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2010年5月27日木曜日

パリより愛をこめて

(FROM PARIS WITH LOVE)

 リュック・ベッソン制作、ピエール・モレル監督の組み合わせは、かなりいい。『96時間』に続き、またやってくれました。
 ノンストップ・ガンアクション・ムービーとしては、良作です。
 ハリウッド映画のフリをしたフランス映画ですね。

 今回はジョン・トラボルタが無茶苦茶やってくれます。何も考えていなさそうで、実は深い戦略の持ち主──ってホントか? どう見ても後先見ずに突っ走っているようなのだが……。
 トラボルタの暴走っぷりが面白いので許そう。九五分という短めな尺でうまくまとめた監督の手腕は流石デス。

 「愛をこめて」と云いつつ、さっぱり愛なんかこめてねェ!
 水と油な野郎のコンビが、行く先々でドンパチ撃ちまくって死体の山を築きながら事件を解決していく、よくある脳天気アクション映画デス。
 B級ですから、割り切って楽しみましょう。

 『96時間』でリーアム・ニーソンがこなした、〈格闘〉〈銃撃〉〈カーチェイス〉の三拍子を、今度はトラボルタがやってくれます。まぁ、定番メニューではありますが、それなりのボリュームで、脚本にきちんと盛り込む手腕はなかなかのものです。三拍子揃って水準以上に感じられる。
 その意味では、結構豪華なメニューではあります。

 しかしサービス精神旺盛なのは結構なことですが、前半で麻薬密売組織を追い、実はそこから本命の国際テロ組織を追い詰めていくという展開は、少し判りづらかった。特にトラボルタの目的が最初は判らず、観客の視点は振り回される相棒役の方にあるので尚更です。
 アクションてんこ盛りだし、細かい部分は気にするな?

 うーむ。結局、麻薬密売組織の方は後半、完全に捨て置かれてしまいましたが。
 麻薬よりもテロを阻止する方が大事ですから(笑)。

 トラボルタが「スキンヘッドに髭」という、いつになくワイルドなスタイルで登場するのも珍しいわな。実はスキンヘッドがよく似合う人だったのだな。ブルース・ウィリスと並ぶスキンヘッド男優である。
 相棒役のジョナサン・リース・マイヤーズのナイーブな伊達男と好対照。

 ジョナサンは先月も『シェルター』に出演しているのを観ました。『シェルター』はオカルト映画で、役柄もサイコで気色悪い演技でしたが、この人はちょっと神経質そうな役を演じさせたら巧いですね。
 最後にはトラボルタに感化されて、マッチョ指向になってしまうのが微笑ましい。

 あと今回は映画マニア受けなギャグが色々と散りばめられていて笑えました。
 スタトレや007ネタもそうですが、いきなり言及される『ベスト・キッド』ネタに耳を疑いました。

 「お前達のボスに云っておけ。ワックス塗る、ワックス拭く、とな」

 トルボルタの役名がチャーリー・ワックス捜査官だから、「悪は完全に拭き取るぜ」という意思表示らしいのだが、何故に『ベスト・キッド』。
 絶対にこの洒落が云いたいが為にキャラの名前を付けたとしか考えられぬ。

 でも、そう宣言したくせに麻薬密売組織は後半、フォロー無し……。
 あれえ?


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