によると、「ラタトゥイユ」はトマト、ズッキーニ、ピーマンなどの夏野菜をニンニクやハーブと一緒に煮込んだ料理であるとか。少し冷ますか、冷たくして食べるのだそうな。野菜を煮込むだけの素朴な料理なので、「その料理で特別な差を出す」というのが難しい、という演出らしい。
けんちん汁で勝負! ──みたいな感じだとか。
総じて、明るく前向きでお奨めできる映画です――が、細かいところでチト不満が。
主人公の職場であるレストラン「グストー」の厨房スタッフが、どいつもこいつも曲者揃いだというのはいい。元レジスタンスの闘士とか、元外人部隊とか、元ギャンブラーとか(笑)。
そんな奴らが何故に料理人になっているのか謎だが、これだけクセのあるキャラを配しておきながら、ドラマの上で活躍の場が無いというのが不満。
本筋はネズミとダメ料理人の物語なので、尺の都合で脇役にはスポット当てられないのなら、最初から思わせぶりに紹介するなーッ。期待してしまったじゃないか。
あの厨房スタッフを主役に使えば、スピオフ作品の一つくらい作れそうなものなのに。実に惜しい。
あと、ネズミ軍団のシーンはなんか『ウィラード』か『ベン』へのオマージュのように感じられたが、これは気のせいであろうか(笑)。
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