何回、世界を滅亡させれば気が済むのかと云う感じですが、他の監督ならば「地球滅亡の危機をギリギリで回避する」ストーリーにするところを、エメリッヒは「行くとこまで行くぜ」と突っ走るところが潔い。
マヤ文明云々という理屈はもはやどうでもよく、とにかく「破滅させたいから破滅する」という姿勢ですね。
かつてエメリッヒはマヤ文明ネタの映画を製作しようとしたが、メル・ギブソンに先を越されて企画は流れてしまったのだそうな。一応、リベンジの意味を兼ねて、最初の理屈付けにだけ〈マヤの暦〉が紹介されますが、それだけです。
科学的には、実に嘘くさいトンデモ理論を振りかざしていますが、天変地異の描写は素晴らしいデス。
ハンパじゃないデス。
「破滅ものはコレが最後だ」と明言するだけあって、力のこもった滅亡シーンがこれでもかと繰り広げられます。人間なんて無力なものよな。
地震、火山、津波のフルコース。
リメイク版『日本沈没』はこれを観て反省せよ。
物凄いイキオイで日本は沈んでしまいました。あっという間(笑)。
『インディペンデンス・デイ』と同じく、人種も国籍も宗教も雑多な大人数のキャラが織りなす群像劇ですが、ドラマの収束のさせ方は巧いです。
しかし今回は助からない人間の方が多いような……。善人だから助かり、悪人だから助からないなんて図式にはならないところが、無常ですな。
当たり外れに振幅の幅が大きい監督ですが、これはアタリの部類に入るのではないかな。前作『紀元前一万年』が相当にひどかったからね。
こんなアクション大作なのに、演技派ジョン・キューザックが主演している。実に珍しい。あからさまに助かりそうなヒーロー然とした役者よりも、ハラハラします(笑)。
大統領がダニー・グローヴァー。モーガン・フリーマンも大統領役になりましたが、何故か破滅SF的映画には黒人大統領が多いですねえ。
人種的な配慮というヤツか。
個人的にはジョージ・シーガルを久しぶりに観たのが嬉しかった。メイクなしでも老けていましたが、元気そうで何よりでした(笑)。
この映画のキモは「破滅シーンの描写」にあるので、物語のネタバレはあまり重要ではありません。是非、大スクリーンと大音響で観賞することをお薦めします。
パンフレットの解説によると、来年以降も破滅ものは沢山公開されるようです。
スティーヴン・ソマーズのリメイク版『地球最後の日』はエメリッヒに勝てるのだろうか。
日本でも製作されないのかな。山本弘が『妖星ゴラス』へのオマージュとして書き上げた『地球移動作戦』が最近、単行本化されましたが、これなんかいいと思うのだが……。
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