2010年3月11日木曜日

ダレン・シャン

(CIRQUE DU FREAK : The VAMPIRE'S ASSISTANT)

 著者も同名とは知らなんだ(笑)。
 ハリポタ以降、やたらとファンタジーな児童文学が翻訳されておりますが、なんかもう、どれもこれも二番煎じの匂いがぷんぷんして、ホントにベストセラーなのかよと疑いたくなりますな。
 中にはアタリもあるのかも知れませんがねえ。

 児童向けファンタジーと云えば『ゲド戦記』とか『ナルニア国物語』とか『果てしない物語』くらいしか無かった頃に比べると、いいのか悪いのか……。
 で、これは全十二巻にもなるという長大なシリーズの映画化デス。

 まぁ、そこそこ面白かったです。
 脇役の役者がやたらと豪華な点も、この手の映画の特徴ですが、『ダレン・シャン』は配役以外にも脚本も良かった。
 少なくとも『ライラの冒険/黄金の羅針盤』とか『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』なんかよりは、ずっとマトモでした。

 やはり日本人なら、〈シルク・ド・フリーク〉団長ミスター・トール役である渡辺謙の勇姿を拝まずばなりますまい。渡辺謙が『バットマン:ビギンズ』の頃よりも、更に特殊なメイク──ハゲヅラに珍妙な髭、身の丈二メートル以上──で奇怪なキャラを演じております。
 うーむ。なんか楽しそうじゃのう。

 他にも、チョイ役なのにウィレム・デフォーがいたりするのは、今後のシリーズ化を睨んでのことか。デフォーは〈バンパイア将軍〉と云う肩書きでありますが、今回は顔見せだけ。ちぇ。

 なんせ物語は始まったばかり。
 主人公のキャラ紹介と背景設定(の一部)が披露されただけで、ほんのプロローグという感じです。やはり第一話だよなあ。
 一応、区切りのいいところでまとまっているので、それほど欲求不満にはなりませぬが……。
 今回は第一巻から第三巻あたりまでが描かれているらしいデス。なかなか上手にアレンジしているという印象を受けました。ユニバーサルには、この先もちゃんと制作してもらいたい。

 大体、監督がポール・ワイツであると云うのがイマイチ信用出来ぬ。大コケした『ライラの冒険/黄金の羅針盤』のプロデューサーの一人ですし。
 もっとも『ライラの冒険』がコケたのは、監督であるクリス・ワイツの責任の方が大きいが。でもこいつら兄弟だし……。
 今回は兄であるポールの単独監督作品であるところを見ると、ポールの腕の方が確かだと云うことなのでしょうか。弟の方はと云うと、『ライラの冒険』のあとは『ニュームーン/トワイライト・サーガ』を単独で監督している(でも売れているのはこっちかしら)。

 なんで兄弟そろってバンパイア・ムービーを監督しているのだ。
 やっぱり気が合うのか。
 でも兄貴の方が腕がいいのか。或いはいい脚本家がついた所為か。

 で、この『ダレン・シャン』では「バンパイア」にもオリジナルの設定がある。
 「吸血鬼」と「バンパイア」は異なるのだそうだ。へえ。
 やはり物理的に無理っぽい設定──変身したりとか鏡に映らないとか──はスルーされていたり、宗教的な弱点がなかったりする。
 空を飛ばない代わりに、超高速で走ったりする。残像を曳きながら動く描写は映像的にはなかなか面白いデス。

 それと「バンパニーズ」という設定ね。
 冒頭、用語解説が入る。「バイパイア」と「バンパニーズ」の、派閥の関係。別の種族ではなく、やはり派閥と見なすべきなのであろう。
 人間との共存を図る一派が前者で、人間を単なる食料としか見なさない武闘派が後者。方針の違いから二つの派閥は全面戦争一歩手前で睨み合っているという状態。
 主人公が学校の歴史の授業で、〈冷戦〉についての講釈を受けるのが、伏線ですね(中学生あたりの歴史はそこまで教えるのか?)。

 今回は主人公ダレンが、親友の命を救う為にバンパイアと取引してしまい〈ハーフ・バンパイア〉になると同時に、遂に冷戦状態が崩れていよいよ全面戦争か、というところで「つづく」。
 命を救った親友が敵の陣営に取り込まれ、宿敵になってしまうのもお約束。
 果たしてダレンは、友を悪の組織から取り戻せるのか──って、なんか特撮ヒーローもののパターンですな(笑)。

 このエンタテイメントに徹したストーリーが受けているらしい。
 『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』のように、主人公が「特殊な生い立ちでホイホイ難関をクリアする」よりも、「慣れない能力に戸惑いながらも少しずつ目覚めていく」パターンの方がウケるよねえ。
 やはり敵の方が強くないと面白くないだろう(笑)。

 欲を云えば〈シルク・ド・フリーク〉のメンバーが脇役扱いなのが残念。バンパイア同士の争いが本筋なので仕方ないとは云え、奇怪なフリークたちの特殊能力をもう少し役立たせて欲しかった。原題が“CIRQUE DU FREAK”なんだから。
 渡辺謙は「見世物にされたフリークの悲哀」をもっと表現したい、と語っていたそうであるが、確かにこのままでは単なるサーカス団に過ぎないし……。テリー・ギリアムとか、デヴィット・リンチあたりなら、もっとサーカス団の方にスポットを当てたかも(別の物語になりそうですが)。

 とりあえず主役の俳優達が成長してしまわないうちに、とっとと三部作くらいにまとめて撮影してしまうのがよろしいでしょう。

● 余談
 『ハリー・ポッター』も完結までもう一息だし、『ナルニア国物語』もなんとか制作続行らしいので、もうしばらくはファンタジー映画の時代は続くのでしょうなあ。
 玉石混淆状態なのは仕方ないとして。

 バンパイア・ムービーがこんなにウケるなら、萩尾望都の『ポーの一族』とか海外で製作してくれぬものか。まずアニメ化の方が先か?




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