2010年3月21日日曜日

NINE

(NINE)

 ロブ・マーシャル監督も『シカゴ』(2002年)以来、さっぱりである。前作『SAYURI』(2005年)は日本人として容認しがたいものがありましたが、今度はどうでしょね。イタリアの人に感想を聞いてみたいものです。
 『SARUYI』が日本を舞台にしながら、主要な役が日本の役者でなかったように、『NINE』もまたイタリアを舞台にしながらイタリア人がほとんどいないとは、これ如何に。

 この手の悩める映画監督とか演出家の物語としては『オール・ザット・ジャズ』(1979年)には遠く及びませぬ。
 『オール・ザット・ジャズ』が素晴らしかったのは、ボブ・フォッシーが監督したからです。
 で、『シカゴ』も『NINE』も、ブロードウェイ版はボブ・フォッシーが振付と演出を担当して、後者はトニー賞を受賞しているのに!
 ちなみにブロードウェイ版の『シカゴ』は七五年のトニー賞を『コーラスライン』と争って負けている。まぁ『コーラスライン』が相手じゃ仕方ないか……。

 要するにロブ・マーシャルだけじゃダメなんだ。墓の下でボブは泣いているぞ!

 幾つかのナンバーは実に素晴らしいのですが。
 今年のアカデミー賞にも何部門かでノミネートされておりましたが、美術賞も、衣装デザイン賞も、助演女優賞も逸してしまい、ミュージカル映画なのに主題歌賞まで逃してしまいました。
 もっともノミネートされたのが、マリオン・コティヤールの歌う「テイク・イット・オール」でしたからな。どうしてケイト・ハドソンの「シネマ・イタリアーノ」をノミネートしなかったのだ。
 この映画で一番素晴らしいナンバーは「シネマ・イタリアーノ」なのに!
 「シネマ・イタリアーノ」なら『クレイジー・ハート』のカントリーソングに負けなかったろうに(『クレイジー・ハート』はまだ観ていませんが)。
 この歌だけでサントラCD買ってもいい(歌だけなのでDVDまでは買わなくていいか)。

 まぁ、女優陣の豪華さだけは一見の価値ありでしょう。
 特にペネロペ・クルスが色っぽい! 前作『それでも恋するバルセロナ』(2008年)では助演女優賞を受賞したが、残念ながら二年連続とはいきませんでしたか。
 他にもマリオン・コティヤール、ケイト・ハドソン、ニコール・キットマン。美貌面だけでなく、貫禄でもジュディ・デンチを起用し、そして大御所のソフィア・ローレン。
 冒頭のOPナンバーでは、次々に現れる美人女優に目移りしますが、最後にソフィア・ローレンが登場した瞬間のオーラだけは凄かった。さすが大女優。

 並み居る女優に対して、男優の方はダニエル・デイ=ルイス唯一人。この主役であるグイド役は、かつてはマルチェロ・マストロヤンニが演じたそうですが、役者としては引けは取らない……筈なのに。
 ダニエルも前作の『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007年)では主演男優賞でしたが、今回はイマイチでした。名優なのになあ。
 ちなみに当初、このグイド役はハビエル・バルデムだったそうです。でもハビエルが演じても、ボブ・フォッシー抜きではやはりパッとしなかったでしょう。

 オリジナルであるフェリーニの『8 1/2』は観ておりませんが、名作の誉れ高いところを見ると面白いのでありましょう。この『NINE』にあやかってかDVDでリリースされておりますが、買うならこっちの方がいいですかね。
 『8 1/2』はフェリーニの自伝的映画と云われ、スランプで煮詰まった映画監督グイドは、フェリーニ自身であるとか。

 そういえば『オール・ザット・ジャズ』でロイシャイダーが演じた演出家も、ボブ・フォッシー自身がモデルと云われておりますな。と云うか、『オール・ザット・ジャズ』とは、ボブ・フォッシー版の『8 1/2』ではないか。
 なんだよ。わざわざリメイクしなくても良かったのでは?

 やはりボブ・フォッシーの影響が大きい所為か、ラスト・シーンがモロに『オール・ザット・ジャズ』を彷彿とさせる演出でした。ソフィア・ローレンとジェシカ・ラングがダブって見えるでしょ?
 豪華な配役なのに残念な作品でした。実に勿体ない。


● 余談
 ボブ・フォッシーがトニー賞を受賞したミュージカルで『ピピン』はまだ映画化されていなかったが……。かつてNHKで舞台収録した番組を観たことがあるが、あれは素晴らしかった。
 いつか映画化される日が来るのだろうか。でもロブ・マーシャルにだけは監督してもらいたくないなあ。




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