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2009年12月12日土曜日

マイマイ新子と千年の魔法

(Mai Mai Miracle)

日本のアニメはジブリではなく、マッドハウスであるというかねてからの持論がまた強化されました。と、同時に何故にさっぱり話題にならないのであろうかと不思議な思いにも捕らわれます。
マッドハウスは商売が下手なのであろうか。ジブリのプロデューサーみたいな人がいないのか。いたらいたで、こんな傑作は生まれなかったかも知れないが。

監督は『アリーテ姫』の片渕須直。原作は高木のぶ子の児童文学『マイマイ新子』……なんだけど、読んだことなかったです。すんません。

作者の自伝的小説だけあって、物語に超自然な現象は皆無です。昭和30年代の山口県を舞台にした少女の日常生活が描かれる。
時代背景と設定から、『となりのトトロ』を連想します──その上、エピソードの一部が少しカブっている。五歳の妹がプチ失踪する(笑)──が、まあ些細なことでしょう。

どちらかと云うと、『テラビシアにかける橋』の方に似ていると思う。
「千年の魔法」と云うのがキーワードですね。
何もない田舎も、本当に何もないわけではない。千年前にも人が住んでいたのである(山口県防府市国衙)。

自分たちが毎日学校へ通う道も、近所の小川も、千年前からそこにあった。
お爺さんからそう聞かされた新子の目には、千年前の町並みと人々が見えてくる。
決してSFやファンタジーではない。過去と現実が交差するわけではないが、このビミョーなオーバーラップの演出が巧い。千年前にこの町に住んでいた女の子はどんな子だったのか……。

物語は平行して平安時代と昭和の世界を描き出していく。
ある日、新子のクラスに少女(お嬢様である)が転入してくる。転勤した父に連れられて来たのだが、この少女と千年前に周防の国守として都から着任した父に連れて来られた姫が重なっていく。

実はこのお姫様は日本人なら誰でも知っている有名人です(笑)。まさか****の少女時代の物語とシンクロするのか。
ちょっとしたトリビアですね。

いや、もう心洗われる作品です。
うちのムスメにも見せてやりたいが……この物語の良さが判るのは、まだ数年は先かなあ。
トトロとか出てこないからダメかなあ。空も飛ばないし……。水の上も走らないし……。

こんなアニメが制作できる日本は、まだまだ捨てたものではない。と云うか、無理して3DのCGアニメなんか作らなくてもいいです。
海外の映画祭に持って行くなら『崖の上のポニョ』よりこっちだろう!


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