もう関羽も張飛も趙雲も、超人武将どもが大活躍。腕の一振りで雑兵が何人も宙に舞うなんてのを大真面目に映像化しています。
案の定、第一部では145分もかけてキャラの紹介と武将の超人っぷりを描き、孔明と周瑜の関係を解説するだけで終わってしまった(笑)。
ほら、やっぱり魏の大艦隊が襲来するところで「つづく」だったじゃないか。
まぁ、第一部ではプロローグとしては長すぎるくらい〈長坂の戦い〉とか描いていましたからね。やっぱり赤ん坊を背負って戦場を駆ける趙雲の勇姿は燃える。
『レッドクリフ』の第一部と第二部公開の合間にこっそり公開されたダニエル・リー監督の『三國志』でも、アンディ・ラウ演じる趙雲が〈長坂の戦い〉で大活躍しておりましたが。
やっぱり一番ファンに受ける場面なのかなあ。
ダニエル・リー版の三國志では他にもサモ・ハンが共演していて、なかなか面白かったのですが。こっちはもう趙雲にのみ焦点を絞って、趙雲の映画になっていました。
合戦シーンに、ジョン・ウー版のように予算がかけられないのは残念でしたが、予算半減の代わりに血飛沫は三倍増くらいありました(笑)。
で、ジョン・ウーの方はと云うと、スペクタクルな大合戦シーンはあれど、あまり血は見せませんでしたね。それよりかは周瑜と小喬の夫婦愛とか、武将同士の友情を描くことに重きを置いていました。
結構、ロマンチックな三國志だったような(笑)。
そうは云っても第一部のクライマックスである奇門遁甲の八卦陣や、第二部の大炎上シーンは映像的にも凄いものがありましたが。
ハリウッド製でなくてもここまで出来るのだという意地のようなものを感じました。逆に最近のハリウッド製の歴史大作よりも上なんじゃないかな。
で、第二部は第一部と同じくらい長い。144分かけて本来の〈赤壁の戦い〉を描く訳ですが、キャラの紹介は前作でやったからもういいでしょと云わんがばかりの演出である。このあたりはピージャク版の『指輪物語』と一緒ね。
やはり二作合わせて観ておかないと。通して観ると5時間近いのですが……。
まぁ、メインは孔明と周瑜の友情物語なので、蜀の超人武将たちの出番は第二部ではめっきり減ってしまったのが、個人的には残念でしたが。
それにしても、ここまではっきりと男同士の友情、信頼を描かれると、吉川英治の小説や、横山光輝のマンガを読んだ身としては違和感がありますわ(笑)。
ここでは孔明と周瑜は対等の関係なので、そのしわ寄せが全部、魯粛に行ってしまったのが笑えた。孔明ホームズと魯粛ワトソンのコンビ描写がユーモラスでした。
本来、トニー・レオンの孔明と、チョウ・ユンファの周瑜という配役だったそうですが、私としては金城武の孔明が実にいい感じだったので、トニーが周瑜になって逆に良かったなあ。
金城武の孔明は、常にのんびりした感じで好感持てます。
出来れば第二部ではちゃんと七星壇の上で道術を駆使してもらいたかったが、ちょっと省略されてしまったのが残念。
あと、映画なので魏軍の本陣にまで劉備や孫権や周瑜たちが攻め込んでしまい、曹操本人と御対面してしまうという展開になってしまいましたが、フツーここまで来たら曹操を討ち取るよねえ?
敵軍の大将を目前にして「勝敗は決した。曹操よ、この地から去れ」なんて云わないよなあ。
曹操の方も、負けたくせに妙に堂々として「これで勝ったと思うなよ」的に去っていきますが、いいのか?
史実の遵守とアクション描写のギリギリの妥協点だと云うのは理解できますがねえ(笑)。
で、ラストシーンは魏軍を撃退した後の、周瑜と孔明の別れ。
固い友情で結ばれた二人が「次はまた戦場で相まみえよう」と握手を交わす。素晴らしく清々しく爽やかな印象の三國志でした。
ここまでやってしまえばいっそ見事ですわ(笑)。
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