それにしても、よくディズニーは実写化にOK出したよなぁと感心せざるを得ません。よその映画会社で製作されるくらいなら、うちでやってしまおうと考えたのでしょうか。
それにしても一九歳のアリスか! ドジソン先生なら即却下するであろう設定ですね。原作者の嗜好をここまでないがしろにしてもいいのか(笑)。
だからロリ好きな人は観に行かなくていいです(爆)。
そもそも主役は──宣伝の仕方を見る限り──ジョニー・デップぢゃん。
ポスターやサントラCDのジャケットを見ても、帽子屋さんしかいないぞ。
アリスの映画じゃねえよ(笑)。
いまだかつて「キ○ガイ帽子屋」を主役に据えた『アリス』があったであろうか。ちなみに私は「マッド・ハッター」なんぞという呼び方は嫌いデス。
「マーチ・ラビット」じゃなくて「三月兎」だろ。
もう物語を云々する以前に、配役のキテレツさで話題を掠っており、ほとんどソレが見たさに劇場に足を運ぶようなものですわ。仮装大会か。仮装大会ですね。
筆頭は、ジョニー・デップの〈帽子屋さん〉。個人的には『チャーリーとチョコレート工場』のウォンカ役のままでも『アリス』に登場して、別に違和感ないだろうと思うのですが。エスカレートもここまでいけば、やり過ぎデス。もうジョニー・デップに見えません(笑)。
次点は、ヘレン・ボナム=カーターの〈赤の女王〉。原作では「ハートの女王」だったと思ったが、『鏡の国のアリス』のネタもぶち込んでいるので、「赤で且つハート」な女王。デフォルメしまくり。実写で四頭身はキツイす。
もうティム・バートンも、「自分の奥さん」だからここまで無茶やりました的なデザインです。奥さんの方も旦那さんの嗜好を理解しているから、嬉々として演じている。これもひとつの夫婦愛の形なのでしょうか。
アン・ハサウェイが〈白の女王〉。〈赤の女王〉と姉妹だという設定はオリジナルのようですね。あからさまに凶暴でイカレている〈赤の女王〉に対して、清楚で美しい女王……だと思ったら、やはり姉妹でした。
さりげなく「美人なのにちょっとイッちゃってる天然な女王様」になっている(笑)。
日本語吹替版では深田恭子ですが、ここはやはり井上喜久子にしなきゃイカンでしょう。
個人的には〈ハートのジャック〉役で、クリスピン・グローヴァーが登場してくれたのが嬉しい。もうどっぷり性格俳優ですね。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の頃はこんなじゃなかったのに(笑)。
……と、あまりにも個性的な俳優が続々とキテレツな格好で登場するので、主役のアリスの影が薄い。おかしい。主役はこちらの筈なのに。
ミア・ワシコウスカは昨年の『ディファイアンス』にも出演していたそうです、よく憶えていない。影が薄いからか……。
基本的にお祭り映画であり、CGガンガン使いまくりな特撮で、アクション&アドベンチャーな楽しい映画ではあります。
名優達の演技力がキャラクターの性格をしっかり裏付けていますが、ほとんどの観客はそこまで気にしないだろう。個人的には、〈赤の女王〉のコンプレックスと、姉妹間の葛藤みたいなものをもっと観たかったが、それでは別の映画になってしまうし……。
しかし物語として、アリスを一九歳に設定したのは別の意図があったのですね。
実は隠れたテーマは「女性の自立」だったりするのです。
原作はもともとが他愛のない夢オチな物語で、風刺的な描写が売りでしたが、この『アリス』は違いますよ。
現実逃避したままでは終わらず、きちんと現実に復帰し、求婚者からのプロポーズをはねのけ、アリスは父親の遺した事業を継いで「新たな世界に船出して」行ったりするのです。すげえ。
一九世紀末の女性像とは考えられませぬなあ。この結末はホントにティム・バートンの考えなのでしょうか。
もう明確に「結婚は女性のゴールではありません!」と断言している。
『プリンセスと魔法のキス』──これもディズニーの映画でしたな──でもそうでしたが、「女性の幸せはキャリアの追求にあり」と云うのは、実に現代的ではありますが……。
時代設定上の社会通念をそこまであからさまに無視していいのかしら。
でも、そもそもディズニー映画とは、製作年代の社会的規範を如実に反映するものらしいし。ディズニーらしいと云えばらしいか。
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