最近は交互にどちらかのTV局製作の邦画を観ているような気がする(笑)。
監督の堤幸彦は自らを「施工管理者」であると云う。即ち、原作者という「建築家」がいて、制作者という「施主」がいるのである。つまりは雇われ監督ね。
別にそれが悪いという訳ではなく、キチンと職人的に作品を仕上げる雇われ監督はハリウッドにも大勢います。
施工管理者が設計図に従って作業を進めている限りは問題ないでしょう。
ただ、堤幸彦は時々、「オリジナルな展開」とか「原作にない結末」を持ち込もうとするのである。大抵、そういう場合はロクなことにはならない。
『サイレン』なんてトンデモな映画を俺に見せたことは忘れんぞ。
で、前作『第一章』は原作原理主義で監督された。だからまぁまぁ良かった(原作コミックをまったく読んでいないので比較は出来ませぬが)。
それが今回は、原作コミックとはチト違うらしい。そう聞いた瞬間から不安が一杯であった。
が、それほど酷くはなかった。脚本を原作者自身が書いているので、そう踏み外しはしなかったと云うことか。
ただ、手放しで面白かったかと訊かれると──
ぬうー。
長大な原作を圧縮しなければならないと云うのは大変とは思いますがね。
どうもストーリーを追いかける為に、かなり無理をしていると云わざるを得ないのである。
私が一番、不自然に感じるのは中盤の〈ともだちランド〉の展開である。
カルト教団の洗脳施設であるわけですが、「ボーナス・ステージ」の意味が判らない。ここが洗脳の核心的部分である筈なのに……。
やっていることは「過去の世界の追体験」でしかない。
仕組みは判らないが、そこは良しとしても。
観客の為の展開であることが露骨すぎる。昭和44年に何があったのか、ということを理解しやすくしていますがね。
物語上は「ボーナス・ステージ」から帰ってきた者は、〈ともだち〉に忠誠を誓う人間か、すぐに自殺してしまう者かのどちらかだと云われていたのに、アレのどこがそんなに危険なんだよ?
「あの日、小学校の理科室で本当は何があったのか? 殺されたドンキーは何を目撃したのか?」と云う前作からの疑問に答える場面であることは明白ですが、それを体験した人間が洗脳されてしまう──なんでやねん!
まさに観客には必要な展開であるが、登場人物の視点からすると不自然極まりないのである。
このボーナス・ステージから奇跡的に洗脳されずに帰還し、自殺もしなかったブリトニーと、ブリトニーの体験を聞いて〈ともだち〉の深遠な計画を見抜いた男が命を狙われる──と、云うのが主人公カンナが事件に巻き込まれていく大筋であるのにッ。
これが中盤以降、もうどうでも良くなっていく。
カンナ自身が〈ともだちランド〉に乗り込んでいく理由付けではあるが、そこをクリアして、「過去の経緯」を説明してしまえば、もう〈ともだち〉の計画が何であるのかは追求されなくなり、次はカンナ自身の出生の秘密とクライマックスに向けて物語は忙しく展開し始める。
〈ともだちランド〉って何だったんだよう!
ニコニコ、キビキビ動く小林栄子が楽しかったが(笑)。
三部作の二部目は難しい、と云うのは判りますがねえ。
結局、〈ともだち〉の自作自演による人類抹殺計画は半ば成功してしまい、大半の人類が滅亡してしまった──ところで「つづく」。
あれ。
もうケンヂたちの目的であった「世界を救う」は失敗してしまったのか?
あとは生き残った人類と〈ともだち〉との決着だけなのか?
〈ともだち〉の動機が不明で、「神になる」という理屈も判らないけど、それは第三部で説明されるのであろうか。
「万博に行けなかった」というのがトラウマであることは判りましたが(笑)。
第三部は今夏、8月末公開か。もっと早くならないのか?
なんかもう期待するのがかなり難しい作品ではありますが、とりあえずは待とうか。堤幸彦、奇跡の大逆転──アリエナイ?
●余談
原作、読んでないのだけど〈ともだち〉の正体、判っちゃったよ(汗)。
昭和44年の少年少女達がそろってポーズを取る。ある特撮番組のヒーローの必殺技のポーズである(笑)。
その中で、二人だけ別のヒーローの必殺技を真似ている。
一人は、ヤマネくん。
もう一人が……ああ。
大体、正体を隠すお面が「忍者ハットリくん」である時点で、もうバレバレぢゃん。
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