2011年3月26日土曜日

塔の上のラプンツェル (3D)

(TANGLED)

 ディズニーの長編アニメ映画が、第一作『白雪姫』から数えること五〇本目という記念的作品だそうな。五〇本目が『髪長姫』か。
 イマドキ、ラプンツェルのことを「髪長姫」とは呼ばぬか。昔、そんな題名の御伽噺だったと記憶しているのですが。
 白雪姫、いばら姫、人魚姫、髪長姫……って、云ったと思うのだがなあ。

 日本語吹替版で観ました。3Dで観るときは字幕はない方が楽ですから。
 別にCGアニメで無くても良かったと思うのですが、流行りで仕方ないのか。五〇本目という節目にCGで作らなくてどうする、と云う圧力にジョン・ラセターも抗えなかったのか。
 CGアニメでミュージカルと云うのも初の試みか。口パクが合わせやすいのか。
 とりあえずラセターさんがディズニーのアニメ制作も手掛けるようになってからは、水準以上の名作が制作されるようになりました。実にめでたい。

 ラプンツェル役は中川翔子でした。これが巧い。イメージ通り。
 ディズニー・アニメのヒロインで、ここまで元気で愛嬌のあるプリンセスというのも珍しい。基本はコメディ・タッチなので、歴代作品の中でもいつになく元気でパワフル。ちょっとソバカスが浮いているのもイイ感じ。女は愛嬌だよね。
 フライパンを振り回す勇姿もイカス(フライパンは最強の武器だ!)。
 中川翔子も歌っているのかと思いましたが、歌だけは小此木麻里でした。そのままショコタンに歌ってもらいたかったが。

 魔女ゴーテル役が剣幸(つるぎ みゆき)。さすが元 宝塚のトップスターですね。芝居も歌もハマっていました。歴代悪役の中では一番スケール小さな悪。あまり悪役らしくない魔女。永遠の若さを望んでいるだけの人だしな。
 しかもあまり先のことを考えていなさそう。魔法の花で若さを保ち続け、その力がラプンツェルに移ってからは、彼女を使って若さを保ち続けてきた。しかしいずれラプンツェルが年老いて、自分より先に亡くなってしまったらどうするつもりだったのか。きっとそこまで考えていないのでしょう(笑)。

 優しかったお母さんは、私を誘拐した人でした──ってソレは別の映画(爆)。

 原作のグリム童話を大胆に改変──と云うか、かなり追加している。長編アニメにするにはそうするしかないけど。
 髪の長い女の子が塔の中で育てられ、外へ出たことがないと云う基本設定のみ残して、あとはもうオリジナルと云っても過言ではない。
 しかし実に無理無く組み込んだものである。
 原作の童話にあるラプンツェルには、髪の毛に魔法が宿るなどという設定は無かったはずであるが……。

 いろいろと細かいお約束的展開がいっぱいで楽しい。
 特に怪しげな酒場に集う荒くれ野郎共が、実はいい人達ばかりでしたというのが楽しい。
 ここで歌われるナンバー「誰にでも夢はある」が気に入りました。
 主題歌はやはり「輝く未来」“I see the Light”ですけどね。
 今年のアカデミー歌曲賞に「輝く未来」がノミネートされておりましたな。さすがはアラン・メンケンと云うべきか。「美女と野獣」や「ア・ホール・ニュー・ワールド」に負けない名曲であると申せましょう。

 でも実際に歌曲賞を受賞したのは『トイ・ストーリー3』の「僕らはひとつ」でしたが(汗)。
 個人的には「僕らはひとつ」よりも、「輝く未来」の方が歌曲としてはいいと思うのに、残念です。それに『トイ・ストーリー』の中では「君はともだち」がベストだと思うし。

 この「輝く未来」をラプンツェルとフリンがデュエットする場面は、この映画のハイライトですよ。実に美しい。この場面だけは、3Dで観て良かったと感じられました。
 個人的には、「輝く未来」は、『美女と野獣』の舞踏シーンや、『アラジン』の「ア・ホール・ニュー・ワールド」にも勝るとも劣らぬ、名場面だと思いマス。いや、ホントに美しい。

 何より美しいのは、この場面の幻想的な光景が、魔法でもなければ奇跡でもないという点でしょう。
 あの何千、何万と飛んでいく紙製ランタンは「すべて人の手によるもの」なのです。プリンセスの無事を祈ってランタンを飛ばす国王夫妻の気持ちに、城下の国民が賛同して飛ばしているのです。しかもそれが毎年、行われている。
 これが素晴らしい。ガラにもなく、ちょっと感動してしまいましたよ。

 結果的に、この恒例行事がラプンツェルを呼び寄せ、親子の対面を果たす原因になるのであるから、まさに「人の手による奇跡」と云えるでしょう。
 これに比べれば、ラストで瀕死の重傷を負ったフリンを癒すラプンツェルの奇跡の力なんて……まぁ、お約束だし、そうでなくてはイカンというのは判るが、意外性は感じられなかったな。そこで死んではイカンじゃろ。

 このあたりの御都合主義はむしろ義務である。理屈は通って無くてもイイから、ちゃんとやれ。納得してやるから(笑)。
 一応、理屈をこねることは出来るが、テンポが落ちるから一切説明せずに、奇跡の力です、癒やしました、ハッピーエンド、と持って行く展開を選択した方針には賛同したい。
 やはりハッピーエンドでなければな。

 『リトル・マーメイド』みたいに原作の結末を改変するのは如何かと思いますが、これはほとんどオリジナルに近い展開だし、問題ないでしょう。

 それでもやはり人権団体の皆さんはクレーム付けるのであろうか。
 「女性が結婚してハッピーになる」でも良いじゃなイカ。特に前作の『プリンセスと魔法のキス』では、「自分の店を持つ」というキャリア的成功がヒロインのゴールだったんだし。毎回、そういうのもどうかと思う。
 将来、少子高齢化が世界的に常態化すると、いつかディズニー・アニメで「ヒロインが子供を沢山産んでハッピーになる」とか云う映画が製作されたりするのでありましょうか(笑)。


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