実は『パブリック・エネミーズ』を観に行った日が、『ヤマト』の公開初日でもあり、それもあってか新宿ピカデリーは無茶苦茶な混雑ぶりでした。
カップルは『パブリック・エネミーズ』へ。
家族連れは『カールじいさんの空飛ぶ家』へ。
そしてヲタ野郎共は『宇宙戦艦ヤマト』へ。
私の知人はアルフィーのファンだったので(高見沢の)、特にヤマトのファンではない が、主題歌を「聴きに行かねばならない」のだと嘆いていた(笑)。
さて、私の「ひねくれた期待感」は、ある意味では満たされたと申してもよろしいでしょう。期待通りの見事なスカタンぶり。
一応、心構えをした上での自爆でしたが、まさかここまでトンデモない映画だったとは予想外でした。別の意味で楽しめました。
『ヤマト』はこうでなけりゃ(笑)。
企画・原作・製作総指揮・監督・脚本──西崎義展。
すべての元凶は相変わらず、このお方ですねえ。つか、まだ現役だったのか。確か破産した上に、銃刀法違反やら覚醒剤取締法違反やらで実刑判決喰らったものと思っていたが、一昨年に釈放されておったのですな。
松本零士との著作権争いには勝ったらしく、今回の映画からは松本零士の名前はどこにも出てきません。
その代わり笑えるクレジットがひとつ。
原案──石原慎太郎。
マジで? どの辺りが石原慎太郎? 何となく見当は付きますが(笑)。
石原慎太郎の原案を、西崎義展がひねくり回して脚本化し、それでも面白くなると信じる人がいたらお目に掛かりたいものです。限りなく右寄りで、保守ぽいSF。
──SF?
もはや、これは寓話だろう。SFと云うには、あまりにも色々な決まり事を無視していると云うか、スルーしています。
いやいや。寓話でもないか。
物語の取り留めの無さ、オチのない投げっぱなしの態度は、神話の域に達している。『ヤマト』は神話か。ある意味、正しい認識だよな。
上映時間が135分もあり、破綻しかけながらも120分間かけてそれなりに築いてきた物語を、取って付けた15分で完膚無きまでに台無しにしてくれる凄まじい展開には、ちょっと開いた口が塞がりませんでした。
ホントにもう、狐に摘まれたような不思議な気分を味わえます。
これでは途中で寝ていても、まったく問題なしだよなあ。
狙って作れるような作品でないことは確かです(笑)。
他のスタッフは一流どころを揃えているのに……。
作画監督が湖川友謙というのも興味深い。リアルな古代進のキャラはちょっと新鮮でした。山寺宏一の声がちゃんと古代進の声に聞こえる。見事だ。
エンディング・クレジットの最後に出る一文に時代の流れを感じました。
──この映画を、故 宮川泰、阿久悠、羽田健太郎、木村好夫、富山敬、実相寺昭雄に捧ぐ。
広川太一郎亡き後のナレーションは羽佐間道夫でしたね。
「無限に広がる大宇宙」は「人類に残された最後の開拓地」に匹敵する名フレーズですなあ。
真田さんの「こんなこともあろうかと」も、そうですが(爆)。
最後の「アレ」はギャグのつもりだったのかなあ……。お約束と云えばお約束なんだけどねえ。
ともあれ最大のギャグは一番最後にやってくる。
──宇宙戦艦ヤマト 復活篇 第一部完。
え? 第一部完? まだやるのか。誰か止めてあげてくれよ。
● 余談
来年は実写版の『ヤマト』もあるんだよなあ。
OVAの『YAMATO 2520』ってどうなったのでしょう?
破産して第三話で打ちきりになったきりなんですけど……。
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