それにしても、これはSF映画なのだろうか。
「少し・不思議な」系の時間テーマSF……なのか。まあ『トワイライト・ゾーン』とか『アウター・リミッツ』系統の作品ではあります。
サンドラ・ブロックが時間の中を行き来する、ちょっと歳食った「時をかける少女」。いや、「少女」じゃないか。『時をかける主婦』だ(爆)。
行き来する時間も、どうやら「一週間」と云う限定された範囲内で、しかも一度経験した時間は戻らない、という制約付き。時間旅行の方法も、眠って目が覚めたら別の曜日の朝、と云うすごくアバウトなもの。
幸せな家族の日常に、ある日降りかかる「旦那さんの交通事故」と云う悲劇。
しかし翌日には、死んだはずの旦那が生きていて出張に出かけていく。
夢かと思ったら、そのまた翌日には「旦那さんの葬式」が行われている。
身に覚えのない精神安定剤の処方。いつの間にか割れているガラス。
これは悪夢なのか、自分の気が触れてしまったのか。
やがて自分がある一週間の中を行き来していることに気がつく。どうやら交通事故は旦那さんが出張中の水曜日に起こるらしい。木曜日に事故の通知が来て、土曜日が葬儀。
サンドラ・ブロックは時系列に起こったことを整理し、まだ経験していない曜日の間に、事故の到来を防ごうとするのだが……。
シャッフルされた一週間の中で、次にどの曜日が来るのか判らないのがスリリング。
タイム・パラドックスの処理の仕方が巧く、伏線の張り方も非常に職人的で、原因と結果の到来が逆転する構成が、判りやすく描かれています。多分、素人さんにも理解出来るはずだ。
この手の映画は、先行して描かれる不条理な出来事が、ドラマの進行に沿って因果関係が明かされて、必然的に発生した出来事であることが理解されていく過程に醍醐味がある……と思うのですが、それがなかなか巧い。
先に経験した金曜日や土曜日の出来事の前振りが、月曜日や火曜日にちゃんと用意されている。
脚本はビル・ケリー。知名度の低い人ですが『タイムトラベラー/きのうから来た恋人』(99)の頃から脚本家として活躍していた人だそうな。近年では『魔法にかけられて』(07)とか。なんとなく納得。
監督もこれがハリウッド・デビューとなるドイツ人監督メナン・ヤポ。
うーむ。全然、知らない人だ(汗)。
時間旅行の仕組みは判らないが、サンドラ・ブロックが教えを請う教会の神父さんによる理屈が、判ったような判らないような解説にはなっています。原題の“PREMONITION”は「予感」のことで、やはりアメリカ人は「不思議な出来事」には宗教的な意味を求めてしまうのだなあ。
果たして来たるべき悲劇は回避出来るのか。
一介の主婦がタイムパラドックスに挑む筋立てはなかなか面白かったです。
この結末、私は個人的に気に入りました。機会があれば御覧になることをお薦めしましょう。
ほとんど特撮を使わない脚本勝負の作品である点もポイント高いです。
唯一、欠点を挙げるとするなら──
この「問題の一週間」が「日曜日から土曜日まで」、という構成になっていることかな。
つまり、サンドラ・ブロックにとっては「土曜日の夜に就寝して、目が覚めたらいきなり木曜日の朝だった」というのが、事件の発端だったわけで……。
いくらなんでも曜日が飛びすぎだ。その時点で気がつけよ。
やはり専業主婦には曜日の感覚なんて無いのだろうか(笑)。
日曜日と木曜日の区別が付かなかったなんて、奥さん、そりゃ働き過ぎだよ。
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