2010年5月22日土曜日

冷たい雨に撃て、約束の銃弾を

(Vengeance)

 ジョン・ウーに続く香港ノワール映画の巨匠ジョニー・トー監督作品。
 ……だそうですが、私は今回が初めて。なるほど映像はかなりスタイリッシュ。

 香港をロケした映画は沢山ありますが、マカオの背景がなかなか興味深い。特にマカオのカジノと云うか、歓楽街を背景にした画面は独特の雰囲気で、見慣れたラスベガスなんかとはひと味違うテイストでした。本筋とはまったく関係ありませんが。

 プロデューサーがフランス人で、主演俳優もフランス人なので、ついついフランス映画かと思ってしまいますが、これは香港映画でした。正確には仏香合作というのか。
 フランス映画のフリをした香港映画ですね(笑)。

 しかし香港ノワールなのに、かなり本場のノワールものに近い雰囲気を醸していました。主演のジョニー・アリディが、往年のジャン・ギャバンを思わせる。渋い漢デス。
 渋いと云えば、アンソニー・ウォンも渋い。『インファナル・アフェア』三部作皆勤賞な人だそうですが(笑)。『ハムナプトラ3』にも出ていましたか。
 プロフェッショナルな殺し屋の役。もはや職人。

 一人娘の家族を惨殺された初老の男(ジョニー・アリディ)が、殺し屋(アンソニー・ウォン)に復讐を依頼するという物語。
 渋い漢と渋い漢の、言葉に表さぬ無言の友情というか、ポリシーを貫く男の美学が描かれている……筈なのデスが、少しばかりストイックすぎる。あまりにもストイックなのも如何なものか。却って淡泊な印象になってしまったような。

 とは云え、シチュエーションはなかなか面白いデス。
 依頼人の記憶が障害によりどんどん失われていく──と云うのは梶尾真治の『サラマンダー殲滅』に通じますなあ。依頼人が復讐の理由もすべて忘れてしまったのに、復讐を請け負った側が仁義を通すのが泣かせる。

 「彼は忘れてしまったが、俺は約束した」

 クサイデスカ。そうですね(笑)。

 一方、映像の方はと云うと、噂に違わずスタイリッシュ。
 特に夜の場面。
 月夜の森の中での銃撃戦とか、夜の雨が降りしきる路地裏での銃撃戦とか。
 やはり銃撃戦の演出は流石と云うべきでしょう。

 でも、あまりにも凝りすぎた部分があって、ちょっと笑ってしまいそうになるところもあるのですが。あの廃品集積場での銃撃戦は……。
 いや、面白いシチュエーションなのですがねえ。撃ち合っている人は全員、シリアスなんですが……。うーむ。

 総じてノワール映画の佳作であると申せましょう。
 あとは結末さえ何とかしてくれれば、もっと俺的評価は高くなったのですがねえ……。惜しい。
 ジョニー・アリディの燻し銀の味が生かし切れていないと云うか、もうちょっと演出を考えてもらいたかったです。


冷たい雨に撃て、約束の銃弾を [DVD]

▲ PAGE TOP へ

ランキングに参加中です。お気に召されたならひとつ、応援クリックをお願いいたします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村

ランキングに参加中です。お気に召されたなら、ひとつ応援クリックをお願いいたします(↓)。

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村