2010年5月28日金曜日

プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂

(Prince of Persia : The Sands of Time)

 ブラッカイマー印の冒険活劇──と云えば『パイレーツ・オブ・カリビアン』ですが、このたび〈カリブの海賊〉に続き〈ペルシャの皇子〉が仲間入りしました。ディズニー製作と云うことは、これもまたアトラクションの一種なのかと思いました。その割にTDLには見あたりませぬが。
 もとはアクション・ゲームで人気が出たそうで。PS2版も出ているそうですが、存じませんでした。アトラクションではなく、ゲームの映画化でしたか。

 ジャック・スパロー船長役がジョニー・デップの当たり役となったように、このダスタン皇子役はジェイク・ギレンホールの当たり役になるのでしょうか。ジェイクは玄人受けというかマニア受けする役者さんで、私は『ドニー・ダーコ』とか『遠い空の向こうに』なんか好きなんですけどね。
 間違っても来日時に空港にファンが殺到することは無かった……今までは。

 ジェイク・ギレンホールが成田でキャーキャー騒がれる日……。数年前には考えられない状況ですな(笑)。これもプロデューサーの手腕なのか。

 しかしこういう映画も実に久しぶりです。ある意味、懐かしいとさえ云える。
 『アラビアンナイト』とか『バグダットの盗賊』とか『シンドバッドの冒険』とか。
 久しくお目にかかれなかった「アラビア舞台の冒険活劇ファンタジー」ですよ。しかも最新CGでスケールでかく。今後はまた増えてくると嬉しいのですがねえ。
 ──とは云え、唯一点どうしても譲れぬ部分があります。それはキャスティング。

 ぶっちゃけ、ヒロインが可愛くない。
 全ッ然、萌えないよう!
 ジェマ・アータートンは『007/慰めの報酬』にも出演しておりましたが、「色気のないボンドガール」の筆頭でありましょう。それでも『007/慰めの報酬』は色恋沙汰はほとんど描かれない物語だったので、それでも良かったが、今度ばかりはそうもいかんでしょう。
 なんせ「神秘の都の絶世の美姫」という設定ですから。
 おい。待てやコラ。

 ビジュアル的に如何なものかな女優さんを登場させて、セリフで「何と美しい姫だ」と云わせてもなあ。「見た目」と「セリフ」のギャップで笑わせる映画じゃないんだしさあ。
 どうにも日本人と外国人の「カワイイ基準」には差があり過ぎる。
 ここだけはブラッカイマーの眼力には疑問を抱かざるを得ません。敏腕プロデューサーのくせに、何故?
 ジェマ・アータートンは、他にもリメイク版『タイタンの戦い』にも出演しておられましたが、幸いにもアンドロメダ姫の役ではありませんでした。アンドロメダ姫役は別の女優さんでしたが、萌えないという点は同じでしたね。
 いや、これは完全に「見た目」のみの話であり、演技的には文句はございませんし、見た目だけの大根女優を使われるよりは遥かにマシなんですけどね。

 キャスティングに関しては、他にも云いたいことはあります。
 ベン・キングズレーの起用です。
 名優だし、悪くはない──のであるが、どうなんでしょう。ペルシャが舞台の物語であるが、イスラム諸国出身の役者が一人もいないのは如何なものか。台詞が全編、英語であるのは仕方ないけど。

 ペルシャ帝国てのは、バリバリにイラクやイランのことですね。でもイラク人やイラン人が観て、どう思うのでしょうか。
 日本人が『ラストサムライ』を観て感じるようなことと同じなんですかね(笑)。

 宗教色を極力廃した演出もやむを得ないのかも知れません。個人的には「アッラーのアの字も台詞にない」のはどうかと思いますが。あれ? 古代ペルシャ帝国はイスラム教以前の時代でしたっけ。ゾロアスター教だったか?
 アケメネス朝? そのへんはブラッカイマーなのでツッコミ禁止?

 一応、ブラッカイマー的には「時代劇ぽいニュアンスを出したくて、登場人物には全員、イギリス英語を喋らせる」という演出方針が貫かれているらしい。だからキングズレー他、共演はすべて英国役者なのである。それはそれで格調高いのかも知れないが、日本人には判んないや(汗)。
 どっちかと云うと、アラビアでシェイクスピア劇をしているような違和感が。

 ガンジー役でオスカー受賞したキングズレーに文句付けるのは畏れ多いか。
 しかし例えばリドリー・スコットが『キングダム・オブ・ヘヴン』や『ワールド・オブ・ライズ』で、敵役にシリアや中近東で評価されている役者を起用している姿勢とは随分違う気がするのですが……。
 監督は英国人監督のマイク・ニューウェル。低予算映画から大作までそつなくこなす職人監督ですな。派手なアクションものは苦手かも知れませんが、そこはブラッカイマーがいたから大丈夫か。

 結果的に人物描写もしっかりした一大冒険活劇となりました。
 冒頭の攻城戦の迫力は大したものです。開巻一番からスケール大きな歴史絵巻的戦闘シーンが繰り広げられて、ここは一見の価値ありでしょう。
 〈時間を巻き戻す砂〉というSF的描写も、最新CGで実に判りやすく演出されていて、難しいシークエンスもちゃんと理解できる。

 〈カリブの海賊〉で海洋冒険をやり尽くした感がある為か、今回は意識的に「砂漠オンリー」の乾いた世界観が貫かれております。
 砂丘、太陽、砂嵐、ラクダ!
 ジェイク・ギレンホールの円月二刀流が実にかっこいい。
 〈カリブの海賊〉は西洋風レイピアのフェンシング的チャンバラでしたが、今回は円月刀。アラビアだなあ(笑)。
 殺陣の演出はなかなかのものです。奇妙な武器を使うアサシン集団とか(実にニンジャぽい)、アフリカ出身の戦士とか、そのあたりのアクション演出はさすがにブラッカイマー。「見た目の楽しさ」だけは手抜かり無しですね。


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