輝けるベルギーの星!
ベルギーの国宝!
紛れもなくこれは彼の最高傑作である(マジで)。
そしてフィクションとは云え、限りなくドキュメンタリーに近い物語である。
ジャン=クロード・ヴァン・ダム、47歳。そろそろアクションがキツい。
90年代(前半だけ)はハリウッドで大スターだった彼も最近は落ち目。
出演作品は低予算B級作品ばかりで、劇場公開されずにビデオ・スルーばかり。
離婚訴訟で娘の親権を巡って係争中。
狙っていた役はスティーブン・セガールに掠われる(爆)。
限りなく崖っぷちの男、ジャン=クロード・ヴァン・ダム。
そんな彼がひょんなことから故郷の街で郵便局強盗に巻き込まれる。籠城する犯人グループの人質にされてしまうが、些細なことから警察にはヴァン・ダム自身が犯人だと誤解されてしまう。
「有名俳優が人質を取って籠城!」
たちまち押し寄せるマスコミと野次馬。事態は膠着状態に。
このあたりは明らかに『狼たちの午後』へのオマージュとも云える展開。真犯人の一人は明らかに犯人役だったジョン・カザール激似のヘアスタイル(爆)。
犯人グループの中にヴァン・ダムの大ファンがいて、「サインして」と迫られるのが笑える。更にこの犯人はファンの代弁者で、その主張は観ていて大きく頷くことばかり。
「『ハード・ターゲット』は傑作だった。でもジョン・ウーは恩知らずだ。あんたがヤツをハリウッドに招いたのに、成功した途端にヤツはあんたを捨てたんだ。あんたがいなければ駄作ばかりなのに。『ウィンド・トーカーズ』とかさ」
「いや、『フェイス/オフ』は良かったじゃないか」
「でもあんたを起用しなかった。それだけでダメだ。大体、ジョン・ウーなんて、あんたがいなければ今でも香港でハトを撮っていたはずだ!」
劇場内で手をたたいて喜ぶお姉さんがいました(爆)。気持ちは判る(笑)。
籠城が長引き、極限状態の中で、つい弱音を吐いてしまうヴァン・ダム。
この映画の白眉は突然、カメラに向かってヴァン・ダム自身が心情を吐露する場面でしょう。時間が静止し、フィクションと現実の境界が取り払われ、落ち目のアクション・スターが過去を振り返りながら本音をカミングアウトする。飲酒やドラッグに溺れた反省も口にする。
もはや演技ではない。実に生々しい。
ジャン=クロード・ヴァン・ダムは非常に勇気のある俳優だと改めて惚れ直しました。
『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』ではベン・スティラーが架空の「落ち目のアクション俳優」を演じていましたが、これはそんなフィクションではない。
もう実話である。リアルさが違う。
と云うか、もはや笑うよりも涙が出る。泣いてしまう。
大スター>落ち目>どん底 と、辛酸を舐め、そこから這い上がった俳優と云えば、ジョン・トラボルタとか、ミッキー・ロークなどが思い浮かびますが、ジャン=クロード・ヴァン・ダムも何とか再起して欲しい。
応援します、ヴァン・ダム。
ジョン・ウーは『レッド・クリフ』の次回作くらいには恩返ししてやれよ!
この映画を観て、ヴァン・ダムはもう演技派としても充分、やっていけるのではないかと感じました。誰かアクション抜きで起用してあげられないものか。
この人生の酸いも甘いも噛み分けた渋い男の再起を切に望みます。
マブルク・エル・メクリ監督も新人監督とは思えぬ演出力です。
特に色調を押さえたモノクロームに近いくすんだ色づかいで全編を統一させた画面が印象的でした。
また冒頭の劇中劇で『トゥモロー・ワールド』ばりに三分間ワンカットでヴァン・ダムのアクションを追い続けるアクションシーンも気合いが入っていました(ちょっとギャグも入っていたが)。
でもジャン=クロード・ヴァン・ダムの次回作は……。
ドルフ・ラングレンと再び共演する『ユニバーサル・ソルジャー3』!
頑張れヴァン・ダム! 負けるなヴァン・ダム!
配給会社はちゃんと劇場公開しろッ(でもシネパトス送り確定か?)。
ついでに『木曜洋画劇場』はもっとヴァン・ダム作品をッ。
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