さすが角川系列。やるときはやるな。
『いばらの王』は半分サンライズ制作でしたが、こっちはランティスとの共同製作ですね。
ライトノベルの中では地味な印象でしたが、人気はあったのですね。もう既に長編八冊、短編集二冊が書店に並んでいます。
うーむ。ファミ通文庫はノーマークだった(汗)。
シリーズのタイトルは全て『“文学少女”と○○○』という形式なので、どういう順番なのかよく判らないなあ……。いや、今更これに手を出すのは控えたいと思いマスが……。
第一、この劇場版を観るだけでかなりカバーできるのでいいです(笑)。
それにこの劇場版は、映画として完全に完結しているのである。もはや続編製作は無い。
実に潔い(笑)。
パンフによると劇中のエピソードはシリーズ中の第五巻がメインだそうですが、幾つかは前後の巻からもネタを拝借しており、特にエンディングは第八巻のラストだそうなので、原作もここで完結しているらしいです。
文庫本のカバーを読むと、高校の文芸部を舞台にしたラブコメ風ミステリだそうですが、この劇場版はかなりシリアスかつミステリアスな映画でした。完成度もなかなか高い。
冒頭、主人公が高校入学時にひょんなことから“文学少女”と知り合ってしまい、文芸部に勧誘されてしまうところから始まる(このあたりは第一巻らしい)。
が、あっという間に「二年間が過ぎ去り」、部長である“文学少女”は卒業を目前に控える時期に差し掛かる(本筋が第五巻だから)。
そして事件解決と同時に、本当に卒業してしまうのです。どう転んでも続編はないだろう。
文芸部の部長を探偵役として進行する学園ミステリなので、事件も文学作品がモチーフに使われるらしい。毎回、様々な文学作品が取り上げられるという趣向。
この劇場版では、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』がモチーフとなっています。
登場人物が各々『銀河鉄道の夜』のキャラクターになぞらえられ、事件の解決もそれに則って行われる。
この場合は「犯人の動機」を解き明かすために「カンパネルラの本当の望みとは何だったのか?」を知る必要があるわけですが……。
このシリーズを読めば、あまり読みそうにない文学作品を「読んだつもり」になれるのだろうか(笑)。
主役の“文学少女”役に花澤香菜。おお? 『いばらの王』もそうでしたが、また花澤香菜か。売れていますねえ。
他には平野綾、水樹奈々なんかの中堅──もうベテランか?──どころを揃えており、手堅い配役ではあります。
多少、本筋に関係のない登場人物の説明を省いているところがありますが、気にせずとも良いでしょう。別に登場させる必要もないとは思いましたが、これもファン・サービスですかね。
監督の多田俊介はよく存じませんです。『テニスの王子様』とか『ツバサ』なんて観ておりませんので(汗)。
でもかなり巧い監督です。
文学作品を題材にし、アニメにもしづらいと思われるのに、劇場用アニメとしてきちんと完結した作品に出来る手腕は大したものだ。
唯一、キャラクターの絵柄がかなり少女漫画なので、好みの分かれるところでしょうか。原作の表紙からしてそうなんですけどね。
腰まである三つ編みツインテールな髪型はなかなかキツいわ(笑)。
あと、基本的にライトノベルなので、そもそもの登場人物の葛藤にどこまで感情移入できるかが評価の分かれ目ですかね。オジサンにはちょっとツラいものがあるかなあ。
それくらい乗り越えろよ──とか云っちゃいそうで(爆)。
「そんなこと」くらいで、生きるの死ぬのって大騒ぎし、トラウマにまでしてしまうか。いや、高校生にとっては大問題なんですけど。
うーむ。
これは観ている側が試されているのだろうか。
● 余談
“文学少女”である天野部長は、文学を愛するあまり「気に入った小説は食べてしまう」のであるが、本のページを破いて食べながらソムリエもどきの感想を口にするのが笑えました。
「ああ、やっぱりギャリコはおいしいわあ」って、あんたは山羊か。
そうですか。部長はギャリコの『スノーグース』を味わっていたのですね。
私はポール・ギャリコと云うと、真っ先に『ポセイドン・アドベンチャー』が来てしまうのですが。次が『トンデモネズミの大冒険』。
ぬう。文学少女とは話が合わん(汗)。
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