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2010年8月14日土曜日

ベスト・キッド

(KARATE KID)

 オリジナル版から四半世紀とはなぁ。
 リメイクするのもいいかも知れませぬが、まだ早いような気もするのですが……。

 今回は師匠役がジャッキー・チェン。
 「遂にジャッキー・チェンが師匠の役を演じるまでになった」という点に時代を感じます。昨年の『ドラゴン・キングダム』でもそうでしたけどね。
 貫禄つきましたねえ。

 しかし気になるのが原題。
 当然、ジャッキー師匠が少年に教えるのは空手ではなくカンフー。作品の舞台も中国。 それなのに何故に「カラテ・キッド」?
 もはや「カンフー・キッド」でしょう。
 でも『カンフー・キッド』という題名の映画は既にあるみたいだし……。

 ひょっとして米国人には空手とカンフーの区別が付いていない?
 なんか中国人にとっては国辱的な題名のように感じられるのですが、問題はないのでしょうか。きっと中国で公開される際には、別の題名があるのでしょう。
 オリジナル版ではパット・モリタ演じるミヤギ師匠は沖縄出身で、空手のルーツも中国から伝わったものだと解説するシーンもありましたけどね。それにしてもやっぱり空手とカンフーは別物だと思うのですが。
 リメイクするに当たって題名は変えてはイカンというルールでもあったのかな。

 物語は驚くほどオリジナルに忠実。
 ほとんどヒネりなし。若干、現代中国に合わせたアレンジが施されていますが、まぁ些細な変更点です。
 さすがにミヤギ師匠が「若い頃は日系米国人として太平洋戦争に従軍し、奥さんと子供を亡くしている」という設定を、そのままジャッキー・チェンに移植するのは無理な話で(笑)、やむを得ず変更されているが、それくらいか。
 富裕層のお嬢様とのラブストーリーも、そのまま描かれています。

 特に物語上は大きく変わった部分は無い筈なのに、上映時間は一四〇分もあります。観ている間は特に長いとは感じなかったけれど、どこかにそんな追加する部分があったかな。
 やはり背景の北京の街並みや、学校での様子を説明する場面の挿入で、少しずつ長くなっているようですね。それなりに興味深いので気にはなりませんが。

 些細ではあるが気になる変更点としては──本筋とは関係ないにしても──、やはり「ワックス塗る。ワックス拭く」の基本動作が、カンフーでは別の動きに替えられている点か。あそこが良かったのになあ。
 その代わりというか、カンフーを教える際の別の「お約束」が……。

 何故、カンフーの構えをすると、指先で「来なさい」ってやってしまうのか。
 何故、カンフーを教える人は「考えるな。感じろ」って云うのか。

 それはジャッキー・チェンではなくて、ブルース・リーなのではッ?

 修行シーンも、中国ロケに合わせて万里の長城で特訓していたりしますが、北京に住んでいるのにわざわざそんな観光地まで出かけていく理由がよく判りません。
 まぁ、「いかにも中国」ぽい演出ではありますがね(笑)。
 些細な点での変更というと、あとはハチマキか。あれは日本の文化なので、今回はなし。

 クライマックスでの〈鶴の型〉も、カンフーに合わせて別の技に替えられています。仕方がないとは云え、オリジナル版ほど劇的では無いような気がするのは、ひいき目なのでしょうか。
 頑張ってアレンジしているのは判りますけど。

 色々ありますが、今回のリメイク版の勝利の鍵は、師匠=ジャッキー・チェンと同時に、弟子=ジェイデン・スミスくんの起用なのは確かです。
 オリジナル版のラルフ・マッチオから随分と若くなったものです。
 おかげでティーン・エイジャーの恋も、かなり無邪気な淡い恋になったが、年相応だしいいか。むしろこっちの方が腐女子のお姉さん達にウケる(笑)。

 子役とは云え、ジェイデン・スミスはいい役者です。既に父を超えたであろう。カンフーの修行シーンもスタント無しでこなしています。
 一八〇度開脚しての股割とか、全部自分で演じている。あの若さで大したものデス。

 ちなみに、親父のウィル・スミスは出演しないにも関わらず、撮影中はずっと息子に付いていたらしい。中国ロケにも付いていったようです。
 映画のエンドクレジットには、メイキング画像が紹介されるというオマケが付いています。ジャッキー・チェン映画ならNG集にしてもらいたかったところですが(笑)。
 そのメイキング画像を見ると、ウィル・スミスが息子と一緒にちゃっかり映っている。 うーむ。親バカめ。

 このエンディングのメイキング風景がなかなか面白いデス。
 劇中ではいじめる側のイヤな野郎だった少年達が、ジェイデンくんとニコニコしながら映っている。仲よさそうで実に微笑ましい。

 オリジナル版の監督は『ロッキー』のジョン・アビルドセン──音楽は当然、ビル・コンティ──でしたが、リメイク版ではハラルド・ズワルト。音楽はジェイムズ・ホーナー。
 ズワルト監督作品なんて全然観てません。前作が『ピンクパンサー2』──これもまたリメイク版だし!──だそうですが。
 最近の若手の監督はリメイク作品しか任せてもらえないのでしょうか。

 オリジナル版ではビル・コンティの音楽に、主題歌「The Moment Of Truth」がいい感じでありましたが、さすがに今回はそこまでカバーしてくれなかった。
 エンドクレジットの時でもいいから、「The Moment Of Truth」を流してもらいたかった……。
 あの主題歌を聴くと、八〇年代の音楽だったなぁと懐かしく感じるのデスが。




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