これはいい!
主演のガエル・ガルシア・ベルナルは「ラテン・アメリカのブラピ」と呼ばれているそうだが、私見では「ラテン・アメリカのキアヌ」の方がしっくりくるような。
よおし、革命的情熱充電完了!(多分)
そして『チェ/39歳別れの手紙』を観た。
なんでまたボリビアなんだろうなあ。
『明日に向かって撃て!』でもポール・ニューマンとロバート・レッドフォードは、ボリビアまで流れていった末に討ち死にしたのだぞ。ボリビアなんか行っちゃダメだ(笑)。
前作『チェ/28歳の革命』よりは判りやすい。
事前に色々、情報収集した所為かも知れませぬが。ただまぁ、暗い物語ではあるよね。
歴史的事実を承知した上で観ているので、もう失敗と挫折が前提になっているのである。助からないと判っているので、なおのこと救いがない。
逆に淡々としたソダーバーグ演出のおかげで湿っぽい物語にならなかったのは有り難いが。
でも、この「淡々とした描写」と云うのも考え物ですなあ。
湿っぽい物語にならないで済んだ反面、感情移入も出来ないのである。ただ劣悪な条件が重なり、追い詰められていくゲバラたち革命戦士の運命を傍観するだけ。
もう少しゲバラの革命にかける情熱というものを描いて貰いたかった。
事実だけ積み重ねられても、なかなか動機が伝わらないので理解しづらい。
デルトロの決して感情的にならない押さえた演技と言動で、ゲバラの高潔な人格は伝わりましたが。
とは云え、やはりキューバ人やアルゼンチン人主導の元で、ボリビアに革命を起こすと云うのは無理がある。革命とは国の内側から起こすものでしょう。実際、ゲバラ自身も決して身分を明かさず、偽名で通していた。
やはり外国人がよその国で革命を──しかも武装闘争を──推し進めるのは如何なものか。バリエントス政権から「これはキューバの侵略だ!」と云われても仕方ないのではないか。
まぁ、日本人の目から見ると、キューバ人とアルゼンチン人とボリビア人の違いなんて判りません(笑)。だから何故、「外国人だな?」と疑われるのかピンと来ないけど。
パンフレットの解説などによると、キューバ革命からボリビアでの闘争の間に、実はゲバラはアフリカで活動していた時期というのもあったそうな。コンゴで革命を起こそうとして失敗し、脱出している。
このあたりが一切、描かれていないのでゲバラの心情もなかなか理解出来ない。
同じ社会主義者としてもソ連を批判し、ソビエト共産党から支援が得られないとか、キューバに帰ってこられない状況だったとか。
コンゴでの失敗もあり、もうボリビアで失敗しても逃げ場がないので踏みとどまっていたのではないか、とか色々な推察は出来るのですが……。
やはりソダーバーグはそんな解説めいたことは一切、排除しているので、映画だけ観てもなかなか……。
うーむ。やっぱり不親切な作品と云うべきなのだろうか。
ゲバラ処刑の描写も殺伐としていました。
革命の英雄が、こんなにあっけなく無造作に射殺されるのか。そして淡々としたまま、おしまい。うーむ。
もともとBGMの使用を極力、押さえた演出でしたが、とうとうエンディングにも音楽を流さない。
長々と続くクレジットは、まったくの無音で流れていく。
まるでお通夜の席にいるかのようでした。実際、そういうつもりの演出なのだろうが……。
いやぁ、これはちょっとツラいものがあるなぁ。
●余談
しかしボリビアでの革命が成功していたら、どうなっていたのであろう。
ゲバラの理想通り、アルゼンチン、チリ、ベネズエラ、コロンビアと革命が連鎖していったらどうなっていたのであろう。
ひょっとして統一された「ラテン・アメリカ社会主義連邦」なんてのが誕生していたのであろうか。
これはこれで、平行世界的SFネタになりそうな(笑)。
久しぶりにルー・ダイヤモンド・フィリップスをスクリーンで観た(笑)。
元気そうで何よりでした。
やはりなかなかソダーバーグと私は感性が合わないようです。
今のところゲバラについての映画としては『モーターサイクル・ダイアリーズ』が一番です(爆)。
こっちはこっちで、製作総指揮のロバート・レッドフォードが、メッセージ性を込めようとしているのが判るのですが(笑)。
でもこれを観ておかないと、この〈チェ二部作〉だけでは判りづらいと思いますよ?
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