文庫本全三巻を各話60分として全三話構成のアニメに……。
だから終わってないし、終わり方も「主人公ピーンチ!」で「つづく」である。うがーっ。判っちゃいるけど納得できーんッ。
クォリティは高いし、面白いのではあるが……。うーむ。
SF的ガジェットがガチャガチャ出てきたり、複雑な設定ぽいので取っつきにくいのですが……。
よくよく思い返すと、物語の骨子は刑事アクションドラマの基本にすごく忠実。かつてのサイバーパンクSF『ニューロマンサー』と一緒ですね。飾り付けに目が向くが、やってることはシンプル。
悪党を起訴する為に、裁判の証人になる少女を守り抜く──というお話。殺されかかり生き延びた少女が主人公のバロット(林原めぐみ)。
少女の相棒となるネズミのウフコック──ロボットというかAIと云うか、そんな感じのネズミ型アイテム──役が八嶋智人。お笑い系のタレントだと云うイメージでしたが、なかなか巧いな。
それから若本規夫も出演していた。殺し屋の役(笑)。
依頼を請け、裁判で証人になろうとする林原めぐみを殺しに来るという設定。
もはや〈狂気の殺し屋〉な役は若本規夫でキマリなのか。「イッちゃった演技」が定番というか、もう鉄板な若本ボイス。
ノリノリで奇声を発しながら襲ってこられると、吹き出してしまうので止めて下さい(笑)。
早いところ続きを観たいものであるが、第二巻『燃焼』、第三巻『排気』はいつごろリリースされるのか。
『ガンダムUC』みたいに年二回、春と秋に公開というパターンが判っていればいいのですけどねえ。
●原作
気になったので、見終えた後に原作に手を着けました。
冲方丁の最高傑作と銘打たれるだけのことはある。実に面白かった。
しかしコレはSFかな?
もう後半はギャンブル小説ですよ。
証言内容を裏付ける物的証拠をめぐっての攻防戦。悪党はカジノも経営しており、そのカジノでも最高の〈百万ドルチップ〉の中にメモリを仕込んでいたのだ。
まぁ、色々と理由はあるのですが、なんか寺沢武一の『コブラ』みたい(笑)。
小説のボリューム的に、ちょうど半分過ぎた頃になって、主人公らがカジノに乗り込んでいき、そこから延々とカジノでのギャンブル描写が続いていく。肩慣らしのスロットマシーンに始まり、ポーカー、ルーレット等々。
そしてブラックジャックの大勝負。
『ラスベガスをぶっつぶせ』もかくやと云うくらいに、ディーラーとプレイヤーの心理戦とカードの読み合い。しかもここまでSF的ガジェットてんこ盛りで展開してきたのに、カジノの場面では次第にSF描写が減少していくのである。
最後の大勝負に至っては、純粋にSF抜き。
今に至るも「最高傑作」と銘打たれる理由がこのカジノの場面か。確かに手に汗握ると形容するにふさわしいわ。
しかしこれ、どうやってアニメ化するのであろう。
後半は完全にカジノの中だけで物語が進行し、カジノから出てきたらあっさり終わってしまうのも思い切りいいですね(ラストにちょっとだけ銃撃戦がありますが)。
第二部以降のアニメ化が楽しみです。
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