2011年12月31日土曜日

ニューイヤーズ・イブ

(NEW YEAR'S EVE)

 今後、大晦日に観る映画の定番になるのでしょうか。
 ゲイリー・マーシャル監督(製作も)が描く年齢も職業も様々な男女の織りなす群像劇です。『バレンタインデー』(2010年)の年末版だなあと思っていたら、本当に製作スタッフが同じで、当初の企画も続編だったそうな。だからジェシカ・ビールとアシュトン・カッチャーがいるのか。
 結局、『バレンタインデー』とは無関係の独立した群像劇となり、重複する役者も同じキャラではなくなりましたが。

 とにかくもう出演する豪華俳優陣が凄いですわ。
 ジェシカとアシュトンの他にも、ヒラリー・スワンク、ミシェル・ファイファー、ハル・ベリー、ザック・エフロン、サラ・ジェシカ・パーカー、そして大御所ロバート・デ・ニーロと来たか。ボン・ジョヴィもいるし。
 メインキャストだけでも凄いデスが、ほとんどチョイ役同然に各エピソードに登場する脇役な方々も豪華デス。と云うか、こんな人達が一言二言の台詞だけで引っ込んでしまうと云うのが勿体ない。懐かしい顔も沢山いるのに。
 マシュー・ブロデリックとか、ジョン・リスゴーとか、ジェームズ・ベルーシとか、アリッサ・ミラノもいたよ。ついでに第一〇八代NY市長マイケル・ブルームバーグ氏も本人役で登場します(役得だなぁ)。
 オールスターなお祭り映画と割り切って楽しむのがよろしいでしょう。

 各エピソードについては、まぁ他愛もない物語であったりしますが、そこは八本のドラマの同時進行という荒技で、観ている間は退屈はしません。編集も御苦労様です。『バレンタインデー』よりは面白かったと思います。

 映画を観る楽しみのひとつに、世界各地の風習やイベントを知ることが出来るというものがありますが、本作に於いては、NYのタイムズスクエアで大晦日に行われるカウントダウンと〈ボール・ドロップ〉なるイベントについて知ることが出来ます。新年のカウントダウンなんてのは、どこでもやっていますが〈ボール・ドロップ〉というのは存じませんでした。
 結構、古くからある伝統行事だそうですが。

 直径数メートルの電飾ギンギラな球体を、二〇メートルくらいある支柱の上に吊り上げて、落とす儀式だとか。落とすと云っても一分かけてゆっくり落とすらしく、「落下」というよりは「降下」という感じデスね。二三時五九分から降下が開始され、無事に新年丁度に降下し終わると花火がドドーンと打ち上がるそうで、あんまり見ていて楽しそうには思えないのですが、ニューヨーカーの皆さんはこれで盛り上がるらしい。
 球体が下がってくるのを、カウントダウンしながら固唾をのんで見守るそうな。
 ワン・タイムズスクウェアはもう色々な映画やドラマで何度も出てくるNY定番の景色ですが、あの建物の屋上がどうなっているのかというのは、今回初めて詳細に判ります。どうでもいいデスか。

 本作の各エピソードは、それぞれ個別のエピソードですが、最終的に全てが新年の〈ボール・ドロップ〉に向けて収束してくるという構成になっています。だから『バレンタインデー』よりはまとまりがいい。

 その一、「〈ボール・ドロップ〉舞台裏」。タイムズスクウェア協会の副会長(ヒラリー・スワンク)の晴れ舞台であるが、機械的トラブルからシステムが停止してしまう。果たして新年の〈ボール・ドロップ〉は成功するのか。

 その二、「年頭の誓い」。レコード会社の秘書(ミシェル・ファイファー)は遂に辞表を叩きつけた。仕事に忙殺されて、楽しいことは何もない一年だった。今年やりたかったことをすべて最後の一日でクリア出来れば、新年の「音楽会社パーティ」の招待状をあげようと自転車宅配便の青年(ザック・エフロン)に申し出る。

 その三、「音楽会社パーティ舞台裏」。パーティの準備に大忙しのシェフ(キャサリン・ハイグル)の悩みの種は、イベントに出演する大物スター(ボン・ジョヴィ)と顔を合わせること。二人は一年前に破局した恋人同士だった。

 その四、「末期癌患者」。死期の迫った癌患者(ロバート・デ・ニーロ)の最後の望みは、入院している病院の屋上から〈ボール・ドロップ〉を見届けること。人生最後の数時間に看護士(ハル・ベリー)は……。

 その五、「出産競争」。同じ病院の産婦人科では、新年最初に生まれた赤ん坊に賞金が出ることになっている。二組の夫婦がこれに挑戦しようとしのぎを削り始める。

 その六、「アパートメント」。大晦日クソ喰らえな漫画家(アシュトン・カッチャー)が故障したエレベータの中に閉じ込められる。一緒に閉じ込められた見知らぬ女性は、イベントで大物スターのバックコーラスに抜擢されていた。

 その七、「結婚式からニューヨークへ」。友人の結婚式に出席した後で、NYに戻ろうとした青年(ジョシュ・デュアメル)は交通事故で車を自損させてしまう。教会の牧師夫婦に頼み込んでNYまで便乗させてもらうことになったが、大事な音楽会社のパーティでスピーチしなければならないのに、間に合うのか。

 その八、「母と娘」。ボーイフレンドから〈ボール・ドロップ〉のイベントに誘われた娘(アビゲイル・ブレスリン)は、ロマンチックな新年のキスを夢見る乙女である。しかし心配症な母親(サラ・ジェシカ・パーカー)は、娘の外出を禁止する。怒った娘はプチ家出してしまい……。

 『バレンタインデー』でも駆使された各エピソードの意外なリンクという隠し味がなかなか楽しいです。別々のエピソードのある人とある人が、実は親子であったりします(全然、似てねー)。
 更にまた、脇役は脇役でメインのエピソードとは別に自分のドラマを抱えていたりするあたり、人は皆、人生というドラマの主人公なのであると感じられて楽しいです。色々な小ネタも散りばめられているし。
 さりげなく時代が反映された現代アメリカの描写も興味深い。
 しかしNYの新年てのは壮絶に騒がしいですねえ。

 そして泣いても笑っても新年はやってくる。
 初日の出を受けて輝く摩天楼が美しいです。
 ある者は人生の大舞台を乗り切り、またある者はなくした恋を取り戻す。
 安らかに老人は逝き、入れ替わるように新たな命が誕生する。
 約束は果たされ、また思いがけない喜びも訪れる。

 世界から魔法が消えたことを人は嘆くが、では何故この夜に人々は集うのか。
 それはこの夜、失われた魔法がひととき甦るからだ。
 その魔法の名は──「LOVE」。

 まぁ、クサいと云ってしまってはそれまでですが、明るく楽しいハッピーな映画ではあります。「末期癌患者」のエピソードも、悲しいけれどしんみりしたイイ話ではありますし。
 エンドクレジットがNG集になっているというのも、楽しいですね(デ・ニーロとハル・ベリーがお茶目です。さっきまで死にかけていたくせに)。
 また音楽的にもなかなか聴き所のあるナンバーが多くて(そりゃボン・ジョヴィが歌いますし)、サントラもいい感じデス。
 いささか無責任と云われようと、楽観的に明日を信じて一歩踏み出す者こそ幸いであるというハッピーエンドは、シンプルなだけに力強いです。
 ハッピー・ニューイヤー。


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