ところで『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』の際に、ズバットやらキカイダーやらは登場したのに、何故に宇宙刑事は出番がないのかと不満を述べましたが、まさかこのようなクロスオーバーだけで一本制作するとは思いませんでした。
仮面ライダー誕生四〇周年は、スーパー戦隊誕生三五周年であり、今年はメタルヒーロー誕生三〇周年でもあるそうな。そんなに歳月が流れていましたか。
すると他のメタルヒーローにも今後は出番が用意されるんですかね(でも出来ればキカイダーとも単独で復活しないものか)。
毎週、日曜朝のスーパーヒーロータイムを楽しみにしているうちのムスメら(九歳&六歳)が、この映画に関心を持たぬ筈がなく、熱烈コール。はっはっは。ムスメらがどうしてもと云うんじゃ仕方ない。
しかし気になるのはムスメの言動。
「ギャバンの〈大いなる力〉はどんなの?」
いや、ギャバンは〈大いなる力〉は持ってないでしょう。スーパー戦隊じゃないから──と説明しても判ってもらえない。それともドルギランがゴーカイオーと合体でもするのかしら。うーむ、やりかねん。
「スーパー戦隊じゃないの? じゃあ仮面ライダー?」
どうやらムスメらの頭の中には、二種類のヒーローしか存在しないらしい。スーパー戦隊でもなく、仮面ライダーでもないヒーローと云うものが想像できないようデス。考えてみれば、今は特撮ヒーロー番組が希少なのか。ウルトラマンも映画だけだし。
更に質問はつづく。
「パパ、じょーちゃくって、なぁに?」
ええと、金属の皮膜をデスね、0.05秒で……どう説明したものか。もう考えても始まらぬ。百聞は一見にしかず。
シネコンのフロアは案の定、お子様連れで混み合っておりましたが、やはり「お父さん度」の方が高いように見受けられました(笑)。
しかし何故かスーパー戦隊の映画は仮面ライダーの映画よりも常に尺が短く作られる。本作も六四分なので、非常に展開が早いです。もう立ち止まっている余裕なし。
冒頭、いきなり超次元高速機ドルギランに追跡されているゴーカイガレオン。都市上空(港区から品川方面の夜景が美しい)での問答無用の砲撃戦という、ど派手なバトルから開幕です。
次いで早速にギャバン登場。やはり渡部宙明サウンドは燃えるッ。
夜間撮影で、コンバットスーツがキラキラ輝くという往年の演出が実に懐かしい。
アッと云う間に海賊行為の容疑でゴーカイジャー一味を逮捕です。圧倒的に強いぞギャバン。しかし今回、特捜戦隊デカレンジャーは言及されども登場せずでした。一緒に登場すればややこしくなりすぎるからか。あれ? 「銀河連邦警察」と「宇宙警察」って同じ組織だったのか。お祭り映画だし、そこはスルー。
捕縛したゴーカイジャーを連行するギャバンですが、本部は直ちに処刑せよと云う。実はザンギャツクは宇宙警察内部に浸透しており、ゴーカイジャー逮捕は黒幕をあぶり出すギャバンの芝居だったのである。
尺が短いので黒幕もサクサク正体を現してくれます。
宇宙警察総裁ウィーバル(佐野史郎)は、実はザンギャックの行動隊長アシュラーダだったのだ。佐野史郎が出番は短いながら楽しそうに演じてくれます。正体を現した後も、声は佐野史郎のままというのがいいですね。
更にギャバンの能力をコピーしたアンドロイド「最強の宇宙刑事」ギャバンブートレグも登場。あからさまにパチモン臭いがそれなりに強そうではあります。
壊滅した宇宙犯罪組織マクーの首領ドン・ホラーの末裔を名乗るアシュラーダは、ギャバンを魔空空間に捕らえてしまう。かろうじてゴーカイジャーは脱出したものの、このままギャバンを見捨てることは出来ない。
実はマーベラスは少年時代(演じているのは濱田龍臣くん)に、一条寺烈に命を救われていたという因縁があったのだった。
ギャバンは魔空監獄なる施設に収監され、このままでは処刑されてしまう。
ギャバン救出の為に魔空監獄に乗り込むゴーカイジャー。空間が錯綜し、デタラメにつながりあっている魔空空間から果たして生還できるのか。
例年の「スーパー戦隊祭」のお約束、次なる新戦隊『特命戦隊ゴーバスターズ』もチラ見せ登場。ゴーカイジャーの留守中にレンジャーキー強奪を企むバスコ(細貝圭)と戦うという趣向。
ゴーバスターズはエテ公のあしらいが上手で(笑)、毒気を抜かれたバスコは早々に退散。
やはりこういうサービスは大事なんですかね。ムスメら大喜びですよ。
劇場内では何人ものお子様達がゴーバスターズ登場と同時に声を上げておりました。
しかし魔空監獄って、数千年間一人の脱獄者も出したことが無い、生きては帰れぬ地獄のような場所であると云われておりましたが、割と簡単に侵入できましたね。
ついでに収監されている罪人共の顔触れがギャグです。
ジェラシットとか、ケガレシア様(と例の大臣二名)とか、幻のゲッコウと風のシズカとか、バンキュリアとか……。近年のスーパー戦隊シリーズで、改心したり組織を抜けた連中が捕らえられている。
成り行きで全員脱獄させてやるゴーカイジャー。物凄く簡単に牢破り出来るとは、魔空監獄って喧伝されているほど凄い場所ではないぞ。
ひょっとして今まであまり利用されたことのない施設だったのか。囚人を収監していない期間が長かったので「誰も脱獄したことがない」というだけのハナシなのでは……。
このあたりはもうお子様達、大笑いのコメディ場面です。オールピンク変身やオールホワイト変身を繰り出すゴーカイジャー。尺は短いが色々とやってくれますねえ。
そして監獄最上階に捕らえられたギャバンを救い出そうとするマーベラスの為に、仲間達が次々と「ここは任せろ。先に行け」と順番に盾になってあげるというのも、超お約束展開。
無事に救出したギャバンと共に戦うマーベラス。
ゴーカイレッド対アシュラーダ、ギャバン対ギャバンブートレグという図式。魔空空間ならではの、次々とロケーションを変えながらのカットのつなぎが懐かしいです。
「ただのコピーに負けるかッ」とブートレグをレーザーブレードで一刀両断。いや実際、負ける要素が見当たらりませんねえ。
そしてクライマックスは巨大化したアシュラーダに、ゴーカイオーと電子星獣ドルで迎え撃つ。
合体はしませんでしたが、これはこれでなかなかに燃える熱血展開でありました。
一件落着後に、ファン・サービスの極めつけ(主にお父さん向け)が待っています。
本作では大葉健二が一人三役を演じるという活躍ぶり。一条寺烈が曙四郎や青梅大五郎と並ぶという珍妙な場面。合成技術も違和感なしね。
ヌケヌケと「俺たちって似てるかな」「まぁ、ちょっとな」と開き直る場面はムスメにもウケていました。
その上、三人揃っての変身。ポーズを決めるギャバン、バトルケニア、デンジブルー。いやはや凄いもの見せて戴きました(笑)。
かくしてあっという間にギャバンのファンになるムスメ共。
「ではそのぷろせすをもういちど見てみよー」
なんか変なフレーズも覚えてしまいましたが、やはりあのコンバットスーツ装着シーンは印象的だったのね。その後やたらと「よろしく勇気だ!」も連発するし。
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