2010年3月20日土曜日

時をかける少女

(Time Traveller, The Girl Who Leapt Through Time)

 いきものがかりの主題歌が実に懐かしい。
 ♪あなた 私の元から突然消えたりしないでね~♪

 それにしても何度も何度もよく映像化される作品ですこと。
 おそらく生涯にわたり筒井康隆の代表作と云われてしまうのでありましょう。本人の意思に関わりなく(笑)。

 しかしデフォルトはかつての原田知世主演、大林宣彦監督作品の八三年版〈時かけ〉ですね。
 誰にとってもアレが殿堂なのか。つくづく奇跡のような名作ですな。
 だから近年の映像化作品はすべてこの八三年版の続編というスタンスです。成長した芳山和子の姪や娘が次世代の〈時かけ少女〉になるという……。

 そして〇六年版に続き今回も主演は仲 里依紗(なか りいさ)ですよ。アニメ版では声優でしたが、今度は実写版ね。
 そして女優の魅力という点に於いては、今回の実写版の方が優れている。三年の間に演技が上達しているぞ。
 うむ。里依紗、成長したな(笑)。

 オールドファンにとっては、やはり芳山和子役は原田知世に……と云いたいところでありますが、ここは安田成美。でも悪くない。いや、これはオールドファンが観ても納得の「三十八年後の芳山和子」でしょう。

 薬学を専攻し、研究を重ねた和子は、ついに自力でタイムリープ薬を完成させるが、直後に交通事故で入院。ベッドから動けない母に代わり、母の想いを伝えるために、ムスメの芳山あかりが三十八年前の、あの懐かしい理科実験室へ……。

 えーと。
 薬の完成に三十八年もかけたんですよね?
 今更、一刻を争って過去へ跳ばなくてもいいのでは?
 怪我を治して、退院してから、自分でタイムリープしてもいいんじゃね?
 時間旅行なんだから急ぐ必要は無かろう──というスレたSF者のツッコミは当然スルーですね。はい。

 はっきりした特撮は、このタイムリープのシーンだけ。CG全開で頑張っていますが、何となく既成のイメージを使い回しているだけのような気がしたのは残念でした。
 まぁ、誰がデザインしても〈時空の遡行〉を表現すると、「巨大な記号や数字がぐるぐると自分の周りを流れていく」というイメージになってしまうのかなあ。ちょっとドラえもんぽいと云うか、〇六年版のアニメと大差ない感じでした。ちと残念。

 その代わり過去に到着後は、セットとロケによる昭和イメージが見事に表現されておりました。ロケハンも大変だったでしょう。

 主人公を助けてくれる青年が、SF者で映画監督志望という、なにやら我々と似たような奴である、というのが笑える。
 アパートの部屋の壁には当時の映画のポスター貼りまくり。別にピントが合ってなくても何の作品か判ってしまう(汗)。

 「今日はいつ? 何年何月?」と云うお約束の問いに、男の部屋にあった雑誌が答えてくれる。
 SFマガジンの一九七四年二月号。それ、持ってるよ(爆)。
 本棚には早川の「銀背」を並べているし。
 部屋の様子で、すぐに判った。こいつは信用できるいい奴だと!

 まぁ、昭和四〇年代の貧乏学生の四畳半の部屋だし、小汚いのは仕方ない。だが現代の女子高生の感覚からすると、人間の生活環境ではないのかも(笑)。

 しかし次世代の〈時かけ少女〉は、おしなべて「行動力はあるが、ちょいとドジっ娘」というのはお約束なのか(どっちも仲里依紗だしな)。
 あれほど「一九七二年四月の実験室」と念押しされたのに、「あれ? 七四年二月だっけ?」と目的の時間より二年も遅れて到着してしまうとは。
 西暦一九七二年は昭和四七年なので、数字の配列を勘違いしたのだ。ありがち(そうか?)。

 かくして母親の和子が女子高生になった世界で、二年前に姿を消した謎の少年──深町カズオこと未来人ケン・ソゴル──を探す羽目になるのだが……。
 誰も深町カズオを覚えていない。そりゃそうだ。二七世紀人の〈集団催眠効果〉は完璧です(笑)。

 そうかあ。NHK少年ドラマシリーズは「中学生が主人公」だったのだなあ。
 ついでにあの頃のドラマは、何でもかんでも〈集団催眠効果〉で解決していたよなあ……。

 と云う感慨はさておき。
 女子高生になった芳山和子、というのもなかなか新鮮でした。
 この時代の芳山和子役が石橋杏奈。衣装デザインがノスタルジックな昭和の女子高生ぽくて実によろしい。

 そしてタイムトラベルもののドラマとしては定番、お約束、鉄板的展開。

 あらかじめ事故に遭うと判っている者を救うべきか。

 まぁ、自分がすでにあちこちで歴史をかなり改変してしまっているかも……という疑念は置いといて(笑)。
 序盤で「三十六年前の事故」に言及された時点で、これは伏線だとバレバレなのですが、スレたSF者の意見はこの際、無視しましょう。
 このあたりのタイムパラドックスの処理は、SFとしては初歩でありますが、基本を押さえつつ、丁寧に〈時かけ〉らしいドラマにしている点はいい感じです。

 個人的には八三年版ほどではない気がする──でも一番好きなのは〇六年版──が、それは私が歳食っている所為でしょう。現に、劇場内ではラストで洟をすするひとが何人もいたからな。
 かなり八三年版を意識しているというか、リスペクトしています。

 でも女性には受けるらしい。


● 余談
 自分が二〇一〇年から来た未来人であることを証明する為に、映画監督志望のSF野郎にケータイを突きつけるのはいいのだが……。

 「見ろ。これが二〇一〇年のテクノロジーよ!」
 「これ、なに?」
 「ケータイ」
 「携帯……なに?」
 「電話とかカメラとか……」
 「複合情報端末かッ!」

 でも充電器を持参する暇は無かったような気がするし、多分、翌日には電池切れになったろうなあ。そもそもインフラの整備されていない世界では、ケータイは役に立たんよな(笑)。
 それよりもイマドキの女子高生が何日も「ケータイ断ち」して耐えられる方が不自然な気がするのですが(爆)。

● 余談の余談
 かつての八三年版と同じく、今回もまた芳山クンのクラブ活動は……弓道部。
 うむうむ。
 きっと弓道部以外は認めないというオジサン達が沢山いたのだろうねえ(笑)。




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