シーズン恒例の劇場版ですね。シネコンのフロアには小さなお友達がわんさか。皆、劇場窓口でもらえるミラクルライトを持って、ハミィの紙製バイザーを頭に巻いております。
しかしこのニャンバイザーの寸法は、四歳児程度が標準らしく、もはやうちのムスメら(六歳&八歳)の頭に巻くことが出来なくなっている。無理に引っ張ると破れるし。
もう少し大きな寸法で作ってもらえませんかねえ。
まず上映が始まると、お友達への諸注意です。今回はハミィと妖精軍団。
もうヒーローショーのノリで、スクリーンの中からハミィ(三石琴乃)が「みんにゃー、こんにちはぁ」とぶちかます。素直なお子さま達がちゃんと一斉に返事するというのが可愛らしいですね。
ミラクルライトは人の目に向けたり、振り回したりしないようにしましょう。
だから~「やっちゃダメにゃ」とハミィが云っているのに、どうしてキミ達はパパの目に照射したがるのかねッ。
体感したので判りますが、今年のライトは以前のライトよりも明るく光るようデス。仕様が改良されているのであろうか。
映画の方はTVシリーズと連動しているので、設定上の説明は全くありません。
もはやアコちゃんがメフィストの娘で、キュアミューズであることも、音吉さんが祖父であることも、観ている側は承知の上であると云う前提の元に進行していきます。メフィストが手のひら返したように善人化していますが、毎週TVシリーズを視聴しているので、違和感ないです(しばらく観ていなかった人がいたら相当なネタバレでありましょうが、そんな人はおらんか)。
TVシリーズではメフィストを操っていた〈ノイズ〉が復活して全貌を現そうという頃合いですが、本作はちょうどその狭間の時期、第三七話「ワクワク!ハロウィンでみんな変身ニャ!」のエピソードの後という位置付けですね。
もはや劇場版だからと云って独立した物語にするつもりがないという姿勢は、いいのか悪いのか。鑑賞するタイミングがズレると、エピソードが前後することになると思えるのですが。でも小さなお友達は、そんなことスルーですね。
冒頭、善人に戻ったメフィストの超親バカぶりで笑いを取った後は──やはりパパとしては娘のボーイフレンドにはちゃんと挨拶しておかないとね。うむ、判ります──、早速に本題。
突如として加音町から音楽が消え失せてしまうという怪事件が発生する。どんな楽器も鳴らなくなる。
その割に、言葉はちゃんと聞こえるので、音が消失するわけではないのか。音楽と自然の音の違いはどこにあるのかと疑問が生じるのですが(劇中でも言葉は話せるが、歌は歌えないという描写がある)、そんな愛の無いツッコミはスルーです。
原因究明の為にメイジャーランドへ旅立つ一行ですが、エレンの衣装が大ボケで笑わせてくれます。お前は『水戸黄門』の由美かおるか──というツッコミは付き添いの親御さん用なんですかね。
しかし一人だけ時代劇調の装束であるのはいいのですが、それがその後の展開の伏線でも無く、時代劇ネタのギャグのひとつでもあるのかと云うと、それも無い。
「三味線を弾くキュアビート」を期待したのにぃ。
娘と一緒でルンルンなメフィストですが、やはりアコちゃんも小学生高学年ともなると、扱いが難しいお年頃ですねえ。ちょっとした言葉尻でヘソを曲げてしまう。
「父親でいるより、悪のボスでいた方が楽だった」と嘆くメフィスト(笑)。
さて、メイジャーランド到着後、すべての音楽を奪った張本人はアフロディテ様であると判明する。もう何者かに操られて心神喪失状態であるのが一目瞭然。
ようやくお父さんが悪の陣営から解放されて善人に戻ったと思ったら、今度はお母さんが正気を失っておられる。
つくづくアコちゃんは不幸ですね。
アフロディテ様に取り憑いているのは、〈ノイズ〉の配下である〈ハウリング〉という奴でした。ここでもTVシリーズとのリンクが見受けられ、どうにも「映画を見に来ている」という感じがしませんなあ。これ、前後編にして放映しても違和感ないし、実はそうするべきなのでは……。
ラスボス復活の前哨戦として、その右腕である幹部クラスの敵と戦うというのは、よくあるパターンなのですがね。
今回、うちのムスメはどういう訳だか、見せ場である変身シーンで退屈していました。春先の『プリキュアオールスターズDX3』では二一人もの変身シーンを飽きることなく観ていたくせに、たった三人の変身シーンで「つまんない」とは何としたことか。
やはりあまりにもTVシリーズのエピソードと同じであるのがイカンのか。
とりあえず〈ハウリング〉配下の三馬鹿トリオ、メイジャー3と戦うプリキュアですが、こちらもちょっとキャラの印象が弱いように感じました。
いつものトリオ・ザ・マイナーの面々は、今回はお休みですが、彼らとの対比がある方が判りやすいし、もうちょいキャラも立ったのではと思います。ただのイケメンな敵だというだけで、あまり個性が感じられませんでした。
捕らわれたアコちゃんを救おうとするメフィストの善戦が笑えます。解放するには父と娘の「思い出の歌」を歌えばいいのですが、それを忘れてしまったので、とりあえず知っている歌を全部歌ってみようというのがおバカです。
メフィスト役が堀内賢雄である理由がよく判ります。悪役にしてはちょっとインパクトに欠けておりましたが、善人化してからが本領発揮でしたか。
傍目にバカバカしくとも、娘の為に全力を尽くすパパの姿がいいですね。
声を枯らしながら百曲目でようやく。そんなに印象薄い歌だったのか。アコちゃん、泣くぞ。
更に、妻に取り憑いた〈ハウリング〉を追い出す為の決死の行動とか、今回はメフィストが結構活躍しています。
ところで現れた〈ハウリング〉の姿が、なんとなく「巨大なオオカミっぽい」という感じがしたのですが、それは私がホラー映画好きだからでしょうか(笑)。
〈ハウリング〉役は玄田哲章。もうお約束の悪党ボイス。今回はコミカルな部分のまったくないシリアスな悪を演じております。
今回もまたピンチのプリキュアを応援する演出がちゃんとあって、ミラクルライト振りまくって「プリキュア、がんばれー」となるのはいいのですが……。
スーパー・プリキュアというか、キュアメロディだけがクレッシェンド・キュアメロディに変身するのですか。なんか他の仲間の影が薄いのではないか。
しかもクレッシェンド化している時間が短い。ピンチを脱してしまうと、元に戻ってしまう。
あれ。四人全員がクレッシェンド化して敵を倒さないのか……。
おそらくそのような見せ場はTVシリーズでの最終回用に温存しているのでしょう。
今回はあまりにもTVシリーズとリンクさせてしまったが為に、なんか盛り上がりに欠けるような展開であったと云わざるを得ません。最終奥義もチラ見せだけとは。
総じて脚本が弱かったか。イマイチ泣きが入るような展開にならなかったですし。
悪党の境遇に同情の余地があるとか、仲間同士の信頼関係が一旦崩れた後でそれを修復するとか、自らを犠牲にして敵を倒すと云った、ドラマを盛り上げる要素が足りなかったように思えます。
いつもの通りに敵を倒し、来るべき〈ノイズ〉との決戦を予感させながら、エンドです。うーむ。決して手を抜いた作品では無いのですが、ちょっと物足りない出来ではありました。
エンドクレジットの後に、もう一曲「#キボウレインボウ#」も流して、映画を観てくれたお友達にダンス・タイムを用意してくれるのは有り難いのですが(踊ってるお子様が沢山いました。勿論、うちのムスメらも)。画の方もちゃんと四人で踊るようになったし。
来春の『オールスターズDX』も新展開だそうで、プリキュアはまだまだ続きそうですね。
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