2009年12月12日土曜日

パブリック・エネミーズ

(PUBLIC ENEMIES)

実話、と云うか実話ベースの物語です。最近は実在の人物をネタにした映画がホントに多い。
マイケル・マン監督作品としては、まぁまぁの出来か。
少なくとも『コラテラル』とか『マイアミ・バイス』よりは良かった。いや、前作、前々作が酷すぎたのか。

ジョニー・デップが珍しく「フツーの人」を演じています。いや、犯罪者なんだけどね。ティム・バートン作品の映画で見る役より、遥かに普通。

ジョン・デリンジャーの為人が判るかと云うと、特にそのようなことはなく、あまり感情移入できなかった。それはどの登場人物にも云える。特捜班を指揮するクリスチャン・ベイルが主役に匹敵するくらいカッコイイのであるが、これもまた描き方が一面的だ。
どのキャラも家庭での描写とか、子供時代とか、一切無い。

その代わり社会的な背景の描写には手抜かり無し。力の入れ方が偏っているなあ。
大恐慌時代という社会的に不安定な時代に、大手銀行専門の強盗が民衆から喝采を浴びるという構図は判る。全然「民衆の敵」じゃないけど(笑)。
時代がFBI設立前というのが興味深い。アメリカが広域犯罪を取り締まる法律を施行する一因がデリンジャー一味にあったというのがトリビアですね。
州から州へ、銀行強盗を繰り返す強盗団を取り締まる法律が、当時はなかったと云う訳ですが、後半になって次第に時代に取り残されていく姿を描いていくのが意外でした。

かつての仲間達が直接的な銀行強盗よりも稼ぎのいい組織を作っていく過程でデリンジャーが邪魔者扱いされていったり、法律が整備されていくことで同業者達から疎んじられるという描写に、アウトローの悲哀を感じる。

ジョニー・デップが主演しているからと云って、カップルで観るような映画じゃないです。マリオン・コティヤールとの恋愛も描かれてはいますが。

実話ベースなので、なんとなくドラマがどこまで続くのか判らないのが釈然としないというか。脱獄と逃走を繰り返しながら、どこまで行くのかデリンジャーについての知識がないとピンと来ないのである。
アメリカ人には周知の事実なのだろうか。
潜伏中の山荘で追い詰められて壮絶な銃撃戦になったときには、ここで討ち死にか……と思ったのだけど、生き延びてしまい、なんとなくドラマが間延びした印象になってしまった。
デリンジャーの義賊的な特徴──「仲間を決して見捨てない」とか「殺人は極力避ける」──が、イマイチ判りづらいのも難点の一つか。
このあたりがマイケル・マン監督の悪い癖なのだろうか。

但し、銃撃戦の迫力だけは保証しましょう。音響設計も見事です。『マイアミ・バイス』でも、そこ「だけ」は凄かった。
でも、これもまたカップル向きではないな……。


●余談
先月公開されていたフランス映画『ジャック・メスリーヌ/フランスで社会の敵No.1と呼ばれた男』と比較してみたかったが、こちらは早々に上映終了か。
ヴァンサン・カッセル主演だったのに。
やはりジョニー・デップのようにはいかないか。うーむ。


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