2011年2月13日日曜日

あしたのジョー

 

 昨年の『SPACE BATTLESHIP ヤマト』に続いて、まさかの完全実写化ですね(1970年の元祖実写版もあるにはあるが、「完全」ではないのか)。本気で作るのかと心配になったりもしましたが……。
 だって監督が曽利文彦。『ICHI』とか『ベクシル 2077日本鎖国』なんて作品のあとでは、一抹の不安では済まないものがありましたとも。

 でも実は結構、良く映像化できていると思いました。
 キャラクターもイメージ通り。

 山下智久の矢吹丈というのは、まぁこんなものかという感じでしたが。木村拓哉の古代進とどっこいどっこいと云うか……。
 しかし伊勢谷友介の力石徹が素晴らしかった。

 力石徹というと、何をおいてもあの壮絶な減量シーンが思い浮かぶわけですが、見事に演じておりましたな。計量の際のガリガリに痩せた姿が信じられなかった。最初に観たときは「CGやりすぎだ」と思うくらい、痩せていた。
 あとでパンフレットを読むと、一切CGは使ってないという。本当に骨と皮だけになるまで痩せてみせた伊勢谷友介の役作りに鬼気迫るものを感じました。

 それから香川照之の丹下段平ね。いやもう、ひとりだけ浮きまくっているというか、誰が演じてもこうなるのが判っているけど、香川照之か。かつて実写版『鉄人28号』(2004年)で大真面目にフランケン博士を演じた方ですからねえ(役名は変更されていたが、ブラックオックスの製作者なんだからフランケン博士だろう)。

 香里奈の白木葉子とか、津川雅彦の白木会長なんてのはそれなり。勝矢のマンモス西も、まあまあか。
 とりあえず主役がかなり忠実に映像化されていたので満足です。

 唯一、判らないのは倍賞美都子である。
 ドヤ街の住人の一人という役であり、セリフもない。ただジョーを応援するだけの、あまりにも扱いの小さな役に何故、倍賞美都子。ほんの2カットくらいしか出番はなかったぞ? カットされたのだろうか。

 そして俳優陣に負けないくらい良い仕事をしているのが、美術スタッフ。素晴らしいデスね。
 ドヤ街と泪橋はCGではありません。本気で作ったセットでした。丹下拳闘クラブもそのまんま。これは見事だ。

 ……と、まあ「見た目」に関しては、見事に映像化されているわけですが。

 うーむ。やはり脚本だよなあ。
 二時間という尺に納めるには仕方がない部分もあるのですが。
 これも『SPACE BATTLESHIP ヤマト』と同じで、実にサクサクと物語が進行していくのですよ。このあたりのエピソードの取捨選択が残念。
 いや、別に少年院で豚が暴走しなかったことが不満と云うワケではありませぬが(笑)。

 物語として筋は通っているし、原作に沿った展開なのですがね。
 欲を云えば、やはり力石の減量シーンにはもう少し時間を割いてもらいたかった。特に「一度くじけそうになる力石」をもっと丁寧に描いてもらいたかった。
 感情移入するには、それなりの時間が必要だろう……と思う部分でも、あまり待ってくれない展開が残念。

 ボクシングの試合の方は、対戦相手に現役のプロボクサーを起用したりしてリアルに作っていました。虎牙光揮のウルフ金串は良かった。
 このあたりの試合の描写は、アニメ的な演出がそのまんまなので笑いました。もうアニメでやったとおりにスローモーションになり、汗が飛び散り、パンチを受けた顔面が変形する。
 ちゃんとクロスカウンターも、トリプルクロスも映像化してくれます。

 で、やっぱり原作通りに力石は亡くなるのですが……。
 このあたりからの脚本が妙に端折り過ぎなのが気になりました。そりゃあ一番の見せ場が終わった後ですし、もう映画のラストに向けてまとめていく段階ですけどね。
 ここだけはオリジナルの展開にしても良かったと思うのですがね。

 つまり力石の葬儀から先の展開──ジョーの失踪と復帰まで──が見事に省略されている。
 力石の一周忌になってジョーが帰ってくる場面がラストシーンになるワケですが、どうやってジョーが立ち直ったのか一切、描かれない。ポーンと一年が経って、再びジョーが泪橋を渡ってくる。それまでどこで何をしていたのか、さっぱり判らない。
 とにかくジョーは立ち直り、ふたたび明日を目指す、というところでおしまい。

 これは如何なものか。感動できるのか?
 もう尺がないし、オリジナルの展開を入れるくらいなら省略してしまえという考え方も理解できますがねえ。それにしても唐突な。
 取って付けたようなラストシーンでした。

 うーむ。やはりボクシングを描いた作品として、『ロッキー』を超えられなかったか(無理云うな)。

 しかしこうして『あしたのジョー』完全実写化が出来上がってしまうと、次はどうなるのでしょうか。そのまま続編製作に突入し、カーロス・リベラやホセ・メンドーサまで登場させるのであろうか。
 それとも次は完全実写化『巨人の星』とか(爆)。

 最後に付け加えるとすれば、エンドクレジットで宇多田ヒカルに主題歌を歌わせるのは止めた方が良かった。いやもう、全然合ってない。いくら映画が終わった後とは云え、あれは何とかならなかったのか……。
 何故、宇多田?
 そのまま尾藤イサオの歌を流してもらいたかった。

 それとも遠藤正明の「情熱ガンガン」でもいいから(笑)。
 CRパチンコの主題歌でも、宇多田ヒカルより作品のイメージには合っていると思うのですが。




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