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2009年5月4日月曜日

天元突破グレンラガン

【紅蓮篇】【螺巌篇】

近年のガイナックス製作アニメの中では『ヱヴァンゲリヲン』よりも俺的評価の高い『グレンラガン』の劇場版二部作が、遂に完結であります。
おお燃えるッ。

しかし……何故か私の知人の中ではイマイチ評価されないのである。
「巨大ロボットにドリル」という組み合わせはマニアのツボではないのか、と思っていたら、逆にそこがマズかったらしい。
私なんかは、ドリル>螺旋>銀河>人類進化──というキーワードの関連づけにSF者の魂が震えておったというのに、そいつにとってはあまりにも作為的にあざとく感じられたらしい。
「あんなドリルは似非ドリルだ。真の〈漢のドリル〉ではないっ」
「ロボットにドリルを付ければ俺達が喜ぶとでも思っているのか。舐めるな」

この感想は複数の知人から得られたので、偏った見方ではない──思いっきり偏ってますね(爆)。
ドリル・マニアってのは屈折している。あるいは「ドリル道」とは奥が深いと云うべきなのか。
いずれにせよ「〈ゲッター2〉を超えるドリルロボはいない」と信じる人たちの発言なので、一般的ではないか。

そこまでドリルに思い入れのない私としては、グレンラガンにドリルが付いていることよりも、壮大なSF的ビジョンに方に魅力を感じてしまうのですが。

最近の傾向として「熱血ロボット路線でもハードSFが可能である」という主張──『グレンラガン』とか『アクエリオン』とか──がある。
『マクロスF』なんかもそうですが、要は「SF者の与太話」を屁理屈こねながら「画にして魅せる」技術が発達したのかなあ、などと感じてしまいます。
ボロボロにやられていても、ナノマシンで瞬時に修理復元される、とか。
理屈に合わない合体変形や、質量保存の法則を無視した巨大化なんてのは、昔ならハードSF者からバカにされていたような記憶がある。確かにリアルロボット路線の方がもてはやされていた時期というのがあった。
が、今や時代は変わったものだ。

その「理屈に合わない」部分の象徴が、まさに「ロボットにドリル」なのですが、そこを逆手にとって「螺旋(ドリル)の回転は人類の進化!」とブチ上げてしまうイキオイに魅力を感じたのですが……。
まぁ、人の好みはそれぞれです(笑)。

ちょっとマニアックに過ぎたかしら。
昔からSF者の与太話、という点ではガイナックスには定評がありましたけど。
『トップをねらえ!』の頃の、「銀河系を超え、超銀河団も超え、泡状構造の〈グレート・ウォール〉の上で高笑いする」という、SF者にしか理解できないバカ話を、『グレンラガン』では遂に画にしてしまいましたからね。

巨大化に巨大化を重ね、とうとう銀河系を鷲掴みにして投げつける──腕の先端は軽く光速を越えているなあ──という場面も、マジメに描けばスティーヴン・バクスターのハードSF小説なんですが(笑)。

──と、なんか背景設定のことばかり書き連ねましたが、キャラクターは魅力的だし、血潮のたぎる漢のアニメなので、未見の方は是非、御覧下さい。
信じろ、ダチ公。


●余談
〈螺巌篇〉公開に合わせて〈紅蓮篇〉のDVDがリリースされました。
やっぱり〈螺巌篇〉を観る前に復習していかねばならんでしょう。

しかしこのDVD、オーディオ・コメンタリーが笑える。
一応、主なスタッフ&キャストによるコメンタリーなので、今石監督を始め、柿原徹也(シモン)、小西克幸(カミナ)、井上麻里奈(ヨーコ)等の座談会式収録になっておるのですが……。
中盤から井上麻里奈の発言がめっきり減ってくるのである。

小西:「井上、なんか喋れよ」
柿原:「もうウルウルしてるよ」
井上:「だって、これからいいところじゃないですか」

中盤の盛り上がりである、カミナ兄貴が命を賭してシモンに気合いを入れるシーンで、完全に一観客に成り下がる井上麻里奈(笑)。

監督:「よし判った。井上はもう喋らなくていい」
井上:「いいんですか?」
監督:「その代わり泣け。黙ってウルウルせずに、嗚咽を漏らし、喘ぐのだ。そしたらオーディオ・コメンタリーとは別に、独立して〈井上麻里奈の泣き声〉という音声トラックを作ろう。お客さんは喜ぶぞ」

実現していたらDVDの売り上げ倍増だったろうに。誠に惜しい(笑)。


劇場版 天元突破グレンラガン 紅蓮篇 【通常版】 [DVD]
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