特にケイト・ブランシェットの『エリザベス』と一緒に観よう。
実際、『ブーリン家の姉妹』>『エリザベス』>『エリザベス:ゴールデン・エイジ』と続けて観賞すれば、十六世紀の英国の歴史が俯瞰できます(笑)。
何故、英国はプロテスタント国家になってしまったのか、とか。
スペインと仲違いした原因とか。
メアリー一世はどうしてあんなにエリザベス一世を目の敵にしていたのか、とか。
ナタポーと結婚したいが為にイギリス国教会を立ち上げ、ローマ教会から破門食らったスカタン国王ヘンリー八世をエリック・バナが演じております。ちょっとイケメン過ぎるのでは?
ヘンリー八世と云えば青池保子の『イブの息子たち』を思い浮かべ(古ッ!)てしまうのですが、ヘンリー八世ってスケベでメタボなハゲ親父じゃないのか?
おまけに国王の離婚が可能になった途端に再婚を五回もやらかし、離婚のためには王妃に反逆罪の濡れ衣着せて斬首にしたバカ殿様だというイメージが……。
それをエリック・バナはなんだか愛に苦悩する国王陛下にしてしまった。
まぁ、世継ぎの男子が産まれないという事情は判りますがね。
十六世紀のモラルは、現代とは随分と違ったのねえ。
メインが恋愛劇なので宰相のクロムウェルの出番があまりなかった。一応、短い台詞が一言だけあります。宰相なのに……。
トマス・モアに至っては出番なし。そんな馬鹿な。台詞がなかっただけで画面の隅に出ていたのだろうか。
歴史物としての時代考証は行き届いているらしく、絢爛豪華な衣装の数々は素晴らしいです。
見所はやはり様々な衣装に身を包むブーリン家の姉妹ですね。
妹は愛を求め、姉はセレブになることを夢見た。
イメージ的には役柄を逆転した方が面白かったと思うのだが……。特に観賞前はそう思っておりましたが、強気のナタポーと控えめなスカヨンというのも良かった。
でも実際、史実ではナタポー(アン)とスカヨン(メアリ)の年齢は逆転しており、本当はナタポーの方が妹だったらしい。
『1000日のアン』ではちゃんとアンの方が妹だったそうだが未見です。
うーむ。やはり強気な方が姉で、妹の方が控えめなのが一般的なイメージなのだろうか。
特に物語上、ナタポーは「私と結婚したいなら王妃にしてちょうだい」とヘンリー八世に迫るほど強気であるので、なんか悪女ぽくなってしまった。
でも本当はどうだったのでしょうね。
姉が国王の愛人になってしまったのを見て、妹としては二の舞になるのを避けるべく「王妃にしてくれなきゃイヤ」と口実を設けて一安心していたら、バカ殿様が本当に破門食らってまで改宗してしまい、逃げられないと観念してしまったのが真相のような気がするのですが(それじゃあコメディやん)。
とりあえず史実に忠実に、セレブになったはいいが、わずか三年でナタポーは反逆罪に問われて斬首になります。男の子が産めないと云うだけで、それはあまりに酷い。と云うか、責任の半分はヘンリー八世の方にもあるのでは……とは誰も考えない時代だったのですな。
さすがにナタポーの首斬りシーンはスプラッタ描写を避けておりました。
ラストはスカヨンがナタポーの忘れ形見である女の子を見守り、育てていく場面。この女の子こそ、後に英国黄金時代を築くエリザベスちゃんであった……。
と云うところで、次はケイト・ブランシェットの『エリザベス』に続く。
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