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2010年10月28日木曜日

桜田門外ノ変

 

 冒頭30分の水戸藩士襲撃に至るまでの経緯と暗殺決行までで力を使い果たしてしまったようなものである。
 桜田門周辺のセットは緻密でしたが……。

 あとはもう散り散りになった藩士たちが一人また一人と捕らえられていく過程が淡々と描かれていくのみ。
 京都での決起も起こらず、支援してくれるはずの他藩との密約も反古にされ、八方塞がりのまま逃避行が続くだけ。

 盛り上がらぬ。

 思うに、この手の物語は計画立案と準備が見せ所なのではなかろうか。特に不穏分子として監視体制が敷かれているのであるから、あの手この手のカモフラージュでメンバーを集めて作戦準備を整えていくのが面白いと思うのだが、そういった見せ場は無いに等しい。それなりに日本の未来を憂えた末のことである、というのは理解できるとしても……。
 なんせ、井伊大老役が伊武雅刀ですからな。
 実に腹黒そうな井伊でした(笑)。安政の大獄が言論弾圧であるという描写は理解しやすかった。

 しかし最初のチャンバラが激しかっただけに、その後の淡泊な逃亡描写の落差が激しい。がんばって中盤でも殺陣を入れようとしたのですが、かなり取って付けたようで本筋と関係ないし……。

 あとは加藤清史郎くんが可愛い。が、出番は少ない(そりゃそうだ)。
 それだけ。

 そもそも〈桜田門外の変〉の首謀者を主役に据えたら、幕末まで描くことは出来ないのにどうするのか……と思っていたら。
 最後まで逃亡を続けていた関鉄之介(大沢たかお)が捕らえられ、処刑される。そこからポーンと一気に数年が経過し、因縁の桜田門から薩長の兵が江戸城に入場していく場面がラストシーンである。幕末のいいところ全面カット。
 ほとんど出番の無かった西郷隆盛(永澤俊矢)が馬上から桜田門を感慨深げに眺めて一言。

 「すべてはここから始まったのでごわす……」

 いや。あんた、ソレに関係してないし。何も手伝わなかったくせに。
 無理矢理、オチ付けた感が漂いまくり。


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桜田門外ノ変〈上〉 (新潮文庫)
桜田門外ノ変〈下〉 (新潮文庫)

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