間を開けた所為で来場者特典の「泣いてもいいんだよボックスティッシュ」は終了しておりました。まぁ、しょうがないね(もらっても勿体なくて使えないよ)。
でもキャラクターのイラストが描かれた「超平和バスターズ色紙風ポートレート」はまだ配布されておりました。私がもらったのは「ゆきあつ」バージョンでしたが(櫻井孝宏のメッセージ付きです)。
これは日によって変わるのか。やはり「めんま」か「あなる」のポートレートが欲しかった。多分、そちらには茅野愛衣や戸松遥のメッセージが付けられていたのでしょう。
きっとコンプリートを目指したリピーターも沢山おられたことでしょうねえ。
近年、A-1 Pictures 制作のアニメもよく観ます。TVシリーズも色々ありますが、劇場用の長編作品でも、『宇宙ショーへようこそ』(2010年)、『青の祓魔師』(2012年)、『聖☆おにいさん』(2013年)などを観ております。
今年(2013年)は『花咲くいろは HOME SWEET HOME』や、『言の葉の庭』といったアニメの青春映画が豊作です。アニメの方が青春映画を作りやすいのかしら。実は実写の青春映画はあまり観ておりません(単なる好みの問題か)。
本作の監督はTVシリーズのときと同じく長井龍雪です。この方の監督作品の中では、『とらドラ!』とか、『とある科学の超電磁砲』なんかが好きです。
過ぎ去りし日々のノスタルジックな演出に、過去のヒット曲を使用する演出がはまっておりまして、TVシリーズと同じく、ZONEの「secret base ~君がくれたもの~」が印象的に使われております。もうこの曲のイントロが流れるだけで、ウルウルものです。
劇中でこの曲が流れ始めると、劇場内で洟をすする音があちこちから聞こえはじめます(皆、条件付けされているのですね。判ります)。
この曲が紅白で歌われたのも随分と前のことですねえ。ZONEも解散しちゃいましたし。
TVシリーズの主題歌としては他に、ガリレオガリレイの「青の栞」がありますが、やはり『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の歌曲としては「secret base ~君がくれたもの~」が一番印象深いです。本作でも劇場版用に新曲「サークルゲーム」が歌われておりますが……残念。
TVシリーズは小学生の頃に仲の良かった少女が事故で死亡し、高校生になった主人公の前に成長した姿で現われる、と云うファンタジーな物語でした。当初はアニメよりも実写映画向きなストーリーだろうと思われましたが──多分、洋画だとそのまま実写で撮ってしまうのでしょうねえ──、日本じゃアニメで出来るんだと感心したことを憶えております。
コミックや小説が原作ではないオリジナル作品と云うのも珍しい。最近じゃ、ラノベのアニメ化ばかりですからね(逆にノベライズされた小説が文庫化されております)。
少女の幽霊が現れるところだけがファンタジーですが、その分、舞台となる街の背景がやたらリアルでした。モデルとなった埼玉県秩父市がファンの聖地と化したのも肯けます。劇中に登場する新秩父橋や、西武秩父駅、飯能駅といった実在の背景が見事です。走ってる電車もリアルな西武4000系だったりします。
中でも新秩父橋からの景観が何度も登場し、印象に残ります。自然が豊かでいいところですねえ。
少女の死以降、仲の良かった友達とも疎遠になり、人間関係に疲れてひきこもりになった主人公が、成仏できずにいる少女の為に生前の願いごとを叶えてやろうと奔走し始める。
そしてかつての仲間達──超平和バスターズ──が再び結集していくのですが、最初は各人がバラバラで、これがあの仲良しグループの現在の姿なのかと思うと、実に哀しいものがありました。しかしぶつかり合う中で、トラウマを抱えた者同士が過去と向き合い、これを克服していく姿が感動的に描かれております。
近年の青春もののアニメの中ではベストの一本と云っても過言ではない。『花咲くいろは』と並んでお薦めです。脚本も『花咲くいろは』と同じ岡田麿里ですし。
元のTVシリーズからして、過去と現在がオーバーラップする演出が特徴的でしたが、本作でもまた同様の手法が採られております。
『花咲くいろは』の劇場版『花咲くいろは HOME SWEET HOME』(2013年)もそうでしたが、やはり脚本家が同じ人だと傾向が似てしまうのですかね。
TVシリーズ完結後、一年が経過した夏の一日。「めんま成仏一周忌」に、超平和バスターズの各メンバーがまた秘密基地に集まって、めんまへの手紙を御焚き上げして天国に届かせようというストーリーです。基本的に本筋の方は変わりません。
総集編であるのは仕方がありませんが、近年のアニメは放映時のままの画を大きなスクリーンに映しても遜色ないのが見事です。昔は結構、放映当時のカットと新作カットの差が哀しかったりしたものですが(年寄りの感想だなあ)。
ストーリーはそのままですが、新作部分として「各メンバーの一年後」が描かれるというのが、ファンには嬉しい(それが見たかった)。変わっていないようで少し前進している様子が伺えます。
本作は大部分が、この「めんまへの手紙」を書く場面に費やされております(本作のサブタイトルがまさにソレですし)。
新作カットで一年後を描きつつ、手紙を書き始めると、書いている当人のナレーションでTVシリーズが再編集されて語り直されていく。
なるべく当人視点となるように編集されているのが巧いのですが、まぁやはりTVシリーズ本編を観ている者には言わずもがなではあります。
逆に、TVシリーズを観ていない人はどうなんでしょうか。TVシリーズ全一一話のエピソードを時系列を追って語るわけではないので、場面が省略されたり、前後したりしています。これでどんなストーリーだったか判るのかな。
雰囲気だけは味わえるからいいのか。省略されているところは察して下さい。
でもそもそもTVシリーズを知らない人はそれほど見に来ないか。
一見さんお断りなところが無きにしも非ずなのが惜しいです。やはり総集編というのが辛いところです。出来れば完全新作による新たなドラマを観てみたかったですが、それだとめんまの出番が全くないからイカンですかね。
その点、同じ岡田麿里の脚本でも『花咲くいろは HOME SWEET HOME』の方が新作のストーリーとしてはまとまっているように思われました。
但し、回想シーンとなる本編中にも新作部分が幾つか見受けられました。回想が始まるとTVシリーズを見ていたファンは寝てしまっても大丈夫……には、なりません。
初めてめんまに友達が出来る出会いの場面や、仲良しグループが神社の境内でかくれんぼして遊ぶ場面といった新作カットが挿入されており、TVシリーズを補完するようになっております。特にめんまがハーフであることが仲間はずれにされる原因であると明確に語られていたりします。
劇中で子供達に大人気のゲーム「ノケゾリモンスター」、略して「ノケモン」──誰がどう見ても「ポケモン」がモデルですよね──が、「除け者」にも通じるとか、外国人は「外の人」だから仲良く出来ないのだ、と幼いめんま自身が語るエピソードが入っていたりします。うう、なんて不憫なんだ(泣)。
一方、一年後のエピソードの方も、単に各人が手紙を書くだけでなく、現状の簡単な紹介にもなっております。特にゆきあつのその後がちょっと笑えます。やはりイケメンの先輩は下級生に人気があるのか。つるこもオチオチしてはいられないのではないか。
ところで、私は当然のように登場人物を劇中で呼ばれる愛称で書いておりますが、これについては説明は要らないですよね。
「本間芽衣子(ほんま めいこ)」だから「めんま」であり、「鶴見知利子(つるみ ちりこ)」だから「つるこ」であるわけで、主人公の「宿海仁太(やどみ じんた)」の「じんたん」が一番、判り易い。「松雪集(まつゆき あつむ)」の「ゆきあつ」はちょっと考えましたが、「久川鉄道(ひさかわ てつどう)」の「ぽっぽ」は飛躍し過ぎていて、エンドクレジットで役名を見ないと判りませんです。
それにつけても「安城鳴子(あんじょう なるこ)」の「あなる」は可哀想すぎる。年頃の女の子なのに。
一年後であるにも関わらず、じんたんとあなるの仲はそれほど進展しているように見受けられないのが意外でした。ゆきあつとつるこは……まぁ、あんなものか。
TVシリーズの最終回で、あれほど劇的にカミングアウトし、告白したと云うのに、「めんまの成仏」に流されてうやむやにされてしまったと語られております。そのまま一年間も放置か。じんたんのヘタレめ。
総集編部分がドラマとしてそれなりに再構築されているのはいいのですが、「泣くタイミング」がビミョーに外されてしまっているように感じられたのが残念デス。ドラマとして盛り上がって、「ここでおしまい」となれば綺麗なのに、一年後のエピソードがエピローグ的に付いてきて、それがまたちょっと長く続くから、泣きながらエンディングに流れ込むようにはなっておりません。
やはり、ラストはかくれんぼの「めんま、見ィつけたァ!」で終わってもらいたかった……かな。
「失ったものなど、何一つ無い」と云いきるじんたんの言葉がポジティブで素晴らしいです。判っていてもやはりウルウルしますねえ。
あるいは、本当に成仏しためんまが生まれ変わるところまで描いてしまうとか。
じんたんとあなるが結婚して、女児が誕生する場面なんてのを想像していたのですが、そこまで先は描かれませんでした(気が早すぎますか)。
エピローグの後に、またエピローグがあります。エンドクレジットの後に、めんまが「生まれ変わったら何になろう」と語る場面がラストです。まぁ、何に生まれ変わろうとも、超平和バスターズは必ずそれを見つけてしまうことでしょうが。
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