2011年2月19日土曜日

愛する人

(Mother and Child)

 ナオミ・ワッツ主演作というので観ました。一昨年の『ザ・バンク/堕ちた巨像』以来か。その前は『イースタン・プロミス』でしたか。

 これはアメリカとスペインの合作映画で、監督はメキシコの人か。ロドリゴ・ガルシア監督は脚本も書いている。
 あのノーベル賞作家ガルシア=マルケスの息子だそうな。へえ。
 まあ、私の守備範囲からは外れますがね。
 だから『彼女を見ればわかること』(1999年)とか『美しい人』(2005年)なんてのは観ておりません。
 だが『パッセンジャーズ』(2008年)なら観たぞ。
 そうか、あのスカタンなサスペンス映画を撮った監督か!

 まあ『パッセンジャーズ』がサスペンス映画なのか、SF映画なのか、はたまた「少し・不思議」映画なのかは意見の分かれるところでしょうが、何にせよツマランものを観てしまったという後悔だけは覚えている。
 同じ監督だと気付いていたら、きっと観なかったでしょう。
 うーむ。『パッセンジャーズ』は例外だったのかなあ。

 結論から申し上げると、『愛する人』の出来はかなりいい。
 怪奇な事件は何も起こらない。淡々と様々な男女関係、親子関係が描かれるだけ。メインは母と娘の絆ですが。

 相互に関連性のない複数のキャラクターが織りなす群像劇でもある。最初のうちはエピソードが噛み合わないので、ちょっと退屈でしたが、やがて噛み合わなくても個別に面白くなってくる。
 ドラマとしては軸は三つ。

 ひとつめはアネット・ベニングの物語。一四歳で妊娠し、出産した赤ん坊を養子に出され、以来、三七年間も後悔に苛まれている女性。年老いた母(アイリーン・ライアン)を介護しつつ、施設の療法士として働いている。
 ふたつめはナオミ・ワッツの物語。実の親を知らずに育ち、弁護士として自立している37歳の独身女性。ナオミがアネットの娘であることは容易く判る。これはミステリーではないので。
 みっつめがケリー・ワシントンの物語。不妊に悩み、妊娠中の女学生が出産する予定の子供を養子縁組してもらおうしている黒人夫婦の若奥さん役である。

 これらの女性たちの物語が断片的に描かれていくのだが、もう見事なまでにバラバラ。絡まない。いや、普通は錯綜しているように見えて、次第に収束していくものでしょ。
 だからいずれはアネットとナオミが母娘の対面を果たすのだろうと期待しますわな。

 ドラマが中盤を過ぎてもバラバラなままなので、どうなるのかと思いました。特にケリーの物語はまるきり別のハナシではないか。
 個々のドラマはそれなりに面白いのですが、このままだとオムニバス形式のドラマをちょっとシャッフルしただけの映画になってしまうのでは……。

 それがまあ、最後ですべての断片を一気に組み合わせていくという超絶技巧。いやもうナオミが──(自主規制)──っちゃった展開にはビックリしました。そんなのアリかよ!
 ところがそこから見事にまとまってしまった。これはすごい。
 悪かった。もう『パッセンジャー』については忘れましょう。恐れ入りました。

 基本的に恋愛ドラマである。
 どの女性にもそれぞれに出会いと別れがある。ただ過去の経緯から男性と素直に向き合えない。反発したり、男を手玉に取ってみたりする。振り回される男たちには気の毒ですが。
 他にも脇役として絡んでくる様々な女性達がいる。どのエピソードにも母と娘の物語がモザイクのように関係しているというのが面白いですね。

 この映画での男性はもう添え物である(笑)。
 サミュエル・ジャクソンとか、デイヴィット・モースとか、ジミー・スミッツとか、見覚えのある俳優がいろいろと登場するのですが。
 特に『スターウォーズ』じゃないのに、サミュエルとジミーが同じ映画に出ているのが笑えました。何故、ジェダイの騎士(メイス・ウィンドゥ)とオルデラン総督(ベイル・オーガナ)が一緒の恋愛映画に(笑)。

 この映画で特筆すべきはナオミ・ワッツの大胆演技ですねえ。
 あの妊婦のメイクはすばらしい。本物そっくりの妊婦腹。服の下にクッションを入れるなんてものじゃない。下着姿でベッドに横たわるナオミの巨大なお腹。
 いやあ、最近の特殊メイクってすごいな。こんなものまで出来ちゃうのか。あの質感。リアルな妊娠線だなあ。

 ──と、思ったら本物だった(爆)。
 あとでパンフレットを読むと、ナオミ・ワッツが妊娠中でも撮影は敢行されたそうな。ガルシア監督は感動していた。

 「よく知らないメキシコ人監督の前で裸になり、本物の妊婦腹をさらけ出してくれた。ナオミは素晴らしい」

 うーむ。最近、ナオミ・ワッツの姿をあまり見ないと思ったら、出産と子育てに忙しいのか。リーヴ・シュライバーとの間に二児を設けているそうなので、時期的に撮影は次男妊娠中のことだったのでしょうか(2008年出産)。
 出産と子育てに関する劇中のセリフにはなかなかシビアなものがありました。
 若いカップルには是非、観て戴きたい。

 またエンドクレジットで流れる主題歌がなかなか印象的でした。作品の印象に合った主題歌というのは、こういう曲を云うのだ。
 宇多田ヒカルの楽曲を取って付けたりしないで(笑)。




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