しかし前作『プリキュアオールスターズDX3/未来にとどけ!世界をつなぐ☆虹色の花』で主役キャラが二一人にまで増えてしまい、オールスターズで劇場版を制作するのももう限界であろう。今度やったら次は二八人ですし……と云う心配をよそに、まだまだやるのか。
「ニューステージ」と銘打つから、趣向を変えて全員集合映画はもうやめるのか……と思ったら、そこは相変わらずでしたね。
二八人に加えて、劇場版だけのスペシャルなプリキュアも登場しますし。それだと二九人だぞ、大丈夫なのか。東映は「プリキュア48」になるまで続けるつもりなのか。
オールスターズ映画第一作に登場した敵、フュージョンが再登場。またしても横浜に襲来するという、なにやら怪獣映画さながらのオープニングです。
横浜ランドマークタワーの陰から現れたのは、まんまゴジラ形態なフュージョン。こんな敵ではなかったと思うのですが、怪獣映画がやりたかったのか。
逃げまどう人々が空を振り仰ぐと──「見ろ、観覧車の上に誰かいるぞ!」
みなとみらい名物の大観覧車の上にズラリと勢ぞろいしたプリキュア達。
なかなか特撮映画ちっくな演出に苦笑してしまいました。ムスメらよりパパの方が楽しめる作りになっているような気がします(笑)。
あっさりフュージョンは倒されますが、そこは元が不定形な生物なので、細かい滴となって散り散りになっただけ。放置しておくと再び集合して元に戻ることが暗示される。
そんな事件のあった翌日。横浜に転校してきたばかりで新生活に馴染めず悩んでいる少女、坂上あゆみ(能登麻美子)が謎の生物を拾い、「フーちゃん」と名付けて可愛がり始める。
「子供が怪獣を拾ってきて育てる」というシチュエーションが、なにやら〈平成ガメラ〉シリーズの『ガメラ3』(1999年)とか『小さき勇者たち』(2006年)を思わせます。
人語を解し、孤独な少女の友となったフーちゃんは、あゆみの願いを叶えようとする。
「ママなんてキラい。学校なんてキラい。街なんか消えちゃえばいいのに!」
本心からの願いでないのは明白だが、フーちゃんはそれを全力で実現しようとする。願いを叶えるには自分は小さくて非力すぎる。集まって大きくならねば。いっぱい食べて大きくならねば。
翌朝、隣家の飼い犬がいなくなり、少し大きくなったフーちゃんがニコニコしているのがホラーです(笑)。
一方、飛び散ったフュージョンのカケラを探すプリキュア達。
響(小清水亜美)がちょっとマヌケな探偵を演じる場面と、あゆみ、響、みゆきの三人が横浜の街をドタバタ駆ける場面がムスメらにウケていました。
しかし「スマイル」のメンバーは冒頭の戦闘には参加していなかった筈だし、そのあとで他のプリキュアに「初めまして」なんぞという挨拶もしているのに、何故フュージョン探索に参加しているのか……。
そんな愛のないツッコミはスルーですね。
案の定、フュージョンは生き残っており、中規模程度に成長した数体のフュージョンが出現。またしてもプリキュア達と戦闘になる。
合体の障害となるプリキュアを敵と認識したフーちゃんは、あゆみの目の前で怪物と化してプリキュアに襲いかかる。「自分だけの心の友」が突如として「あこがれのプリキュア達」と戦い始めたことに驚くあゆみ。
「やめて。私の友達をいじめないで!」
「そこをどいて! あなた、ソレが何なのか判っているの?」
「フーちゃんは私の友達よ!」
はて。確かムスメらを連れてプリキュアの映画を観に来ていた筈でしたが、何か間違えましたか? デジャヴがありありの特撮映画ライクな展開なんですケド(笑)。
そういえば本職のアナウンサーを本人役で起用するというのも、特撮映画ぽいですねえ。
序盤に羽鳥慎一が報道番組でプリキュアの活躍を伝える場面がありました。羽鳥アナ、ちょっと美化されすぎでは。
他にも赤江珠緒アナを、あゆみの母親役に起用したり(テレ朝つながりか)。
フーちゃんの声は、子役の熊田聖亜ちゃんでした。怪獣の声が小さな女の子というのが雰囲気があっていいですね。巨大化すると子安武人ボイスになっちゃいますが。
ゲストキャラをメインに据えた物語になったので、結果としてプリキュア同士の描写が大幅に減ってしまいました。
初代から三代目までは画面に登場するも、セリフがありません。遂にこのときが来たか。さすがに全プリキュアに喋らせるのには無理が生じますか。
したがって台詞があるのは「スマイル」、「スイート」、「ハートキャッチ」、「フレッシュ」まで。それでも一七人もいますけど。
今般から、福圓美里、田野アサミ、金元寿子、井上麻里奈、西村ちなみがプリキュア声優になっております。田野アサミ以外は──すいません。TVドラマは全然観てないので──馴染みの声優さんが多くて嬉しいデス。
特に西村ちなみが『Yes!プリキュア5/鏡の国のミラクル大冒険!』(2007年)のダークプリキュアから昇格してくれたのが嬉しい(こういうのは昇格と云うのか?)。
ゲストとは云え、能登麻美子もプリキュアですし。
巨大化して暴走するフーちゃんを止める為に、あゆみをフーちゃんの近くにまで送り届けようと奮闘するプリキュア達。声さえ届けばフーちゃんは止まってくれる筈。
果たしてプリキュアは横浜を守れるのか、あゆみはフーちゃんを制止させられるのか。
本作でもお子様には、劇場入場時にミラクルライトが配られます。名前が「ミラクルデコルライト」になっていますが、中身は変わらんか。
しかし使用方法が異なる。今までのような「プリキュアの応援」ではなく、「プリキュアを呼ぶ」と云う演出でした。
劇場内で打ち振られるミラクルライトの光。苦戦する新人プリキュアを助けようと、次々と参集してくる歴代の先輩プリキュア達。ますます〈ヒューマンサイン〉ですなあ。実に燃える展開デス。
そしてミラクルライトが奇跡を呼んで、あゆみもプリキュアに変身です。
キュアエコー、かっこいいぞ。
もはや女の子はみんなプリキュアになれるのか。こりゃ、小さなお友達も感情移入しまくりですわ。うちのムスメ共もキュアエコーがいたく気に入ったらしい。
プリキュア達の活躍で遂にフーちゃんにあゆみの声が届き、ようやく戦いも終息。一見落着。
勇気を持って一歩踏み出したあゆみにも、学校で新しい友達ができて、めでたしめでたし──なのは良いのですが、隣家の飼い犬や、あゆみのママも戻ってきていますよ? フーちゃんが食っちゃったんじゃないのデスか?
ちょっと御都合主義的ですが、そこもスルーしてあげましょう。
エンドクレジットは『スマイルプリキュア!』のED主題歌「イェイ! イェイ! イェイ!」をオールスターズで踊ってくれます。やっぱり全員集合すると壮観ですねえ。
終わった途端に、次なる劇場版の予告が流れるのもお約束。
さらに来年は「プリキュア生誕一〇周年」になる筈ですから、また特別な企画があるのでしょうか。
ところで、キュアエコーを気に入ったうちのムスメから盛んに尋ねられて困っています。
「キュアエコーはいつ、『スマイルプリキュア!』に出てくるの?」
うーむ。パパはTVシリーズには登場しないと思うのだがなあ。ムスメは昨年のスーパー戦隊映画『ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦』に、ゴーカイシルバーが先行登場したことを覚えていて、だから必ずキュアエコーも『スマイルプリキュア!』に登場してくれるものと思い込んでいるようです。
東映アニメーションさま(つい「東映動画」と昔の商号で呼んでしまいそうになる)、一話限りのゲスト出演でも構いませぬので、キュアエコーを『スマイルプリキュア!』に登場させてやって下さいませ。
何卒、よろしくお願い申し上げます。
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